中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】フェリスという学校

すでに書いたとばかり思っていたのですが、フェリスについてとりあげるのは初めてです。

※あくまでも私の主観に基づく私見にすぎないことをご容赦ください。

沿革

1870年 メアリー・E・キダー、居留地39番のヘボン施療所で英語の授業を始める。

1875年 山手178番に校舎落成。フェリスセミナリーと名付ける。

1941年 校名を「横浜山手女学院」に変更。

1950年 校名「フェリス女学院」と改称、短期大学を開設。

1965年 大学開設。

 

詳しくは学校HPを見てください。

www.ferris.ed.jp

 

フェリスは、女子学院とともに、日本最古の女子校として知られています。どちらも1870年創立です。

1870年といえば、明治3年、版籍奉還と廃藩置県の間です。

この150年以上におよぶ歴史の長さ抜きにこの学校の魅力は語れませんね。

 

私は、「30年一周説」をとなえています。まあそんなに大仰な「説」ではありません。その学校に進学した子がやがて親となって自分の子どもを入学させるまでに、30年かかるというほどの意味です。

卒業生が自分の子どもを通わせたくない学校って嫌じゃないですか?

私は、大学生になった教え子と話す際には、必ずする質問があります。

「もし将来自分に子どもができたら、母校に通わせたい?」

多くの子は、「もちろん!」と目を輝かせます。しかし、何割かは、少し考えてから、「う~ん、どうかなあ?」と逡巡するのです。

自分が受けた教育、過ごした6年間をわが子にも経験してほしい、そう願う学校が本当に「良い学校」だと思うのです。

フェリスは、もう5周もしているのですね。

その間、教育理念は変わっていません。

その教育が評価され続けて5周している、これこそがこの学校の魅力です。

 

1941年に校名を変更しているのは、戦時中だからですね。そうえいば「東洋英和」も戦時中は「東洋永和」に校名を変更させられていました。そんなことで戦争に勝てるとでも思っていたのでしょうか。

 

フェリスは、創立者のメアリー・E.キダーがアメリカ改革派教会の宣教師でしたので、プロテスタントです。

 

また、大学より先に中学・高校が設立されていることにも注目しましょう。これは、いわゆる大学の附属校ではないことを意味します。

 

大学実績

 東大ばかりが大学ではないですが、コンスタントに東大に合格者を出せる学校ですので、グラフ化してみました。データの抜けも多いので、正確なグラフではありませんが、だいたいの傾向がわかると思います。

最近巷で、「フェリスの大学実績は落ちた」と言われているのはこれですね。たしかに1990年代と比べると、ここ数年は一桁の東大実績で推移しています。

「洗足に抜かれた」とも噂されています。

たしかに東大実績を見る限りそうともいえるでしょう。

 

参考までに、フェリスを抜いて神奈川トップ女子校(大学実績について)になったと評判の洗足の東大実績を出してみます。

洗足学園東大実績推移

生徒数は、洗足が1学年260名程度、フェリスが180名程度ですから単純比較できないことはお断りしておきます。

 

教育の特徴

◆教育理念・・・・For Others

◆教育方針・・・・Be a Brave Pioneer

1.平和を希求し、一歩一歩その実現への道筋を拓くことができる
2.まことの自由を求め、与えられた賜物を磨き、他者のために用いることができる
3.喜びをもって、生涯にわたり自ら考え、学び続けることができる
4.科学的な思考とグローバルな視点を身につけ、他者と協働して未来を創造することができる

 

こうしてみる限り、理念先行の学校であることがわかります。いわゆる伝統校の多くがそうですね。

混乱の時代に理念を掲げた個性により設立され、それが継承されているのです。

 

環境

フェリスといえば、その環境抜きには語れませんね。

横浜山手の丘の上の閑静な立地です。HPによるとこうあります。

港に臨む緑の丘に、居留地時代の面影を残す瀟洒な洋館が立ち並ぶ横浜山手。歴史が薫る異国情緒あふれる街並みに、四季折々の花が彩りを添えます。

 

アクセスとしては、

根岸線 ・京浜東北線:石川町駅徒歩約7分 

みなとみらい線:元町・中華街駅徒歩約10分

です。距離はそんなに無いのですが、なにせ丘の上の学校ですから、急坂覚悟です。通称フェリス坂(西野坂)は延々階段が続くのです。

石川町駅から正門までの直線断面図です。見ただけで眩暈をおこしそうですね。

フェリス坂の階段を使って一気に標高を稼ぐイメージです。

ちなみに、やはり坂(忠弥坂)を上る桜蔭はどうでしょうか。水道橋交差点から正門までの断面図はこうでした

これを見てもフェリス坂の凄さ?がわかります。

生徒に聞くと、「足腰が鍛えられていい」と意地を張っていました。

 

偏差値

 塾の算出する合格偏差値など、一つの指標にすぎません。過剰に気にする必要はないものです。

とはいえ、少しみてみましょう。

四谷大塚の偏差値を見ると、2014年には67でしたが、2025では62となって、鴎友学園と並んでいます。ちなみに洗足は65です。

やはり、大学実績の影響なのでしょうか。

サピックスの2025年の偏差値表では、フェリスは鴎友と並んで53ですね。ちなみに洗足は57です。

偏差値が生徒の学力を反映すると仮定すると、今後のフェリスの大学実績は伸び悩むかもしれません。

ただし、学校の魅力は大学実績や偏差値だけでは語れません。

私が話をした、母親世代の誰もが、「フェリス>洗足でしょ」と言うのです。

「洗足も最近躍進していることは知っているけれど、やはりフェリスのほうが」と考える層が確実に存在します。とくにご自身が中受経験者はそうなりますね。もっとも、洗足の実績は紛れもない事実ですし、校内も明るく、アピールも上手ですので、洗足を気に入る方も増えつつあるようです。

また、同じ神奈川といっても、洗足は東京の隣の溝の口ですし、フェリスは思い切り横浜ど真ん中ですので、地域差も大きいと思います。

 

さらに、フェリスは2月1日の1回入試です。こうした学校には、フェリス第一志望の生徒が集まるため、ある意味青天井で優秀な子も存在しますので、フェリスと洗足の比較には意味はないでしょう。

 

洗足には洗足の良さが、フェリスにはフェリスの良さがありますので。

 

私が話をした洗足出身の教え子(現大学生)に、「今は洗足はフェリスを抜いたって言われているね。大学実績も凄かったじゃないか」と話をしたところ、「ほんと、信じられないよね。でも、私はフェリスの制服が着たかった」そうです。洗足の深緑の制服、個性的で素敵だと思うのですが、確かにフェリスのセーラー服の方が女子受けしそうです。

ちなみに、盛夏用には、チェックのスカートが準制服として、そして数年前からはスラックスとジャケットの制服も導入されました。時代に対応しています。

peter-lws.net

校風

校風については何も語れません。まさに主観ですので、人によって受ける印象が違うからです。まして外部の人間には語る資格はありません。語っていいのは、ここで6年間過ごした卒業生だけですね。何人かの教え子に聞いてみると、こんな答が返ってきました。

・自由で楽しかった。

・自主性を重んじる校風だった。

誰に聞いても、この2つが出てきます。キリスト教という軸があるので、生徒を必要以上に縛ることはないのでしょう。このあたりは女子学院と似ていますね。

・大学は、「国立や早慶は当然」という雰囲気があった。

これはだいぶ前の卒業生が言っていました。この子自身はGMARCHに進学したのですが、言葉の端々から、そのことを「負い目」に思っていたことが伝わってきました。これは、難関進学校の男子校ではよく聞く話です。自分で自分を律するということは、その結果も自分で受け止めなくてはならないのですね。

もっとも、現在のフェリスにまだそういう空気があるかどうかはわかりません。今度誰かが顔を出したときに聞いてみましょう。