中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

中学受験を考える小学生の年末・年始の過ごし方

年末年始など気構えずに普通に過ごせばよい。

私もそう思います。

でも、めったにないチャンスですので、年末年始はぜひこう過ごしてみてはいかがでしょうか。

子供たちは伝統行事に疎い

中学入試社会科の一分野として、「日本の伝統文化・年中行事」ジャンルがあります。そう多くは出題されないのですが、これが出されると見事に失点するのです。

年末・年始はそうした行事がたくさんある良いチャンスですので、この機会に子供たちに体験してほしいと思います。

 

クリスマスはどうでもいい

もちろん楽しいイベントです。クリスチャンなら大切な行事です。でも、とくに信仰がないのならば、クリスマスは「中学入試的な観点」からはどうでもよいイベントです。

 

冬至

今年は12/22ですね。

この日はぜひ、カボチャを食べて柚子湯に入ってください。

食べ物については、他にもいろいろあるようですが、ほとんど「ダジャレ」レベルですので気にしなくてよいと思います。

「ん」が2つつく食べ物は「運」を呼ぶ。

・なんきん(かぼちゃ)
・れんこん
・にんじん
・ぎんなん
・きんかん
・かんてん

まあどうでもよいような気がします。

社会科としては、「なぜ夏野菜のかぼちゃを冬至に食べるのか」「売られているカボチャはどこ産か」を聞きたいですね。

生徒にリサーチすると、かぼちゃを食べた生徒は約半数、柚子湯に入った生徒は1割といったところでした。残念ですね。

 

大掃除

本来の「煤払い」は12/13です。まずい、もう過ぎてしまいました!

それでも晦日になる前に、「大掃除」をやりましょう。

 

除夜の鐘

もし近所にお寺があればぜひ行ってほしいところですが、寒いですからね。テレビ中継を見るだけでもしかたがないでしょう。

 

年越しそば

アレルギーや「嫌い」でないのなら、これはぜひ大晦日に食べましょう。

なぜ大晦日に年越しそばを食べるのかについては、いくつかの説がありますね。

 

◆厄払い・・・「1年の災厄を切り捨てて翌年に持ち越さない」

そばはうどんと比べても切れやすいですね。そこで、「悪い縁を切る」意味で「縁切りそば」ともいうようです。これが最も知られた由来です。

 

◆長寿を祈願・・・これは形状からすぐわかりますね。細長い麺を食べることで長寿を祈願して食べるのです。もっとも、「縁切りそば」の由来と矛盾するような気がします。

 

◆健康を願う・・・そばの実が「タフ」であることに由来します。もともと痩せた土地でもよく育ちますし、風雨にも強いのだとか。それにあやかるということでしょう。

 

◆金運・・・昔の金細工の職人が、床などに散らばった金粉を集めるのにそばをつかったのだそうです。そば粉を団子状に丸めてそれでくっつけて集めたのですね。そこから、金運の縁起物とされるとか。

 

◆運気が上がる・・・鎌倉時代に博多の承天寺で貧しい人々へ、蕎麦餅を配ったのだそうです。それを食べた人は運が向上したことから「運そば」と呼ばれたのだとか。

もっともここで食べられていたのは「蕎麦餅」です。日本中で食べられていた「そば」は、「そばがき」です。そば粉を練って汁に入れたものですね。私たちが知っている「切りそば」の登場は江戸時代です。

 

◆忙しかった・・・江戸時代の町人は忙しい。とくに大晦日は正月の準備もありますし。さらに、「ツケ払い」が普通だった当時は、半年に一度の支払日が大晦日です。商人は取り立てに奔走し、庶民は金策に奔走しました。このあたりについては、井原西鶴の「世間胸算用」に描かれています。

そこで、忙しいときにでもすぐに食べられる蕎麦を食べるのが習慣化した、という説です。

私としてはこの説が一番しっくりしますね。縁起担ぎでもなんでもない、単に「忙しかったから」、いかにも江戸時代の庶民生活がうかがえておもしろいですね。現代でも、立ち食いソバで簡単に食事を済ます忙しそうな社会人、大勢みかけます。

 

他にも説があるようですが、きりがないのでこれくらいにしましょう。

 

この記事にも詳しく書いています。

peter-lws.net

 

 

初日の出

これは省略でかまいません。都会の住宅に住んでいて「初日の出」は見えません。高層マンションで東が海なら別ですが。

 

初詣

宗教的なこだわりがなければ、近所の神社にぜひ行ってみましょう。

本来は日ごろ世話になっている「氏神様」にお参りするのが筋ですね。わざわざ激混みの有名神社に行かなくても。もちろん行けば行ったで「充足感」はあります。

ちなみに人出ランキングはこんなところです。

明治神宮(東京都)::約318万~320万人前後
成田山新勝寺(千葉県)::約300万~311万人前後
川崎大師平間寺(神奈川県)::約300万~308万人前後
浅草寺(東京都)::約293万人前後
伏見稲荷大社(京都府)::約250万~277万人前後
鶴岡八幡宮(神奈川県)::約250万人前後

 

明治神宮、大規模で雰囲気はありますが、本殿にたどり着くまでが「よちよち歩き」スピードです。また、ここの「おみくじ」には吉凶は書かれてありません。明治天皇と昭憲皇太后の詠まれた和歌と、その解説があるだけです。人としての生き方や心の持ち方を諭す教訓ということなのだそうです。鶴岡八幡宮、私は初詣に行き、2年連続で大凶を引きました。私はもっぱら今は歩いて数分の近所の神社に初詣します。焚火にあたりながら、振舞われる甘酒をすすりつつおみくじを開くのが恒例です。

 

ちなみに参拝の一般マナーはこうです。

1:鳥居をくぐる・・・参道の端を歩き、神様が通る真ん中は避ける

2:手水舎で身を清める・・・左手、右手、左手で口をすすぎ、最後に柄杓を清めて戻す

3:二拝二拍手一拝・・・二度お辞儀をし、二度手を叩いて一礼

 

お屠蘇

 子供は飲めません。各種生薬をつけこんだ「薬草酒」ですからね。身体には良いのかもしれませんが、私は苦手です。

 

書初め

1月2日に書くのが普通です。書道を習っていないとなかなかチャンスがないかもしれません。

 

お雑煮を食べる

そもそもお雑煮は「ハレ」の日の料理です。

神にお供えしたお餅を人間がいただくという意義があります。神人共食の考えです。

元旦に初めて汲む「若水」で煮るのが作法ですが、これは省略するしかないですね。

地方による雑煮の違いが出題されたことがありますね。

生徒にリサーチすると、お雑煮を食べない子供が過半数を占めています。「食べたこともない」子も1割くらいいるのが驚きです。時代といえばそれまでですが、少々寂しいですね。そんなに特殊な料理ではありませんし、高価でもなければ作るのも簡単です。お雑煮くらいはいただきましょう。

 

おせち料理

不思議と、お雑煮よりもおせち料理のほうが、生徒たちは食べているのです。おそらくは「重詰め」されたものを購入しているからだろうと思います。今どきすべて手作りする家庭は少数派かもしれません。もちろん拙宅でも重箱を注文します。

飽食の時代に「ご馳走」かと言われれば微妙ですが、由来など話しながらぜひ。

そういえば、正月や結婚式、お食い初めで使う箸は、両端が細い「祝箸」ですね。これも、「神人共食」の考えを表しています。片方が人間用、片方が神様用ということです。

これを「箸をひっくり返して取り箸として」使ってはいけません。

 

松飾

門松までは置かないとしても、松飾くらいは玄関につるしておきたいですね。クリスマスのリースを飾るくらいなら、こちらもぜひ。

遅くとも12月28日までには飾り、1月7日の「松の内」の間は飾りましょう。

 

鏡餅

生徒に聞くと、「上に載っているのはみかんでしょ?」と返ってきます。まあ今時「橙」は入手困難だからでしょうか。仮に温州ミカンを置くとしても、本来は「橙」であることは教えてあげましょう。

1月11日には「鏡開き」を行ってほしいところですが、最近スーパー等で見かける鏡餅は、プラスチックで密閉されていますので、金づちでは割れないでしょうね。

 

七草がゆ

1月7日にいただきましょう。

生徒リサーチによると、食べている生徒はほんの数パーセントでした。五節句の最初、「人日の節句」ですから大切です。

 

 

こうした年中行事・伝統行事というものは、「どうでもいい」と思えば実にどうでもよいものばかりです。江戸時代の農村ならいざ知らず、現代にはそぐわないものばかりですね。

しかし、伝統を伝えるという観点も忘れたくないと思うのです。とくに核家族化がすすみ、家に年寄りが同居しなくなってきている昨今、親の世代が「意図的」にやらないと、「教養の無い」子供が育ちます。

「年越しラーメン」など食べる大人にはなってほしくないのです。