
今回の記事は、現在小6の中学受験生を対象とした記事となります。
- 志望校決定のリミットは?
- 親が決める
- チャレンジ校と安全校はワンセットで考える
- 何度同じ学校を受験しても合格可能性は上がらない
- 行くつもりが無い学校は受けない
- 万が一の万が一を想定しておく
- 決めたら迷わない
志望校決定のリミットは?
いくつかの学校の募集要項で出願時期を見てみましょう。
◆駒東・・・2026年1月10日(土)10:00から2026年1月26日(月)16:00まで
◆開成・・・出願情報入力・入学検定料支払いは12/20(土)12:00~1/22(木)23:59
◆広尾学園(1回)・・・1/6:受験料納入開始、1/10 09:00~1/31 24:00
◆桜蔭・・・情報入力・支払期間:12/21 12:00~ 1/16 23:59
出願期間:1/10 12:00~1/16 23:59
今はほとんどの学校が、三菱総研が手掛ける「miraicompass(ミライコンパス)」というシステムを使ったweb出願となっていますので、出願方法は似通っています。(ただし学校ごとにアレンジを加えているので要注意)
受験料の納入や必要事項の入力を年内から始めるところも多いですが、入試本番前日~2週間くらいまでのどこかに出願締め切り日を設定している学校が大半です。
出願時期については、別に焦って初日に行う必要は全くありません。今や受験番号もランダムに採番されるのが普通ですので、大昔のように「徹夜で校門前に並ぶ」必要はないのです。

これは、ある中学校の受験番号と合否の関係を調べたものです。
見ればわかるように、番号と合否には相関関係は全くありません。
あえて言うと、1100番以降の番号の合格者数が少なくなっています。最後のブロックは1250番までいなかったはずですので除外するとして、1100番~1200番の合格者数が少ない理由はこう考えられます。
いったん1100番までで採番し、受験番号を確定したが、そのあとの駆け込み出願者は1101番以降の番号となった。そして駆け込み出願者は実際には受験しないケースも多く、また成績もともなっていなかった。
この学校は第一志望校として受験する生徒が大半の難関校ですので、さすがに駆け込み出願するような学校ではないのですね。
慌てる意味は全くありませんが、あまりに間際の出願も気持ちにゆとりがなさすぎます。
調査書を小学校に依頼する場合だったら、少なくとも冬休み前にはお願いしなくてはなりません。
志望校確定の最終リミットは、年明け早々の仕事はじめと同じ時期と考えましょう。
どうしても迷って迷って決められないとしても、正月に家族会議を開いて確定しないと手遅れになります。
これが最終リミットとして、もう少し早くから確定したほうが良いに決まっています。
そのリミットは、冬休み前、と考えましょう。
つまり、冬休み前には確定するのです。その後は、よほどの事情がなければ変更はしません。
※過去に指導した生徒で、小学校が冬休みに入ってから急に得点力を伸ばした生徒がいました。この生徒は、11月の段階ではいったんあきらめていた第一志望校を急遽1月になってから復活させて、ぎりぎりのタイミングで出願し、合格しました。これはレアなケースです。
親が決める
すでにいくつもの学校説明会やオープンキャンパス・文化祭などにも子供も足を運んで、「気に入った」の学校、あるいは「気に入らない」学校の名前もあがっていることでしょう。もちろん親はその数倍の学校をじっくりと3年以上かけて調べてきました。
さらに塾の面談で、いろいろなアドバイスももらっているはずです。
しかし、最終的な受験校は、親が確定してください。
もちろんその前提として、十分に子供と話し合うことは大切です。しかし、子供に丸投げするのだけはやめましょう。
この時期になると、謎の志望校の名前が急遽登場して指導する我々を困惑させることがあるのです。
「〇〇中学については、今まで一切名前が出たことはありませんでしたが、どうしてまた急に志望校になったのでしょう?」
「うちの子が急に行きたいといい始めて」
大学付属校をずっと希望していたのでそうした受験校を組み立てていたのに、子供が急に「大学付属にはいかない!」と言い出したり、あるいはその逆なんてケースがありましたね。
受験→進学するのは子供本人とはいえ、この時期の子供の「わがまま」に振り回されることはやめましょう。
全ての受験校を、「子どもの意思尊重」で決めた結果、全滅した可哀そうなケースも見ています。「今日受けた〇〇中は絶対に合格しているから、だから明日は△△学園を受けさせて!」と子どもに言われ、無理筋の△△学園ばかりか、〇〇中も不合格になった子もいました。そもそも〇〇中だってチャレンジ校だったのです。
また、塾の教師の言いなりの受験も論外です。懇切丁寧に子供本人の学力ばかりか性格まできちんと考えて志望校を提案してくれる教師は今やほとんどいないと思います。塾教師と親・生徒がそこまでの信頼関係を築ける時代は終わっています。
「とにかく合格を」とばかりに、実力以下の安全校ばかり受験させられるのも困りますが、合格実績稼ぎのために行く気も無い&受かるとは思えない学校を受験させられる場合もあるので要注意ですね。
子供本人の希望を十分にくみ取ったうえで、最終決定は親が下しましょう。なぜならその後の責任を取れるのも、唯一親だけだからです。
チャレンジ校と安全校はワンセットで考える
チャレンジ校を考えるなら、必ず安全校もセットで考えましょう。
たとえば、偏差値平均がS53の生徒がS57の駒東を受験するのはチャレンジです。その代わり、午後入試でS47の獨協や、2日にS45の世田谷学園を用意します。
2日の女子学院(S61)にチャレンジする生徒の平均偏差値が55なら、1日にS49の頌栄や香蘭というのは悪くない作戦です。
安全校の考え方としては、自分の平均偏差値よりも5以上低いの学校を考えるのが基本です。
何度同じ学校を受験しても合格可能性は上がらない
たまにこんなことを言う塾があります。
「〇〇中なら、3回受験すればどこかでは受かりますよ」
確率を持ちださなくとも、おかしな意見ですね。
安全校の受験なら、1度だけだと何らかの失敗をする可能性があるが、さすがに3回は続けて失敗しない、そういうことならわかりますが、チャレンジ校には当てはまりません。
100mを12秒で走れる人が、1回だけの挑戦で失敗して13秒かかってしまうことはあるかもしれませんが、3回も走れば1回くらいは失敗せずに12秒で走れるでしょう。しかし、何回走っても11秒を切ることはないのです。
学校によっては、複数回受験する生徒を優遇してくれるところもありますが、すべての学校に当てはまりません。優遇の仕方も様々です。4科目の得点の良い回のものを採用してくれたり、数点おまけしてくれたり。まあ同点だった場合に有利かもしれない程度に思っておいたほうがよいでしょう。
行くつもりが無い学校は受けない
とくに東京の城南エリアや神奈川エリアの方にとって、1月の受験は無意味です。
1月には、「お試し受験」と称して、千葉・埼玉エリアの学校を受験する生徒が大勢いますね。本番の雰囲気に慣れることが目的で、進学が目的でない生徒がほとんどです。(もちろん進学するつもりの受験生もいますが)
例えば東大宮にある栄東中学は、例年1万人以上の受験生を集めていました。それだけ「お試し」受験生が多い証拠です。
さらに、地方の学校の首都圏入試というものもあります。九州や北海度等遠隔地の学校が東京に受験会場を設定して入試を行います。千葉・埼玉よりも近くて受けやすいと受験する生徒も多数います。
北嶺中学校(北海道)
函館ラ・サール中学校(北海道)
盛岡白百合学園中学校(岩手)
佐久長聖中学校(長野)
不二聖心女子学院中学校(静岡)
静岡聖光学院中学校(静岡)
海陽中等教育学校(愛知)
西大和学園中学校(奈良)
愛光中学校(愛媛)
早稲田佐賀中学校(佐賀)
長崎日本大学中学校(長崎)
一例として、こんな学校が東京会場入試を行っています。本気で進学するなら良い学校ばかりだと思います。ただし、進学するつもりがゼロなら、受けるべきではないと思います。また、地方の学校の東京会場入試は、ほとんどが「貸会議室」を使います。本番の雰囲気ゼロです。
・北嶺中・・・ベルサール秋葉原
・函館ラサール・・・TOC有明
・盛岡白百合・・・白百合学園中学高等学校ポーリニアンホール
・佐久長聖・・・慶應大学・順天堂大学・TKP市ヶ谷カンファレンスセンター
・静岡聖光・・・浜松町コンベンションホール
・西大和・・・ベルサール神田
盛岡白百合のように、せっかく白百合学園を使うのに、結局は教室ではなくてホールを借りているのでは。大学での実施も、中高とは雰囲気は違いますね。
そういえば、千葉の市川中も、毎年試験会場は幕張メッセを使います。受験生が多すぎて学校では収容しきれないからです。
本番入試の雰囲気も味わえないのに、大切な本番の2月直前の時期に、コロナ・インフル等の感染リスクを覚悟してまで受験する意義はありません。
せいぜい、時間配分のトレーニング程度の意味しかないと思います。
いくら1月に予行演習をしたところで、本番入試で緊張が無くなるわけではありません。進学予定でないのなら、1月の「お試し」受験はしなくてよいでしょう。
※塾の先生に、進学する気が1ミリもないのに「強力に」1月お試し受験を勧められた場合は、以下の4つの理由が考えられます。
◆思考停止・・・とにかく1月に受験するものだと教師が思い込んでいる
◆実績稼ぎ・・・大量合格が見込める1月受験は、塾の宣伝にプラスである
◆生徒をわかっている・・・とにかく緊張するタイプなので、1月受験の練習はマストであると、生徒の性格をよくわかっていて親身に勧めてくる
◆本番受験の合否を占う・・・「1月に市川不合格のレベルなら開成の受験は回避する」という作戦
後ろの2つの理由ならよいのですが。
万が一の万が一を想定しておく
受験本番で何が起こるかわかりません。
体調悪化や本人のミスなど、およそ起こり得る最悪の事態が重なることもあるのです。
だからこそ、万が一のさらに万が一まで想定しておくべきなのです。
また、「この学校以下の中学だったら受験はしない。公立中学に進学する」と豪語していたご家庭が、2月5日になって「今から出願できる学校はありますか」と駆け込み相談に来る場合もあるのです。
一度も見に行ったこともない、過去問を解いたこともない、そういう学校を受験する事態は避けたいですね。
いざとなったら出願できるように、書類等の準備くらいはしておくべきでしょう。
決めたら迷わない
一度受験校を決めたら、迷うのをやめましょう。2月1日の受験当日の朝、2枚の受験票を持って、どちら方面の電車に乗るべきかホームで迷った、などという笑えない話も聞いたことがあります。迷うにもほどがあります。
出願者数の推移を見るのもやめましょう。無意味です。合格倍率が高くなったら受験をあきらめるのですか?
「A中学に合格したらB中学にチャレンジ、不合格だったらC中学を受験」
こうした受験パターンも変えてはいけません。
受験の基本についてはぜひこちらをお読みください。
