中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【ロジカルライティング】夏休みの宿題の定番、自由作文をどう攻略する?

自由作文の宿題

タロウ:先生、助けて!

私:どうした? さては夏休みの宿題が終わらないんだな。

タロウ:どうしてわかるの?

私:だって、もう夏休みが終わるところだからな。

タロウ:僕、すっかり忘れてたんだよ、自由作文を書く宿題。先生、助けて!

私:自業自得だな。自分で何とかしなさい。

タロウ:先生の鬼!

ワタル:先生、タロウが困ってるじゃないか。何とかしてあげようよ。

ゲンタ:そうだよ。自由作文の書き方、教えてあげればいいじゃないか。

私:何か怪しいな。さては、ワタルとゲンタも自由作文の宿題、終わっていないのだろ?

ワタル:ばれた?

ゲンタ:後で書こうと思ってはいたんだ。そうしたらもうこんな日になっちゃって。

私:仕方がないな。それじゃあ、自由作文を何とかするコツを教えてあげるから。

一同:先生に後光が差して見えます。

 

自由作文のテーマ

私:テーマくらい考えたんだろうな?

一同首を横に振る。

タロウ:自由作文っていうくらいだから、何を書いてもいいんだよね。

ワタル:自由って言われるとかえって何書いていいかわからなくなってさ。

ゲンタ:一回書きかけたんだけど、日記みたいになっちゃって。

私:「自由作文」という言葉が良くないんだ。これは「不自由作文」と思ったほうがいい。

タロウ:「不自由作文」? つまり何を書いてもいいってわけじゃないんだ。

私:本来の目的は、生徒に自由にテーマを考えさせることにあった。だけれど、今の学校教育がそうはなっていない。生徒が自由に考える機会も指導も不十分なのに、いきなり「自由にテーマを考えなさい」といっても、それは不親切すぎるよな。

ゲンタ:そうなんだよ!

私:それに、「自由」と言いながら、学校の先生には書いてほしいテーマがある。

タロウ:何?

私:ずばり「将来の抱負」だ! 

ワタル:将来の抱負って、どんな大人になりたいとかどういう仕事をしたいとか、そういうの?

私:そうだな。一応定番の攻め方としては、3つある。

(1)過去の体験・・・学校・家庭・その他

(2)現在の状況・・・学校・家庭・その他

(3)未来の抱負・・・職業・人間・希望

タロウ:もう少し詳しく教えてよ。

私:まず過去の体験についてというのは、実際に体験したことを書くだけだ。家族で旅行に行ったときの思い出とか、学校の遠足のこと、あるいは運動会で1番になった思い出とかだな。ただし、ものすごくつまらない。これを書くと、ただの日記になる。

ゲンタ:それだよ! 僕、それを書こうとしたら、なんだか幼稚になっちゃって。

私:それは仕方がない。なぜなら君たちは小学生だからな。言っちゃ悪いが、大した経験はしていない。学校と家と、あとは塾を往復しているだけだからな。例えば、ボランティア活動で毎週老人ホームに行っている人はいるか? 国際ピアノコンクールで入賞した人はいるか? 起業した者はいるか? 自分たちで資金を集めて国連の会議に参加した者はいるか?

タロウ:そんなの無理だよ。

私:そうだな。無理だな。昔1992年のブラジルの会議があっただろ?

ワタル:国連環境開発会議!

ゲンタ:リオデジャネイロ!

私:その会議に、カナダで環境保護活動をしていた女の子が、自分たちで資金を集めて、リオデジャネイロまで出かけて国連の会議で演説をしたんだ。わずか12歳だった。

一同:12歳! 同い年だ!

私:それくらいの経験があるのなら、いくらでも書くことはあるよな。でも残念ながら君たちにはそれがない。したがって、過去の経験について書くことはおすすめしない。書いてもいいが、つまらないからな。

ゲンタ:う、やめておく。

タロウ:それじゃあ、現在のことを書くのは?

私:書くとすれば、学校か家庭のことになるけど、何か書きたいネタはあるかな?

ワタル:うん。僕の家、最近犬を飼いはじめたんだ。

私:おお、いいな。それで?

ワタル:ラブラドールレトリーバーなんだけど。お父さんの知り合いの知り合いの家で生まれてさ。大型犬なんか引き取りてがなかなかいなかったんだって。それで、うちで引き取ることになった。

私:いいぞ。それから?

ワタル:毎日散歩させなくちゃならないんだけど、これが大変なんだよ。だって今凄い暑いだろ? 犬は暑いの苦手だから、早朝の5時くらいに起きて散歩させるんだよ。それで、今は僕でも何とか散歩できるけど、そろそろ無理かも。力が強くて引きずられそうになるから。

私:それでどうするんだ?

ワタル:今家でもめてる。ママは犬があんまり好きじゃないんだ。でも、パパが仕事で忙しいから、結局散歩も世話もママがやることになりそうだし。うちは犬を飼う余裕はありませんって怒ってる。

私:いい! いや、ママが怒ってるのがいいのではなくて、いい体験をしているって意味だ。みんな気軽にペットを欲しがるけど、実はそれは強い責任を伴うことなんだ。ラブラドールレトリーバーは毎日朝晩の散歩が欠かせないし、予防注射だって必要だし、耳掃除やお尻の洗浄、もちろん定期的に洗ってあげないとならないな。放っておけないから旅行にも行けなくなる。そうした生活が最低でも10年以上続くんだ。

ワタル:うわ。犬は可愛いけど、それはちょっと。

私:そうしたことを書いていけば、とても良い作文になると思うぞお。

ゲンタ:犬を飼ってもいないし、何も事件が無い場合はどうしたらいいの?

私:そういう場合は、未来の抱負を書く。

 

社会問題

ゲンタ:それじゃあ、僕は将来こんな仕事がしたいですって書けばいいの?

私:そうだ。ただし、それだけ書いても幼稚すぎるな。

ゲンタ:そうだよね。じゃあどうしたら?

私:本来は、身近な自分のことを書くのがセオリーなんだが、たぶんそれだと幼稚な文章にしかならないだろう。「僕の将来の夢は〇〇になることです」なんて作文、読む先生も嫌だと思うぞ。そこで私のお勧めは、「社会問題」について書くことだ。

タロウ:社会問題って、例えば環境問題とか?

私:そうだ。他にもいろいろあるだろ?

ゲンタ:少子化問題とか高齢社会の問題とか。

ワタル:貧困の問題とか食料問題とか。

タロウ:オーバーツーリズムだって問題だよ。

ゲンタ:今年の米不足だってっ問題だ。

ワタル:教育格差も習ったよね。

私:ほら、たくさん知ってるじゃないか。そうした問題について、知っていることをきちんと書くんだ。君たちは小学生だからな。小学生はアウトプットよりインプットが優先する時期なんだ。だから、君たちが学んできたことを書くことはとても大切だな。そこに「自分はこうする」なんてことはあえて書く必要はない。所詮無理だからだ。それより「自分はもっと知りたい・勉強しなくてはならない」って書くんだよ。

ゲンタ:何か書けそうな気がしてきたよ。

タロウ:いつもこの教室で書いているようなことで良かったんだね。

ワタル:犬の話じゃなくて、そっちを書こうかな。