
私見・偏見シリーズ? 2回目の今回は、「女子学院」について語り散らかします。
私は、今までは、なるべくニュートラルな立場を心がけ、特定の学校を持ち上げたり貶したりすることのないように気を遣っていました。しかし、そうした記事は、書いていておもしろくないのです。そこで、リミッターを外し、好き勝手に書くシリーズを始めることにしました。それが、「私見・偏見シリーズ」です。何のことはない、私が自分の勝手な意見や偏見を書き散らかすだけのコーナーです。あくまでも「私個人の感想」レベルの記事ですので、これを読んで、「〇〇中学はそんな学校じゃない!」「私は君の意見に反対だ!」などと怒らないで、広い心で読んでいただければ。
ブログですから。記事を読まない自由は常にあなたにあります。
記事内の情報の正確さは保証しません。これはそういう記事です。
歴史と伝統
私は職業柄、歴史や伝統が大好物です。歴史ある学校の沿革など調べているとワクワクします。そのため、「令和〇年、△△女子校を共学化し、〇〇グローバル中高として発足」などといった、ビジネスの匂いが横溢している学校よりも、「明治〇年、元薩摩藩士で儒学者であった△△により設立」というほうが魅力的に映るのです。
この学校の沿革も素敵です。何せ日本最古の女子校ですから。フェリスとともに日本最古の女子校です。
1870(明治3) ジュリア・カロゾルスにより、築地居留地にA6番女学校として設立
1890 女子学院に改称。初代院長矢嶋楫子。
初代院長の矢嶋楫子については、三浦綾子の著書がお薦めです。女子学院というより、幕末から明治を生き抜いた一人の女性の物語として興味深い著作です。
女子学院の自由
女子学院は、自由な校風を知られています。まず、制服が無いのが目を惹きますね。
制服が無い女子校を他に探すと、東京では立教女学院・恵泉女学園くらいでしょうか。
立教女学院には、学生にふさわしいドレスコードがあると聞きました。「なんちゃって制服風」が多いイメージです。恵泉女学園は、HPによると、「本校では、創立当初から制服を定めていません。自分らしさを表現し、その時々の状況に相応しい服装を自分で選び取る力を養わせたいと考えているからです。しかし、何もかも自由というのではなく、ルールはあります。例えば、袖のある服を着ること、ズボンは十分丈であることなどです。華美でない清潔な服装に、校章を付けて通学するよう指導しています。」となっていますね。
「制服無」の定義が、私の考える「服装が自由」とはだいぶ異なります。
女子学院の「制服が無い」は、本気で自由ということのようですね。生徒曰く、「和服と着ぐるみ以外はOK」と言われたそうですが、これは先生のジョークでしょう。生徒情報によると、「量産型」「地雷系」「ロングブーツ」「へそ出し」「お嬢様風」「ロッカー風」等が普通にいるそうです。もちろん大半はジーンズにパーカーといった服装だそうですが。「量産型?」「地雷系?」何度聞き直しても理解できませんでした。
髪色も自由です。文化祭に行くと、鮮やかな緑髪にセーラー服などという生徒を見かけます。全てが生徒まかせということでしょう。もっとも、そうした多様な服装・多彩な髪色でありながら、女子学院の生徒に共通した外見上の特徴があるそうです。それはテキスト類ではちきれそうな重いリュックを皆背負っていることだとか。
1969年に生徒と教師が徹底的に話し合うことで制服が廃止されました。当時の大島院長は、「服装は本来自由なものであって、通学服も同じこと。自分にふさわしいものを選びとっていくことが大切。このためには規定は邪魔になる」と語ったそう。
さらに、「派手な服装や流行に流される風潮があるとすれば、すでに学校の教育に大きな欠陥があることを示すだけ。服装よりも教育の在り方そのものを反省すべきである」と言い切りました。
なかなかかっこいいですね。
ところで、昔の制服を作る洋服店でほとんどの生徒がセーラー服を注文するそうです。年に数回だけ着ると聞きました。もちろん制服ではないので、作らない生徒もいます。
外見に気を取られますが、この学校の「自由」はこのような考えに基づいています。
「あなた方は聖書を持っています。だから自分で自分を治めなさい。」
これは初代院長矢嶋楫子の言葉です。このセリフもかっこいい。
「私共の学校には生徒を規則で縛りつけるやうな、『可からず』とか『すべし』などは一つもありません。凡てが自由でありたい、互いの人格を尊重し合って疑はず、しかも心と心とが隙間なく睦合って居たい。かう云ふのが私の理想なのです。」(三谷民子)
理想ですね。しかし、この理想を実現するのが難しい。また、保護者の側にも、ルールで生徒を縛ることで、正しい?道を歩ませてほしい、というニーズがあるのです。昨今、「手取り足取り」「大学合格」まで導いてくれる学校が人気なのは、そういうことなのですね。
そう考えると、女子学院のような「自由」な学校は、トレンドではないのでしょう。
だからこそ、女子学院は唯一無二の学校として光っていると私は思います。
宗教
女子学院がミッション系であることは知られています。プロテスタントの一派、長老派ですね。長老派は、宗教改革のカルヴァン派がルーツです。
自由な校風が目立つため軽視されがちですが、この学校は宗教教育にも特色があります。
◆毎朝の礼拝
◆修学旅行も学校行事もまず礼拝から
◆日曜に自宅近くの教会に行くことを推奨
これについては、入学してすぐに自宅近所の教会を探して行くそうですが、もちろん毎週通う生徒はほぼいない(ゼロ?)でしょう。興味本位で何度か行く程度が普通と聞きました。夏休みには1回行ってレポートを提出するなどという話も聞きましたが、みんな真面目に行っているのかな?
◆聖書の授業
こうした宗教色の強い授業や行事については、賛否両論だと思います。そもそもそれをきらう方はミッション系の学校は受験しないでしょう。
私個人としては、人生の一時期に、きちんとしたキリスト教の教育や聖書に触れることも悪くはないと思っています。とくに欧米の人と交流したり、あるいは欧米の小説を読んでいると、その背後に確実にキリスト教の匂いがするからです。
ユダヤ教徒やムスリムもいますが、やはり欧米ではキリスト教の影響が大きい。彼らの精神構造のバックボーンにあることは間違いないですね。聖書だって、個人で読もうと思うと大変です。私も何度もチャレンジしましたが、その都度挫折しました。それを学校で解説してくれるのなら願ったりかなったりです。
ヨーロッパのゴシック建築の聖堂や美術館を訪れるときにも、キリスト教の知識が必要です。それが無いと面白くもなんともないですから。
魅力
前述したように、この学校の魅力は、「歴史」「自由」にありますが、もう一つ特筆すべきことがあります。それは生徒の多様性と能力です。
単純な話なのですが、例えば合格偏差値が50の学校があったとしましょう。この学校を受験し合格し進学する生徒の学力層は、偏差値40台から50台におさまります。偏差値で60以上の生徒はめったに進学してきません。こうした生徒は、さらに上を目指した受験戦略をとるからです。
「学校の魅力は偏差値でははかれない」のは事実です。ですが、きれいごとすぎますね。現実はもっと生臭いものです。みな、少しでも偏差値が上の学校を目指しているのですから。偏差値が上ということは、その学校目指して努力してきた生徒たちの努力値を示すのです。
しかし、女子学院になると、これ以上「上」の学校が存在しません。数字的には桜蔭が若干上ですが、「偏差値が足りないから桜蔭をあきらめて女子学院に進学」「偏差値が上がったから女子学院を捨てて桜蔭を受験」という生徒は皆無です。(まあ、若干名はいるでしょう。学校の魅力を東大実績だけに置いている家庭です)
女子学院は個性的(癖の強い?)学校です。この学校を志望する生徒は、ぶれずに受験→進学する生徒が大半です。
つまり、首都圏女子受験生の最上位層が、女子学院には進学してきます。実際に指導してきた女子生徒たちの成績最上位の子たちは、桜蔭・女子学院に2分されました。最近では渋谷渋谷を目指す生徒が出てきましたが。もちろん、慶應中等部や早実を目指す成績優秀な生徒もいますが、「大学受験回避」を目的の一つとしているこの子たちと、桜蔭や女子学院を目指す子では、何かが違うというのが私の感触です。
女子学院には、成績で「青天井」の生徒が何人もいるのです。これは、最難関校に進学する大きなメリットです。そういう子から受ける刺激は、他では味わえませんので。
さらに、「東大・医学部」進学を価値観とする生徒が少ないことも利点です。東大一直線塾の「鉄緑会」のHPによると、2025年現在、在籍している生徒数は、桜蔭が912名で、女子学院が307名となっていました。桜蔭と女子学院の学年人数は同じくらいですから、鉄緑会に通う生徒がざっと桜蔭の1/3ということですね。
せっかく、私立中高一貫校に進学するのですから、6年後の東大合格だけを考えて鉄緑会に染まる6年間ではあまりにも「わびしい」というのが私の意見です。
私が女子学院を気に入っている理由の1つです。
開成と麻布が、異なる受験生層を集めるように、桜蔭と女子学院もまた、別個の受験生層を集める学校だと思っています。
さらに、卒業生の顔ぶれが多彩なのも特徴です。歴史のある学校は錚々たる卒業生を誇るものですが、女子学院の卒業生の顔ぶれは多彩ですね。
政治家・官僚・学者も輩出していますが、女子アナやタレント、アイドルに、小説家や漫画家など多士済々です。最近では、「羊文学」というオルタナティブロックバンドを率いる方が卒業生です。ファーストアルバムのジャケット写真を見れば、「あ、女子学院の制服だ」とすぐにわかります。私が最近気に入っているバンドです。
「絶対東大or医学部!」
「学校が手取り足取り受験勉強をさせてほしい!」
「学校から親への連絡が密でなければ」
「親が学校にもっと関わりたい」
「綺麗な設備・カフェテリア」
「土曜の授業・補習希望!」
「キャリア教育が最重要!」
「イマージョン教育で中3で英検1級!」
「グローバル・帰国生・留学!」
こういう価値観の方には全く向きません。この学校の価値も目指すものもそこにはありませんので。

