
タロウ:遅くなっちゃった!
ゲンタ:もう授業始まってるよ。
タロウ:だから急いで走ってきたんだ。
ワタル:でも手にはコンビニの袋を持ってるね。コンビニに寄る時間はあったんだ。
タロウ:だって、喉乾いちゃったから。お茶くらい買ったっていいでしょ?
ゲンタ:駅前にはスーパーだってあっただろ? コンビニよりも安いのに。
タロウ:それはわかってるけど。でもスーパーだとレジにいつも並んでるからさ。僕、急いでたから。
ワタル:それなら自販機で買ったほうが早いと思うけど。
タロウ:それもわかってるけど。でも通り道の自販機には僕の好きなコーン茶が入ってないんだよ。
ゲンタ:コーン茶って美味しいよね。
私:それでは記述してもらおう。
一同:いきなり?
私:「人はどうしてコンビニに行くのか」について書いてもらおう。
タロウ:僕はコーン茶買いに行ったけど? それを書くの?
私:そのままそれを書いて点がもらえると思うか?
タロウ:思わない。
私:ちゃんとした記述の解答になるように考えてごらん。
コンビニに行く理由
タロウ:いちおう書いたけど。「コンビニには街の自販機には売られていないコーン茶のような飲み物を売っているし、スーパーのようにレジで並ぶ手間もいらない。だから人はコンビニに買い物に行くのだと思う」
ゲンタ:さっきの会話そのままだね。
タロウ:だって、それしか思いつかなかったんだもの。先生、これで点ってもらえるの?
私:まあ4点といったところだな。
タロウ:やった! 4点ももらえた!
私:4点くらいで喜ぶんじゃない。
タロウ:どこが良かったの?
私:良かったのは、具体的に書いてあったところだ。自販機に売られていない商品を買うことや、レジに並ぶ手間を省けるといったことを書けていたからな。だが、この2つをきちんと連携させるべきだった。なぜなら、コーン茶だったらスーパーでも買えるはずだからだ。
タロウ:それじゃあ、こんな風に書き直してみたらいいのかな?「スーパーとコンビニを比較すると、同じ商品なら価格はスーパーのほうが安いが、レジに並ぶ時間がかかるという問題がある。急いでいる場合は、手軽に購入できるコンビニを利用するほうが便利だから利用客が多いと考える」
ゲンタ:なんか全然違う解答になった! こっちのほうがいいね!
私:そうだな。これなら満点をあげられるな。
タロウ:最初からこう書けばよかったよ。
ワタル:「コンビニでは、宅配便の発送や受取りもできるし、コピー機も用意されているし、写真のプリントもできる。こうして生活の便利さを提供してくれる、まさにコンビニエンスな存在なのだ」
ゲンタ:なんかコンビニの宣伝みたい。これでいいの?
私:ああ、問題ない。コンビニが商品を売る以外の役割を担っていることを書いたのが良かったな。ただ、最後のフレーズがいただけない。そこを減点して8点だ。
ワタル:ええっ! そこが一番気に入ってたのに。
私:記述に飾りはいらないんだ。「・・・・便利さを提供してくれるから人が多く集まると考える。」で良かったんだよ。
ワタル:そうか。まさに「蛇足」ってやつだったんだね。
ゲンタ:「コンビニは、街のいたるところにあるから、買い物をするのにも遠くのスーパーや駅まで買いにいかなくても、必要なものを買うことができる。そのため、多くの人が利用するのだと思う」
ワタル:これもわかるよね。ほんと、どこにだってあるもんなあ。
私:確かにな。これも着眼点が良い。いくら便利な店だって、遠くまでわざわざ買いにいくのでは不便だからな。これは8点としよう。
ゲンタ:どうして減点したの? あ、もしかして具体例が無いから? そうか、必要な物の例をいくつかあげてみればよかったんだね。
私:何だ、自分で気が付いたのなら、最初からそう書きなさい。
ゲンタ:こういうのって、書いた後に気が付くんだよ。
タロウ:ところで先生、コンビニって海外にもあるの?
ワタル:そりゃああるさ。だってもともとアメリカ発祥なんだよね?
私:よく知ってたな。1927年に、氷販売店が他の商品も売るようになったのが始まりだとされている。これがセブンイレブンの創業だそうだよ。
ワタル:氷?
タロウ:そのころは冷蔵庫がまだ無かったからだよ。そうだよね?
私:いちおうそのころには発明されて売られてたんだが、値段が高かったんだね。
ワタル:日本では3種の神器として高度経済成長期にやっと普及したって習ったよ。
タロウ:アメリカのコンビニって、日本と同じなの?
私:同じといえば同じだが、違うといえば違う。
一同:???
私:アメリカではガソリンスタンド併設のコンビニが多い。そもそも街をぶらぶら歩きながらコンビニに寄るという生活スタイルではないんだ。それだからか、品揃えもだいぶ違う気がするな。日本のコンビニのように美味しいお弁当も売ってなかったぞ。
ゲンタ:でもハワイのコンビニは日本と同じ感じだったよ。
タロウ:ハワイ行ったことあるの!
ワタル:いいなあ。
私:みんなも受験が終わったらご褒美ハワイ旅行が待ってるかもしれないだろ?
タロウ:うちは受験にお金がかかるから期待できないなあ。
ワタル:うちも。
私:ハワイには、セブンイレブンもあるが、実は日本のセブンイレブンが経営してるんだ。あとはワイキキに多いABCストアは、日系人が始めたそうだね。うん、たしかにハワイのコンビニは日本と同じ匂いを感じるな。なんでだと思う?
ゲンタ:それはさっき先生が言った通りだよ。街歩きができるからじゃないの?
私:その通り! アメリカは基本的に車社会だが、ハワイ、とくにホノルルは歩いて買い物ができる街だからな。
タロウ:それじゃあヨーロッパは?
私:あることはあるが、コンビニというよりはミニスーパーのようなスタイルの店が多かったな。ただし24時間営業のところはほぼ無い。
ゲンタ:なんで?
ワタル:あ、わかった。夜は治安が悪いからでしょ?
私:それもあるが、そもそも法律で営業時間が規制されているんだ。 労働者の権利を守るためだね。
タロウ:なるほどね。
宿題
私:それでは今日はここまでとして、君たちに宿題を出そう。
一同:宿題!
私:嫌か?
タロウ:嫌に決まってるよ。宿題って単語聞くだけで蕁麻疹が出そう。
ワタル:そもそも先生だって宿題出すの嫌いじゃなかったっけ?
私:そうだな。宿題は勉強してから先生が指導するまでにタイムラグがあるのが嫌なんだ。
ゲンタ:本当は、僕たちの答案を添削するのが面倒くさいだけだったりして。
私:そ、そんなことは無いぞ。
タロウ:で、宿題って何?
私:みんなはコンビニによく行くよな。
ゲンタ:買う物がなくてもつい寄っちゃうんだよな。タロウはコーン茶買いに行くんだろ?
タロウ:いつもコーン茶だけ買ってるわけじゃないよ。でも、よく行くね。
私:それで、こんどコンビニにいった時でいいんだが、何か疑問を見つけてきてくれ。
ワタル:疑問? どんな?
私:本当になんでもいいんだ。コンビニに行ったら気が付くことなら何でも。
ゲンタ:本当に何でもいいの? それだったら簡単だね。
タロウ:なんだ。それなら宿題ってほどじゃないじゃないか。