
今日は何の日?
タロウ:先生、今日は何の日だか知ってる?
私:11月11日だ。
タロウ:そうじゃなくて。
私:休戦記念日だね。
タロウ:休戦?
私:そうだ。1918年11月11日11時といえばわかるかな?
ワタル:日付と時間まではわからないけど、もしかしてヴェルサイユ条約?
ゲンタ:そうか! きっとその日に条約が出来たんだね!
私:正確にいうと、11月11日の11時に休戦条約が発効した。だから祝日にしている国も多いんだ。
ゲンタ:例えば?
私:ベルギーやフランスでは「休戦記念日」だ。アメリカでは「ベテランズデイ(Veterans Day)」だね。
ワタル:ベテラン? それっていわゆるベテランって意味? 達人の日なの?
私:ワタルが言う日本語の「ベテラン」は、英語では使われない。「エキスパート(
expert )」のほうがその意味に近いな。
ワタル:エキスパートも聞いたことがあるね。それじゃあ英語でベテランって?
私:退役軍人と言う意味になる。長い間戦役についた老兵士に対して、尊敬の意味をこめてそう呼ぶんだね。
ワタル:ふうん。他には?
私:カナダやイギリスでは「リメンバランスデイ(Remembrance Day)」と呼ぶ。
ワタル:リメンバランス?
私:リメンバーって言葉なら知ってるかな?
ゲンタ:リメンバー・ミーって映画見たことあるよ。私を忘れないで、って意味だった。
ワタル:リメンバー・パールハーバーって、太平洋のアメリカで使われていた標語だったよね。真珠湾を忘れるな!って。
私:よく知ってたな。リメンバランスも同じような意味なんだ。記憶とか追憶とか訳されるが、亡くなった人の過去の思い出を懐かしむような意味で使われることが多い。日本語では追悼という言葉がぴったりだ。
ゲンタ:そうか。それじゃあリメンバランスデーって、戦死者を追悼する日って意味だね。
私:イギリスでは、この日に追悼の意味で赤いポピーの花を飾るんだ。この日はポピーのブローチを胸につける人も多い。知らないで行くとびっくりするよ。
タロウ:ねえ、みんな。今日はどうしたの? どうしてボケてくれないの?
ワタル:あ、タロウいたんだ。
タロウ:ひどいよ。
ゲンタ:もしかして今日はポッキーの日だなんて言うつもりだった?
タロウ:・・・・。
ゲンタ:そんなのみんな知ってるから今さら言わないよ。せめて電池の日くらいは言いなよ。
タロウ:電池?
ゲンタ:電池の+と-からつけたんだ。
ワタル:チンアナゴの日っていうのもあるよ。
タロウ:なんか可愛い。
私:それくらいにしておきなさい。記念日なんてそれこそ無数にあるからな。まあ海外に行くときには、その国の祝日や行事を調べておくほうがいいけれど。
タロウ:先生、何か経験したの?
私:ハワイに行ったら、6月11日が祝日だったんだ。キング・カメハメハ・デーという。
タロウ:かめはめ波!
私:やめなさい。カメハメハ王はハワイを統一した王様だ。この日には、大規模なパレードがあるから、知らないで行ったらホテルから車が一日出せなくて往生したんだ。あとは、ブダペストに行ったときは、平日なのに妙に店が閉まってたんだね。おかしいな、と思って調べてみたら、この日は建国記念日だったんだ。
ワタル:お店が閉まってると不便だよね。
私:ヨーロッパでは、日曜や祝日は閉じる店が多いからな。サービス業でもきちんと休むことが徹底しているんだろう。ドイツでは、法律で夜8時の閉店が義務付けられているんだ。それを知らないで夜にフランクフルトに行ったときは、夕飯を食べられなくて泣きそうになった。
ワタル:ブダペストはどうだったの?
私:どうして店が閉まってるのか不思議に思って調べたら、初代国王イシュトヴァーン1世が戴冠した日だった。でもおかげで物凄い花火が見られて良かったぞ。
ゲンタ:下調べって大事だね。もし外国から日本に何も知らないでやってきて渋谷のハロウィンなんか見たらびっくりだよね。
ワタル:日本の祝日でもなんでもないから見落としそうだよ。
タロウ:今日の記述は何?
私:そうだな。実は第一次世界大戦は、「全ての戦争を終わらせるための戦争」といわれていたんだ。この言葉は、アメリカのウィルソン大統領が、参戦をするときに発言したとされているが、実際には当時から広く使われていたようだ。
タロウ:嘘! 第二次世界大戦がすぐ始まっちゃったじゃない。
私:そうだな。そこで今日は、どうして第二次世界大戦がはじまったのか、それについて書いてくれ。
一同:難しいよ!
第二次世界大戦開戦の理由
タロウ:一応書いたけど。「1919年のヴェルサイユ条約で、ドイツは領土の一部を失ったうえ、巨額の賠償金を支払うことになった。そのため激しいインフレが進んで、国民の不満が高まった。それを利用してヒトラーが勢力をつけ、他国を侵略する戦争をはじめたのがきっかけだった」
ワタル:凄い! もう完璧じゃないか。
私:タロウ、君も立派になったな。満点だ。
タロウ:ふふ。僕だってやるときはやるのさ。
ゲンタ:「第一次世界大戦後に、平和を維持する目的で国際連盟が作られた。しかし、提案したアメリカが参加せず、日本も満州国が認められなくて離脱するなど各国の足並みがそろわなかった。また国際連盟は軍隊を持たず、全会一致制のために実行力がなく、第二次世界大戦が起きるのを防ぐことができなかった」
ワタル:これも凄い!
私:ゲンタも立派になったな。満点だ。
ワタル:じゃあ僕のも満点だよね。「そのころは日本やドイツ等で独裁政治が行われ、他国を侵略しようとする動きがさかんになった。しかし国民は正しい情報を知らされていなかったため、戦争に向かう動きを止めることができなかった。だから、第二次世界大戦がはじまることをどの国の国民も防ぐことができなかった」
ゲンタ:へえ。僕たちの答とずいぶん違うね。
ワタル:戦争が始まったのは国民の責任だってこと?
ワタル:だってそうだろ? 国は国民が作るものじゃないか。ヒトラーだって、ドイツ国民のハートをがっちり掴んだから独裁者になれたんだろ? 満州国作ったときだって、王道楽土なんて言われて国民がだまされてたし。大東亜共栄圏って言葉も、アジアを侵略する目的をごまかしてたよね。だから、国民がもっとしっかり情報に目を光らせていれば、あんな戦争起きなくて済んだはずじゃないか。ね、先生?
私:その通りだ。いくつか気になるところもあるが、まあ着眼点が良かったからおまけで満点にしてあげよう。
ワタル:僕のだけおまけの満点? どこがだめだったの?
私:ゲンタやタロウの答案と較べて、自分で気がつかないかな?
ワタル:やっぱり国民の責任にしたところ?
私:そこじゃない。むしろその着眼点が評価ポイントだ。
ワタル:う~ん。あっ! もしかして具体的じゃなかったから?
私:そこだ! せっかくいろいろ知識があったんだから、もっとそれを解答に盛り込むべきだったんだ。
ワタル:しまった。いつも具体的に書けってあんなに言われてたのにな。
タロウ:でもさ。今日の記述っていつもより簡単だった気がしない?
ゲンタ:僕もそう思った。最初は難しいと思ったのに。
私:それは、こういう事実をまとめる系の記述は書きやすいんだよ。キーワードをちりばめれば形ができるからな。
タロウ:確かに。
私:それに何と言ってもみんなの記述力が上がってきたのが大きい。もちろんそれは私の指導の賜物だ。
一同:はいはい。