
今回は、たいした記事内容とはいえません。ごく当然の常識をまとめるだけです。
実は無関係
これが結論です。塾と中学校は無関係です。
当たり前すぎるほど当たり前のことなので、今更ここに書くことも気が引けますね。
イメージとしては、町の八百屋とお客の関係のようなものでしょうか。
よく買い物に行く八百屋なら、客の顔くらい覚えていますね。
「この間こちらで買った蜜柑、甘くておいしかったわ」
「それは毎度ありがとうございます。今日は大根が安いですよ。鍋に最適ですよ」
「それじゃあ大根を1本ください。きりたんぽ鍋にでもしようかしら」
「お客さん、秋田がご実家なんですか?」
最近消えつつある買い物風景ですね。
店先で親しく会話したとしても、その会話内容は野菜に限定されます。せいぜい軽い世間話程度ですね。
これで、八百屋と客が深い人間関係にあるとはだれも思いませんね。
客が困っていても八百屋は手を差し伸べませんし、八百屋のピンチも客はスルーです。
無関係ですから。
塾と中学も、その程度の関係しかありません。
塾は、中学校に生徒を合格させたい。
学校は、一人でも多くの優秀な生徒に受験してもらいたい。
この利害が一致しているだけの希薄な関係、なのです。
学校としては、塾が無くても別に困りません。
塾としては、学校が無いと困ります。
そう考えると、一方通行の関係、片思い?かもしれません。
学校が塾に働きかけるやり方
だいぶ昔の話ですが、とある中学校の先生が名刺を持っていらっしゃいました。なんでも、学校改革をすすめて、進学校に生まれ変わろうとしているのだそうです。そこで、過去問出版社の営業担当者に相談したところ、「まずは名刺を持って塾を回りなさい」とアドバイスされたのだとか。
真新しい名刺を不慣れな手つきで差し出す先生に同情しました。まさかこんなことをやるために先生になったのではないでしょう。
本来なら塾の側から学校にお邪魔するべきです。
何もせずとも優秀な生徒が集まる学校は少数です。大半の学校は、生徒集めに必死です。
◆塾教師対象の説明会
こうした説明会に参加したところで、極秘情報など聞けはしません。一般の受験生保護者対象の説明会と内容は一緒です。ただし、学校の先生に直接質問する機会があったり、ついでに学校見学・授業見学ができたりもしますので、我々にとっては学校を知る貴重な機会です。
説明会・授業見学後に、学校の先生を交えた立食形式の懇談会を設けた学校もありました。おいしいケータリング料理とビールまで提供されるのです。常識として私はビールには一切手を出さず、食事は不義理にならぬ程度に少しだけいただき、あとは先生方にお話を聞いてまわりました。ただし周囲を見ると、ビールで顔を真っ赤にした塾教師が何人もいます。私が言うセリフではないですが、塾教師は、非常識かつ世間知らずの人間が多い世界です。
こうした学校は例外としても、学校のロゴ入り文房具が配られるだけではなく、「お車代」が配られたりするケースもありましたね。是非はともかく、学校の必死さは伝わります。
◆塾への訪問
さきほど書いたように、学校の先生方が手分けして塾を回っていらっしゃいます。入学案内のパンフレットやポスターなどを持参されるのです。なんと海外の塾まで訪問されている学校があったのには驚きました。帰国生の受け入れに注力している学校ですね。一度海外の塾で、そうした先生にばったりと出会ったことがあります。先生方も大変ですね。
先生方から直接お話をうかがえる貴重な機会ですので、塾としてもありがたいのですが、中にはこんな塾もあると聞きました。
「室長、○○中学の先生がいらっしゃいました」
「ああ、今忙しいから、資料だけ受け取っておいて」
たしかにこうした飛び込み営業的な訪問は、アポ無しの場合が多いものですが、それにしても、失礼すぎる対応ですね。本来なら別室にお通ししてきちんとお話をうかがうべきですし、立ち話程度としても名刺交換のチャンスです。
塾など隙間産業ですので、学校の先生方に接する態度はどうあるべきかなど決まり切っているのですが、何か勘違いするのでしょうね。
◆合否の連絡
以前は、塾が生徒の受験番号を学校に事前に連絡しておくと、合否結果や得点等をそっと塾に早めに教えてくれる、そんな学校もありました。
受験戦略の立て直しに利用できたのです。
しかし、WEB発表が常識となった今、意味がなくなりました。一部の学校では、受験生にしか教えない合格発表ページのパスワードを、塾にもそっと教えてくれる、そんなケースはあるようですが。
◆塾の保護者対象の説明会
大きな塾ではさかんです。その塾の保護者のみ対象とした説明会を学校がやってくださるのです。ただし、一般の説明会と内容は同じです。もちろん、先生方に塾から利益供与などありません。お弁当を用意することがあるくらいだと聞いています。学校も、どの塾とも等距離に付き合っているようですね。
ただし、塾主催の海外での説明会については状況が異なるという話を聞いたことがあります。ホテル代・飛行機代を塾が負担するのだとか。塾としては多額の費用をかけても、学校との親密な関係性をアピールすることで優秀な帰国生獲得のメリットがあるのかもしれませんが、学校としては塾との癒着を疑われることにデメリットしかないですね。さすがに自腹だと信じたいです。
◆学校施設の貸し出し
最近多いですね。大手塾の模試が、中学校を会場として実施されています。利用料を支払っている場合も多いと思います。そのほかにも、塾のイベントに中学校を会場として貸し出していただいている場合もありますね。学校としても、未来の受験生に学校を知ってもら良いチャンスだととらえているのでしょう。
◆通っていた塾を調べる
出願時・入学試験時・入学後、いずれかのタイミングで、通っていた塾名を書かせる学校もあります。
「A塾と書いて、不利になりませんよね?」
保護者からそう聞かれたと、A塾の先生が苦笑しながら言っていました。
これはもちろん合否には無関係です。これは、後の塾への営業戦略の資料の一つとするのが目的です。ネットショッピングの際に、「当店のことを何でお知りになりましたか? 以下からお選びください」というアンケートと一緒です。
なかには、入学した生徒に、お世話になった塾の先生に、授業見学会の招待状を書かせる学校もありました。教え子が授業を受けている様子を見学できるのです。これは巧妙な戦略ですね。いったい誰がこんなアイデアを思いついたのかな?
学校としては、一人でも多くの優秀な生徒を集めたくて必死ですので、塾にも「良い」顔を見せて積極的に働きかけてきます。しかしだからといって塾と学校の関係に変化が生じることはありません。
誤解
◆塾が学校に特別な推薦枠をもっている
あり得ません。もしそんなことを口外する塾があるのなら、詐欺確定です。
そんなことをするメリットは学校にはありません。
もし金銭のやり取りでもあれば犯罪ですし、そうでなくても学校の評価に多大な悪影響がありますので。
ただし例外としては、定員割れの学校が塾に積極的にアプローチしてくるという場合はあります。
例えば2月1日から4回も入試をやったのに、全く受験生が集まらずに、2月10日にもなって、急遽追加入試を実施をするような学校です。「御塾の優秀な生徒をぜひわが校に」と言ってきますが、もちろんこれは合格の確約でもなんでもありません。また、大手塾の模試の結果を持参すれば面接だけで合格させてくれる学校もこの時期には出現します。これも塾推薦ということではありません。そもそもよほどのことが無い限り「合格」します。ただし、こうした学校が行く価値があるのかどうかは別問題です。
ずいぶん昔ですが、こんな話を聞きました。
ある年、A塾がB中学校に急に合格者をたくさん出したのだそうです。すると、某新聞社から記者が取材に来たのだとか。
「A塾とB中学が癒着しているという情報提供があったので、確認したい」と。
A塾としては青天の霹靂というか、目が点になったそうです。おそらくは、他塾の嫌がらせだろうということでしたが。
姑息な嫌がらせをする他塾もどうかと思いますが、そんな情報を真に受ける記者も記者ですね。
逆に言うと、そんなあり得ない情報でも疑ってしまう下地があるということなのかもしれません。
◆事前に出題範囲を特別に塾にリークする
あり得ません。もしそんなことを得意そうにいう塾があるのなら、詐欺確定です。
学校にもそんなことをするメリットはありません。もし金銭のやり取りでもあれば犯罪ですし、そうでなくても学校の評価に多大な悪影響がありますので。
塾向け説明会で、教科担当の先生が、「来年はこのあたりから出題します」とおっしゃることはありますが、それはリークでもなんでもなく、当たり前の情報です。「来年の社会科は、地理と歴史で8割、あとは公民分野から出題します」レベルの情報ですね。
しかも、学校は一般受験生保護者向けの説明会でも全く同じことを言っています。
そんな情報を得意げに話す塾教師がいたとしたら、その程度のレベルの教師ということですね。
◆入試の極秘情報を事前に塾が入手する
あり得ません。塾にリークする程度の情報は極秘でもなんでもありません。公表間際の情報程度ですね。面識のある塾の営業担当者に、「来月の学校説明会で正式に公表しますが、実は来年度の募集定員は・・・・」くらいの情報です。
長くこの仕事をしていれば、学校の先生方とそれなりに面識もできます。ただしそれだけです。学校にとってみれば塾は必要悪(実は必要ですらない)にすぎませんので、特別待遇するメリットはないのです。
持ちつ持たれつの関係性ですらありませんので、塾の甘言や怪しいネット情報に惑わされないようにご注意ください。