中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

子どもの勉強環境について なぜ皆リビングに来たがる?

今回は素朴な疑問がスタートです。

なぜ子どもってリビングルームで勉強したがるのでしょうか?

1.リビングルーム学習がダメな理由

 一時期、「リビングルーム学習」がもてはやされたことがありました。私のおぼろげな記憶によると、某大学の先生の研究で、「頭の良い子はリビングルームで学習している」という研究成果が話題となったのがきっかけだったような。

これも私のおぼろげな記憶では、頭の良い子(=成績の良い子)の学習環境は、何か特別に違いない、という先入観を証明すべく、調査をした結果だったと思います。独立した子供部屋、静謐な学習環境、そうしたものを想定して調査したところ、結果は真逆だった、そういう話だったと思います(記憶が曖昧ですいません)。

 しかし、私はリビングルーム学習には反対です。気が散るという一般的な理由ではないのです。

◆照明

◆机と椅子の高さ

この2点がダメなのです。

 

まず照明について。学習に最適な照度は、1,000~1,200 Lx(ルクス)とされています。

それに対して、ダイニングテーブルの照度の目安は、200~500Lx程度です。

明らかに照度が不足しているのです。

 

次に机と椅子の高さについて。

一般的なダイニングテーブルの高さは、70cmくらいで、椅子の座面の高さは40cmくらいですね。

そして、子どもの学習机と椅子の高さは、JISによってこう定まっています。

身長135cm・・・机:58cm 椅子:34cm
身長150cm・・・机:64cm 椅子:38cm
身長165cm・・・机:70cm 椅子:42cm

 

一般に、最適な椅子の高さは、身長×0.25、そして机と椅子の差は身長÷6 とされているのです。

 

もしお子さんの身長が165~170なら、ダイニングテーブルの高さは丁度よいですね。あとは椅子もほぼほぼOKかな? 少しなら座布団で調整できますし。

しかし、小学生男子6年の平均身長が150cmくらいであることを考えると、明らかにテーブルの高さも椅子の高さも合っていません。

高さがあっていない机・椅子での学習は、弊害しかないのです。

×背中を丸めて勉強

×目をテキストに近づけすぎる

×文字が書きづらくてすぐに疲れる

 

どれも成長期の子どもにとっては由々しき問題です。

 

2.どうしてリビングルームに来るのか?

きちんと子ども専用の勉強部屋がある家庭も多いですよね。それなのになぜ、せっかく用意した勉強部屋ではなくリビングルームで勉強したがるのでしょうか?

 

◆勉強机の上に物が積まれ過ぎて使えなくなっている

最も多い理由がこれです。

一度お子さんの勉強机の上をチェックしてみてください。ものすごいことになっていませんか?

「片づけなさい!」何度注意したことでしょう。注意した直後だけは片付くものの、すぐに物で溢れます。

私はこれを、The Law of Desk Clutter と名付けました。 机上ごちゃごちゃの法則、です。

本当に子どもって、平なところがあればすぐに物を積み上げますよね。「片づけなさい!」と叱っても、机上の物が別の平らな面に移動するだけですから。

 

◆一人だと寂しくて勉強がはかどらない

 子どもは基本的に寂しがり屋です。一人で勉強部屋に閉じこもって集中できないのです。誰かに見ていてほしい、誰かに見守っていてほしい、誰かの存在を身近に感じていたい。そういう志向なのですね。

 これには、一所懸命勉強している姿を見て「褒められたい」という理由とともに、「叱られたい」という隠れた欲求もあるから厄介です。

 

◆自分ひとりで苦労したくないので殉教者を求めている

 自分だけが勉強させられている。そういう被害者意識があります。もしリビングで両親や弟や姉たちが楽しそうに談笑しながらテレビを見ていたらどうでしょう。ますます疎外感と被害者意識が募りますね。

そこで、家族団らんの中心地であるリビングルームに陣取るのです。そうすると、家族はテレビを見られません。談笑するのも遠慮がちになります。こうして仲間=犠牲者を作ろうとするのです。

 

◆勉強に集中したくない

 どう考えても、静かな専用勉強部屋のほうが集中して勉強できるにきまっています。あえてそこを脱出して騒がしいリビングに来るのですから、考えられる理由は、「勉強に集中したくない」に他ならないでしょう。

本音を言えば、「勉強したくない」のです。しかし、やらねばならないことは自覚しています。やらないと怒られることもわかっています。そこで、勉強している姿勢を周囲にアピールすることができるものの、実はさほど集中できず、疲れもしない、そういう環境であるリビングルームに来たのですね。

言い訳も用意してあります。

「静かすぎるとかえって集中できないから」

「一人だとついさぼってしまうから、見守っていてほしい」

「机が広くて問題集を広げやすいから」

「わからないことをすぐに質問できるから」

すべてただの言い訳です。

勉強したくない、という本音が、勉強しているように見えて実はさほど勉強にならない、リビングルームへの逃避の理由になっているのでしょう。

 

3.どうすればいい?

 答は2つです。勉強部屋に追いやるのか、それとも別の勉強場所を作るのか。

 

理想的なのは、子どもを一人にしない勉強環境を作ることなのです。子ども専用の勉強部屋を無くし、そのかわりに父親の書斎の隣に机をもう一つおくのです。子どもが勉強している間、常に父親が隣で何か仕事・勉強をしています。もちろん母親でもかまいません。子どもの年代には過酷すぎる学習を強いているのですから、親もそれくらいの犠牲は甘受しましょう。犠牲と書きましたが、むしろ福音かもしれません。子どもの学習に寄り添うことができるのですから。

 

それが難しければ、家族の気配がする環境に学習机を設置することをお勧めします。たとえばリビングルームの一番隅に机を置くとか、廊下の端に設置するとか。家族からも、子どもの様子が常に見えている環境はいいですね。

簡単なパーテーションやカーテン等で、半分だけ仕切るのも有効です。

例えとしてどうかとも思いますが、飲食店のボックス席って何か落ち着きませんか? さらに席と席、席と通路の間がすだれや半透明のロールカーテンのようなもので簡単に仕切られているところもありますね。(すいません、居酒屋のイメージです)

 

どうせ何を言ったところでリビングに来るのです。それなら、勉強部屋とリビングの中間のような環境を作ってあげるのも良いと思います。何より、リビングテーブルの上を問題集で占拠されなくてすみますので。

 

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