
中学受験あるあるです。
親が無性にイライラするのですね。
子どもにもきつく当たります。子どもの反応にも、さらにイライラがつのります。
悪循環ですね。
今回は、そうした中学受験期の親のイライラをどう解消するのか、実際に過去の生徒の親が実践していた方法をいくつか紹介しましょう。
1.子どもをリスペクトした
Aさんは、子どもがどうして点数がとれないのか、納得できませんでした。毎回のように繰り返すケアレスミス。反省の色が見えないわが子。気が付けば、がみがみがみがみと、四六時中子どもに小言を言うようになっていたのです。
Aさんが「気づく」きっかけは、子どものこの一言でした。
「そんなに言うのなら、自分で解いてみればいいのに!」
何を! とキレかかりましたが、とりあえずその場はこらえます。翌日、子どもが学校に行っている間に、受験校の入試問題をとり出しました。中学入試の問題ごとき、自分だって合格点くらい軽くとれるだろう、そう思っていたからです。
4科目の問題を時間を計って解き終わった後、Aさんは変わりました。
まるで歯が立たなかったからです。
実はAさんは、中学受験経験者でした。最難関校ではありませんでしたが、中堅女子校出身です。それなのに解けなかったのです。
算数は、自分が問いたころには見たこともない問題が並んでいる(ように思えた)のです。自分が小学生のときには一番算数が得意だと思っていた自信が打ち砕かれました。
国語は、さすがに大人だし楽勝だろうと思っていたのですが、記号選択と記述問題で減点されました。
理科は、そもそも天体の運航や星座、さらに火成岩などが苦手だったのです。そればかりか、りんじくの計算や濃度計算、さらに電気回路の抵抗の計算ができません。「私のころはこんな問題なかった」と思いましたが、もちろんそんなことはありません。
社会科は好きで得意だった思い出があります。しかし、今の入試問題はA子さんが受験した〇〇年前とは大きく様変わりしていました。単純に地名や地形を聞くような問題、歴史の登場人物を聞くような問題は少ししかないのです。その代わり、社会問題に鋭く切り込むような記述問題や、歴史の背景の理解を必要とする問題など、多彩な問題が出題されていました。
「こんなに難しい問題が解けなくてはいけないんだ」
そう思ったとき、その高い壁にチャレンジしようとしとしているわが子に対する同情と尊敬の念がわいてきたそうです。
同情の気持ちは封印しました。受験をする以上、「こんなに勉強しなくてはならないなんてかわいそう」などと思っている余裕はないからです。
それよりも、「こんな勉強をするわが子」を素直に尊敬する気持ちが生まれてきました。尊敬というと大げさですが、「見直した」ということでしょうか。さらにこの関門をクリアしてきた生徒だけが集まる私立中学の生徒にも感心したのです。
それからのA子さんは、小言の量は減り、わが子を褒める場面が増えたそうです。それとともに、いつのまにかイライラすることも減りました。
2.親が現実を知った
わが子のことですから、父親も母親も高い期待を抱きます。とくにBさんは、息子の学力に自信を持っていました。幼い頃から、周囲から優秀さを褒められることが多かったからです。しかし都内の優秀な生徒ばかりが集まる塾に通うようになってから、その自信は打ち砕かれることになってしまったのです。塾の指示に従って、生活のすべてを勉強にささげ、必死にやらせているのに、成績は上がないどころか下降線を描きます。優秀なはずのわが子のだらしなさに歯ぎしりする思いのBさんは、子どもと喧嘩することも増えていたのです。
ある時、Bさんの子どもは外部の塾の模試を受けにいきました。学校を借りて実施される模試は、子どもたちが試験を受けている間に講堂が待合室として解放されていたのです。今子供たちが解いているのと同じテストが配られました。ちらりと開いて鞄にしまおうとしたBさんは、周囲の保護者の様子にびっくりしたのです。保護者の何人もが、配られたテスト問題にペンを走らせて解いていたからです。
「親が問題を解けるのは当たり前なんだ」
Bさんは、学生時代から勉強は好きでも得意でもありませんでした。父親も優秀な学力を誇るタイプではありません。その二人の子なのです。あまりに過剰な期待を抱きすぎていたのかも。そう考えると、いろいろ腑に落ちたのですね。何が何でも最難関校を目指さなければならないというプレッシャーに自分もとらわれ過ぎていたことに気づきました。
勉強ができる部分もできない部分も含めて息子のキャラクターなんだと考えるようになってから、子どもとの喧嘩が減ったのでした。
3.父親に丸投げした
Cさんは、低学年のうちは、母親が子どもの勉強にべったりと付き添いました。簡単な問題なのに理解できないわが子に腹立たしい日々です。しかし、4年生になると急に難易度があがります。そこで、父親に全てをバトンタッチすることにしたのです。もう母親は勉強内容には一切かかわらないことにしました。美味しい食事を作るだけが仕事です。そうやって子どもの勉強を手放すとなんと楽なことか。テストの点数が悪いのは父親のせいにできるのですから。子どもに対してイライラすることはめっきり減ったのです。
4.社交ダンスを始めた
Dさんは、知人に誘われて社交ダンスを始めました。すると、見事にはまったのです。音楽に合わせて身体を動かすことも楽しいですし、うまくなっていく実感がさらに練習に向かう気持ちをかきたてます。社交ダンスの教室で知人も増えました。子どもを通してつながっている知人と違って、気兼ねなく話ができるのが新鮮です。教室に習いに来ている方の年齢層は比較的高く、Dさんは「若い」と言われることもまた新鮮でした。子育てが一段落したダンス仲間の方には、子どものこともいろいろ相談できます。相談というより愚痴ですが、さすが経験者だけあって、Dさんの話にも「うちもそうだったよ」といってもらえるのでした。
すると、いつのまにか、イライラすることも減ってきたのです。
まとめ
そもそもイライラするのは、親のほうに原因があるのです。
「親の考える理想の子ども像」とのギャップにいらだちを覚えるのですね。
一度そうした考えを捨てて、子どものあるがままの現状を見据えるところから始めることが大切だと思います。
また、Dさんのように趣味を見つけるのもいいですね。社交ダンスに限りませんが、興味のあることに夢中になるのは素敵です。どうしても子育て中の交友関係は、いわゆる「ママ友」が中心になりがちです。それ以外の交友関係、気兼ねなく話ができる友人・知人がいることはイライラ解消にとても大きいと思うのです。
上の例には紹介できませんでしたが、子どもを放って毎週のように遊びに出かけていた母親もいましたね。これは生徒本人から聞きました。子供ってなんでもしゃべってしまいますので。ジャニーズ系の追っかけをしていたのだったかな? 子どもを放置しているという負い目?からか、子どもには優しく接することができていたようでした。