
そろそろ、来年度の「新学年」の募集を各塾が始めていますね。
さて、どうやって選んだらよいのでしょう?
中学受験の塾の選び方については、定期的に書くことにしています。
みなさん本当に迷っていますので。
- 信頼できる情報源がない
- 近いことは正義
- 拘束時間が短い塾
- 遊びの空気が無い塾
- 個別指導より集団指導
- 中小塾より大手塾
- 中小塾より個人塾
- 特待生・無料講座の塾は避けよう
- 受付回りが整頓されていな塾は避けよう
- 生徒が受付附近にたむろっている塾は避けよう
- 最後は教室責任者と面談して決める
- ★塾に行かないという選択肢も
信頼できる情報源がない
残念ながら、塾選びについては信頼できる情報源はほどんどありません。
◆知人のアドバイス
「A塾がいいらしいわよ」
「B塾は面倒見が悪いって」
「C塾だけはやめたほうがいい」
「D塾にはいい先生がいるんですって」
「E塾からうちの子は合格できた」
「F塾の説明会の話がすごく上手だった」
小学生のママ友同士では、塾の噂話が飛び交います。つまり、みんな知りたいのです。
しかし、こうした情報、何の信憑性もありません。
たとえ「うちの子が通って良かった」という情報だとしても、それはその子にとって良かったという情報にすぎません。自分の子に当てはまるかどうかは不明です。そもそも、合格できれば「良い塾」になるし、そうでなければ「最低の塾」になるだけでしょう。
それでも、これくらいの情報ならあてになるかもしれません。
・親同士本人が中学受験経験者の塾友で、私立中高に進学した
・お互いの性格まで熟知していて、無条件で信頼できる間柄
「A塾は、花子ちゃんには合わないと思うよ。うちの長女がお世話になったけど、実績は凄いけどやっぱり厳しいから、のんびり屋の花子ちゃん向きじゃないと思う。それよりB塾のほうがいいんじゃないかな。下の子が通ったけど、ずいぶん親身になってくれて、そのおかげで合格できたから。私たちが通っていたZ塾のT先生って覚えてる? あの先生が独立して始めた塾なんだよ。今度一緒に挨拶がてら見に行かない?」
まあここまでの情報なら、信じても良いと思います。
逆に言えば、このレベルでなければ、例え知人のアドバイスだったとしても、聞き流すほうが吉ということなのです。
◆塾のアドバイス
これは無駄です。どの塾だって、自分のところを推すだけですから。しかし、こんな無意味な相談をする方って案外多いのです。
また、塾の「入塾説明会」に参加するのも王道ですが、これにも注意が必要です。
・説明担当の先生の話が下手・・・論外です。話の下手な教師など、「お話にならない」ですね。大人が耐えられないのなら、子供はもっと耐えられません。
・妙に話が上手すぎる・・・良いことのように思えるのですが、塾によっては、説明会に「説明会専門チーム」を巡回させて話をしているケースもあるのです。感心して入塾したら、全く違う話の下手な先生しかいなかった、そういう場合もあります。
・安請け合い・・・「おまかせください!」「必ず合格に導きます!」そんな話が出てきたら、その塾・教室は選択肢から外しましょう。不誠実な匂いしかしません。
説明会では、実際に授業を担当する教師の「人柄」「誠実さ」に注目しましょう。
◆広告
これも無意味です。広告には良いことしか書いていませんから。
◆ネット情報
無意味です。正しい情報が書かれている保障はありません。むしろ悪意を持った情報をよく見かけます。
例えば、「塾比較サイト」のようなものも多いですが、私がみたところ、業界で評判のよろしいとは言えない塾が、「お勧めナンバー1」となっていたりもするのです。もちろんそれなりの金銭が動いているからです。
その他、「顧客満足度調査」のような情報も無意味です。その塾の力量を反映していません。
受験経験者の親のブログもよく見かけますが、あてにはなりません。わが子の失敗談を面白おかしく書いている方もいて、「読み物」としては良いと思いますが、、情報源として参考にはできません。きっと嘘は書いていないのでしょうけれど、これはたった一人の子どもの経験でしかありませんので、参考になるような客観性がないのです。
また、すでに受験が終了しているのにブログを継続しているのが不思議です。わが子の個人情報をさらしてまで収入を得たいのでしょうか。
もちろん私のこのブログも「ネット情報」にすぎません。信じていただけるよう誠実を心がけていますが、あくまでも一面的な私の主観にもとづく情報です。私の書く内容が正しい保証はないのです。それでも、今まで書いてきた内容や書き方によって、信頼されるよう日々努力しています。
◆雑誌
進学情報誌的な雑誌はいろいろありますね。経済誌もよく教育特集をしています。こうした雑誌は、出版社のネームバリューがあるので信頼できそうに見えますが、そうではありません。あげられている数字は信頼しても大丈夫そうですが、記事の内容は割り引いて見てください。なぜなら、こうした出版社には、中学受験の専門家はいないからです。あくまでも中受素人の記者が書いています。そこで彼らは、「受験専門家」に取材します。それでも複数の専門家に取材して記事を自分なりにまとめていればまだしも、ほとんどは、「専門家」の発言をそのまま引用しているだけです。そしてこの「専門家」が本当の「専門家」かどうかが微妙なのです。「自称専門家」が蔓延る世界ですので。
また、雑誌というメディアの性格上、目を惹くような記事にしたがります。
「海外大学」「留学」「理系教育」「グローバル」「新しい教育」「これからの学校」「世界に飛躍する」こうしたワードが目立つのはそれが理由でしょう。
「もう高校はオワコン? 最新通信制の進路とコスパ」
「現役医学部生の勉強を続けられた理由がすごかった」
学校ではおしえてくれない「シン読解力トレーニング」
いかにも「目を惹く」=「読みたくなる」記事のタイトルですね。
読み物としてはよいですが、本当に参考になるかどうかは微妙です。
そんな雑誌の中でも、おすすめできるものは下の2つです。
◆『Dream Navi (ドリームナビ)』(四谷大塚ーナガセ)
◆『進学レーダー』(日能研ーみくに出版)
どちらも大手進学塾が関わっていますので、情報の信頼度は高いと思います。
個人的には、ナガセに買われて以降の四谷大塚は昔の四谷大塚の良さがなくなった印象があるので、「進学レーダー」のほうが好きですが。
この「進学レーダー」、昔は日能研の内部生配布用でしたが、今は一般市販用として、他塾の広告も載っているくらいですから、日能研の宣伝色はすっかり薄れています。
詳しくはこちらの記事をお読みください。
塾の情報については、直接足を運んでください。それしかありません。
近いことは正義
塾に通うと時間が無駄になります。往復の時間、授業の間の時間、待ち時間など。せめて通塾の時間だけでも最小にしなくてはなりません。
自宅から最も近い塾
これが第一候補です。
拘束時間が短い塾
中学受験は家庭学習が最重要です。拘束時間が長い塾は、大切な家庭学習時間が確保できないため、学習効果があがらないのです。しかも、受験学年にもなると、過去問演習を自分で進めなくてはなりません。夏期講習で毎日拘束されるような塾を選ぶと悲劇です。
遊びの空気が無い塾
何せ小学生ですから、集まれば騒ぎます。塾は小学校とは違った交友関係もあり、騒ぎたくなる要素が多いのです。
「楽しく通わせる」目的のために、こうした「遊び」の空気を放置する塾も多いですね。
「うちの子は、勉強は家でまったくやらないのだけれど、塾だけは楽しく通っているのよ」
これは危険ですね。塾で遊んでいる可能性が高いと思います。
受験勉強は過酷なものです。塾が楽しいはずがないのです。それでも目的を持って頑張る、それが塾というところです。
一部例外ももちろんあります。ある程度以上の学力の生徒が集まり、指導力の高い教師が教えている場合です。
「なぜ江戸時代の日本ではフランス革命のような革命が起きなかったのですか?」
こんな生徒の質問を受けて、それをその場で生徒に考えさせ発言させながら教えていくような授業をアドリブで展開できるなら、それは楽しいですし、その教室でしか得られない体験が得られ、効果も上がります。しかしそんな授業ができる教室・教師はわずかです。
個別指導より集団指導
これは単純にコスパの問題です。個別指導塾は高いのです。20人の生徒を一度に指導する集団指導と、一人を教える個別指導塾では、授業料が違うのは当たり前です。20倍とまではいいませんが、10倍くらいのコスト高になると思います。集団指導塾の月謝が5万円程度だとすると、同じ時間数の指導を受ける場合、個別指導塾は50万円くらいは覚悟してください。
また、教師の当たり外れが多いのも個別指導塾の特徴です。
塾というものは、学生アルバイト講師なしには成り立ちませんが、それは必ずしも悪いことではありません。むしろ、能力の低い社員の教師よりも優秀な学生講師は多いくらいです。塾のアルバイト講師募集の広告を見ると、集団指導塾の半額程度が個別指導塾の講師の時給となっています。個別指導塾は、マクドナルドと同程度の時給で集められた学生講師が多いことになりますね。もちろんプロ講師も所属しているはずですが、おそらく相当高額です。「打ち出の小づち」をお持ちで、良い先生と巡り合えた場合のみ、個別指導塾をお勧めします。
まずは近所の集団指導塾、というのが無難な選択です。
中小塾より大手塾
やはり大手塾の看板は安心できますね。教材開発・テスト作成・模試分析、どれをとっても、中小塾にはできないことばかりです。大半の中小塾が、YTnetに加盟して四谷大塚のテストとテキストを採用しているのはそれが理由です。
中小塾より個人塾
もしかしてみなさんの家の近所にも、自宅1階に看板を掲げているような個人塾がありませんか? これは、一度見に行く価値はあると思います。
塾は、何の資格もいらない世界です。ただただ実力至上主義の世界なのです。だからこそ、中途半端な塾はすぐにつぶれます。先日のニュースでは、帝国データバンクの調査結果として、「塾の倒産が過去最多ベース」とありました。少子化を背景として、都市部の中小塾が次々とつぶれていっているのだとか。身につまされる話ですね。
そんな厳しいレッドオーシャンの中では、評判が良くなければ個人塾は生き残れません。もし近所にそうした塾があるのなら、生き残っている理由があると思います。
これって、ピアノ教室を探すのに似ていると思います。
ヤマハやカワイのピアノ教室は安心です。メソッドもしっかりしています。でも、近所の評判の良い個人の先生も捨てがたいですよね。
私もピアノ教室を探した経験がありますが、本当に玉石混交でした。大きな防音室にグランドピアノを2台置いていた先生もいましたし、キッチン横にアップライトピアノを置いていたところも。足の踏み場もないマンション一室に電子ピアノを置いていて、猫が数匹そこを自由に闊歩していた教室すらありました。これは音楽に真摯に向き合う姿勢を反映しています。アップライトや電子ピアノや猫の闊歩など論外です。
特待生・無料講座の塾は避けよう
理由は簡単です。質の良いサービスはそれなりの対価を伴います。無料講座や特待制度で釣るような塾はろくなサービスが期待できません。
「今なら入塾金免除」
「合格しない場合は返金保証」
こうした塾は避けたほうがよいでしょう。そもそも受験に失敗したのに「返金されたからOK」となりますか?
受付回りが整頓されていな塾は避けよう
お客様を迎え入れる受付回りが整頓されていな塾はやめたほうがいいですね。生徒の個人情報の扱いが雑であることが予測されるからです。
生徒が受付附近にたむろっている塾は避けよう
一見、生徒フレンドリーというか、教師・職員と生徒の距離が近い「アットホームな良い塾」に思えますね。
しかし、塾に「アットホーム」な要素は不要です。どうせ無駄話をしているだけです。
中学受験は時間との戦いです。1分1秒たりとも無駄にできる時間はないのです。それがわかっている塾なら、決して生徒の無駄話につきあいません。それでいいのです。
最後は教室責任者と面談して決める
塾の運営スタイル次第ですが、ほとんどの塾では、ベテラン教師を「教室責任者」「室長」として教室運営にあたります。授業力は当然として、受験事情にも詳しく、部下の教師を上手に使って合格まで生徒を導くのが教室責任者の仕事ですね。もし何かトラブルがあれば、それに対処するのもこの人の仕事です。
その教室責任者が信頼できなければ、その塾は避けたほうがよいのです。
ある大手塾では、オプション講座や講習等の受講率を教室毎に算出し、 賞与の算定基準とするそうです。しかし私の知人の教室責任者は本部の指示には従いません。本当にその生徒に必要だと考えた講座だけを勧め、たとえ保護者から要望があっても無駄と思える授業は勧めないそうです。そんな教室責任者にならお任せしたいですね。
教育は、最終的には人と人との関係で成り立ちますので、「何か嫌だな」と思ったら、その塾は選ばないようにしましょう。
★塾に行かないという選択肢も
何も無理してまで塾に通わなくても、中学受験は可能ですし、合格も可能です。
「中学受験は特殊な世界」
「塾に行かないと合格の学力はつかない」
これらは、塾業界が喧伝した誤情報です。
正確にはこうですね。
「中学受験は基本的な学力の蓄積で対応する世界」
「塾に行かせると手間は省けて親が楽ができるが、学力がつくかどうかは別問題」
子どもの未来につながる学習を他人まかせにしていいかどうか、そこから真剣に考えた上での塾選びをしましょう。
★塾に行かないで中学受験することについて本を書いています。ぜひお読みください。塾選びの前にこれくらいの知識があると、役立つと思います。
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