
6年生になると、様々な塾で毎月・毎週のように模試が実施されています。普段通っている塾の模試だけでは不安です。他塾の模試を受けたほうがよいのでしょうか?
模試を受ける意味
そもそも模試を受験する意義は何でしょう?
(1)合格可能性を知る
〇〇中学合格可能性60%
こうした数字を知りたいから受ける場合があります。志望校選定の目安とするためですね。ただしあくまでも「目安」にすぎません。
しかもこの数字の精度を上げるためには、同じ学校を受験する生徒が多数、多年度にわたり受験する模試でなくては意味がありません。例えば、「開成中合格判定模試」という模試があったとします。開成中の2025年の受験者は、1146名でした。そして436名が合格しています。この開成受検者1146名のうち、少なくとも半数以上、できれば7割くらいの受験生が模試を受験していてほしいですね。そして合否結果を模試主催者がきちんと把握する。そこではじめて、模試の合格可能性の数字が意味を持つのです。
2025年に開成中の合格者が3桁に達したのは、SAPIX・早稲田アカデミー・四谷大塚の3塾でした。その中でもSAPIXが260名以上と、2位の早稲田アカデミーに100名以上の大差をつけて合格者を出しています。つまり、開成中受験生なら、SAPIXの模試一択となるのです。
(2)偏差値・順位を知る
その模試受験者の中での相対位置を知ることが目的です。この場合は、受験生がなるべく多い模試でなければ意味をなしません。5000名以上の受験生を集める模試は、首都圏では以下の4つです。
・SAPIX
・四谷大塚
・日能研
・首都圏模試
このうち、首都圏模試だけが、塾屋ではなくテスト屋が主催しているものです。
そして難易度の順は、SAPIX>>四谷大塚≧日能研>>>首都圏模試 となっています。
昔を知る方なら、「四谷大塚≧日能研? どう考えても四谷大塚>>日能研だろ!」と思われるかもしれません。しかし、それは昔の話です。今は四谷大塚と日能研の生徒層に大きな学力差はありません。若干四谷大塚の方が上かな? 程度です。両塾が算出する、学校の合格偏差値も同じです。
SAPIXは、偏差値でみると、10近く、四谷大塚・日能研と離れています。四谷大塚
・日能研で合格偏差値が60と出ている学校は、SAPIXの偏差値では50程度に算出されているのです。したがって、難関校、それも最難関校を目指す生徒が受験すべきなのはSAPIXの模試ということになります。
首都圏模試は、塾主催の3大模試と較べるとだいぶ受験者の学力層が異なります。日能研・四谷大塚偏差値で50くらいの学校が、首都圏模試偏差値では60程度となっています。
(3)予行演習
普段と異なる環境で緊張して受験することに意味があります。また、近年は模試の会場として私立中高の校舎を使うことも多くなりました。塾での受験より、さらに本番気分が盛り上がります。
(4)問題演習
問題演習と間違い直しの材料として模試を利用するのです。この場合、クセの有る模試よりも、オーソドックスな出題の模試のほうが有効ですね。したがって、「〇〇中模試」といったものよりも、一般的な模試のほうをお勧めします。
受けるべき模試
まずは、四谷大塚と日能研の模試をお勧めします。受験者数も多く、問題も一般的だからです。また首都圏の受験者の真ん中あたりのレベルの生徒が多く受験します。
この模試で、偏差値が真ん中あたりと算出されるのなら、模試の難易度・受験者層とお子さんの成績がマッチしていることになります。
しかし、この模試で偏差値が60を超えるようなら、次からはSAPIXの模試に切り替えましょう。そこに本当のライバルが集まっているからです。
日能研・四谷大塚の模試で偏差値が40を下回るようなら、次からは首都圏模試に切り替えましょう。そこが適切なレベルの模試だからです。
他塾の模試は不要
基本的には、お通いの塾の模試だけで十分です。
日能研・四谷大塚・SAPIXのいずれかにお通いなら、そこの塾の模試だけで問題ありません。他塾の模試を受けると、時間も費用も労力も無駄になるだけですから。
ただし、中小塾の場合は注意が必要です。自塾で多数の受験生をかかえておらず、他塾の模試が最初から組み込まれている場合がほとんどだからです。
例えば、5教室程度の展開のK塾という塾があるとしましょう。ここでは、自塾の模試しか推奨していません。もしどうしても外部模試を受けたいのなら、SAPIXの模試を受けさせています。
しかし、合格実績を見ると、中堅校かそれ以下の学校がメインの塾なのです。あきらかにSAPIX模試は生徒の学力層と合っていません。
また、「筑駒オープン」を実施しているT塾があります。残念ながらこの塾から筑駒に合格するのは毎年1名程度です。おそらく塾の教師には筑駒の受験生を指導した経験が皆無です。
このように、中小塾の場合こそ、塾まかせにするのではなく、御家庭で模試の受験を判断する必要が生じます。
注意・・・無料模試は受けてはいけない
多くの塾で、無料の模試を実施しています。問題作成にも試験実施・運営にもデータ算出にも多額の費用がかかる模試を無料で実施する目的はたった2つしかありません。
◆生徒獲得
◆合格実績獲得
まず、無料模試の受験者層に問題があります。「無料だからとりあえず受けてみる」という受験生が必ず混ざっているからです。
とくに、全国規模で実施している「四谷大塚全国統一小学生テスト」は受験する意味は皆無です。中学入試は首都圏・関西圏等限られた地域の世界です。全国の小学生と競うことに意味はありません。
5年生くらいまでなら、無料模試を受けてみて、気に入ったらそのまま入塾するということもあるでしょう。しかし6年生になったら、こうした無料模試は受ける意味はありません。
もっと危険なのは、合格実績獲得を目的とした無料模試です。その模試で好成績をとった生徒を執拗に勧誘することで、自塾の合格実績に上積みすることが目的なのですね。実に姑息なやり方ですが、こうしたやり方に注力する塾が多いのも事実です。大手塾の中にもあるのは困ったものです。
目的が目的ですので、模試の精度も受験者数も低く、受ける価値はありません。受験生に余計なノイズが入るだけです。
※早稲田アカデミーについて記事では全く触れていませんが、それは早稲田アカデミーが四谷大塚の提携塾だからです。四谷大塚という塾は、もともとテスト会としてスタートしました。毎週日曜日(当時)に行われるテストのために、自宅で「予習シリーズ」という教材を使って予習し、テストに臨むというスタイルでした。テスト体系・カリキュラム・テキスト体系が完備していますので、自前でテストやテキストを作れない塾がこぞって四谷大塚の予習シリーズ・日曜テストを採用したのです。「準拠塾」とよばれていました。やがてこれらの塾は、「四谷大塚YTnet提携塾」となります。
早稲田アカデミーも「四谷大塚YTnet提携塾」ですので、テストは四谷大塚のものを使っています。
一部、早稲田アカデミーオリジナルのテストもあることはあるのですが、それらはほぼすべて「無料」模試となっています。