中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】塾の先生には頼れない?

今回は、少々刺激的な内容となります。

心してお読みください。

 

今塾にお通いのみなさんに聞きたいのです。

その塾の先生、本当に頼れますか?

 

YES! と言える人はラッキーでした。記事の続きを読む必要はありません。

しかし、NO! と思う人、あるいは Yes or No?  と迷う人は、ぜひこの記事をお読みください。

塾の教師に求めるもの

 

 みなさんが塾の教師に求めるものは、以下にまとめることができるでしょう。

 

(1)指導力

 ①豊富な教科知識

 ②わかりやすい授業

 ③子どものやる気を引き出す力

 ④子どもの疑問に答える力

 ⑤無駄のない授業構成

 

 先生ですからね。これくらいを求めるのは当然ですね。

 親でも教えられる程度の内容をつっかえつっかえ授業されるのでは困ります。親でも即答できるような質問に立ち往生するようでは困ります。無駄話ばかりでカリキュラムが進まないのでは困ります。何を言っているのかさっぱりわからない授業では困ります。子どもが授業に行きたがらないほどつまらない授業では困ります。

 

(2)学校の知識

 ①豊富な学校情報

 ②入試問題の分析

 

 塾ですからね。学校には無いこうした情報を求めるのは当然ですね。

 ガイドブックに書いてある程度の内容しか説明できないのでは困ります。入試問題を解いたことのない教師は論外です。

 

(3)保護者対応力

 志望校に関する相談や、わが子の学習状況に関する相談をしたいのは当然ですね。

 わが子のことをまるで把握していないようでは困ります。志望校についても家庭の希望を無視されるのでは困ります。第一に、大人である保護者と接する態度がなっていないようでは困ります。

 

(4)人間力

 いやしくも、生徒達から「先生」とよばれる立場の職業です。生徒たちから尊敬されるのは当然ですね。

 その教師が教室に入って言った瞬間、生徒ががっかりしてブーイングするようでは困ります。質問したい生徒に避けられているようでは困ります。服装がだらしなく不潔な教師は論外です。

 

塾の教師の現実

 残念なことに、前述したような要素を満たす教師は非常に少ないのです。

(私とて偉そうに語れる立場ではありませんが、自戒をこめて書いています)

 

 第一に、塾の教師をしているのはどんな人間か考えてみてください。

◆一般企業に不適合だった人間

◆学校教師になれなかった人間

◆金を稼ぐことだけが目的の人間

 

 難関大学を順調に卒業した新卒学生は、塾の就職を目指しません。ごく一部の例外もあるかと思いますが、塾はブラックな労働環境である場合が多く(ほとんど?)、将来性も見込めないからです。例えば、筑駒→東大に進んだわが子が、「将来は〇〇塾で働きたい!」と言い出したら、「それは素晴らしい仕事だね! がんばりなさい!」と笑顔で応援できる保護者がどれだけいるのかを考えればわかります。

 よく聞くケースとしては、大学時代に非常勤講師のアルバイトをしていて、そのまま社員になるというケースです。これは、アルバイトとして教えているうちに、教えることが楽しくなりやりがいを感じるようになった、という幸せなケースかもしれません。あるいは、学生のうちから結構な収入を手に入れたため、他の企業に就職するのがばかばかしくなっただけかもしれません。あるいは、若いうちから「先生」と呼ばれることに慣れ過ぎてしまったのかもしれませんね。

 

 なかには、学校教師を目指して教職をとったのに、先生になれなかったので塾で働く、というケースもあります。以前はけっこう聞きました。しかし、教師の成り手がこれだけ減った昨今、あまり聞かなくなりましたね。

 

 個人的には、一番納得するのが、3番目のケース、つまり金を稼ぐことが目的の教師です。塾は、将来的な収入は少ない(つまり増えない)ですが、働き始めた若い年代の収入は悪くはないと思います。あるいは、非常勤講師なら、手っ取り早く稼ぐことを目的にできますね。

 こうした人間は、大したレベルの授業は期待できませんが、金額に見合った仕事をしてくれることでしょう。

 

 ここで触れるのはどうかと思いますが、昨今のニュースでは、学校の教師の不祥事が目立ちます。塾もこうした不祥事の温床です。事件には至らなかったとしても、人を教えることに不適としか思えない人間もいるのが現実です。

 

塾の教師の現実その2

 

 塾教師側の言い訳を少し書かせてください。

仮に、週5日、毎日4時間授業を実施したとします。社員なら当たり前です。さらに日曜の授業や講習を担当すれば、1日10時間教壇に立つことも珍しくはありません。

 

 担当する生徒の学年は、最低でも2学年、普通は3学年でしょう。小4と小5が週1日ずつ、小6が週3日、そんなペースが想定されます。

 1日に指導する生徒数は、集団指導塾なら、規模が小さな教室でも、50人くらいは普通だと思います。1クラス17人×3コマを1日に担当するイメージです。

 1週間に担当する生徒は、200人前後くらいにはなるでしょう。

 この200人の異なる生徒の性格や学力を詳細に把握することが求められているのです。

 もちろん、宿題を出せば、200人分のノートを見なければなりませんし、過去問演習でもさせれば6年生100人分の添削指導が待っています。

 これに加えて、保護者との面談や電話相談があります。

 学校訪問も必要です。説明会に足を運ばないかぎり、その学校のことはわかりませんから。

 塾によっては、テストやテキストの作成を教師が行うところもあります。

 こうした業務に加えて、授業の予習があるのです。

 私の経験上、1コマの授業の予習に必要な時間は、1時間~10時間でしょう。最低限の予習、テキストの問題を一通り解いて授業をイメージするだけで1時間です。しかし、これではまともな授業はできません。テキストを開いて答えを読み上げるだけの授業しかできませんね。多少なりとも授業を膨らませ、解説を豊かにしようと思うと、無限に時間がかかります。

 

 こうした業務を考えると、授業の準備は、勤務時間中に行うことは不可能です。したがって教師は自宅で予習をするしかありません。

 また、指導にあたっては過去問を解くことが必須です。最低でも毎年100校分くらいの問題はきちんと解いておく必要があるのです。しかし、この時間は勤務中にはありません。

 塾の仕事は夜の仕事です。順調に22時に退社できたとしても、家に帰って寝る時間しか残っていません。翌日には昼頃出勤ですので、午前中が勝負でしょうか。

 しかし、残念ながら、塾の教師のほとんどが朝が苦手です。

 

 もうおわかりのように、どう考えても授業の準備と過去問研究の時間をカットするしかないのです。

 このようにして、まともに授業の予習もしていない、入試問題も解いていない教師が、模範解答を書き写しただけのテキストを手にして「偉そうに」授業をすることになるのです。

 

 世の中の風潮には反しますが、良い授業を実践しようとするなら、プライベートの時間を準備にあてるしかない、塾はそうした世界です。

 それでも、そのようにして、素晴らしい指導をする先生もいるでしょう。

私が冒頭に、そういう先生に巡り合えればラッキーだ、と言った理由がこれなのです。

 

塾の先生には割り切って頼る

それはわかっていても、塾の先生に頼る他ない、そういう方が大半でしょうか。

 

◆とにかくきちんと授業さえしてくれればいい

 塾に行っている時間、授業時間にきちんとした授業さえしてくれればいい、そう割りきりましょう。素晴らしい授業、革新的な知見、生徒のやる気を自在に引き出す授業、魅力的で生徒が喰いつく授業、生徒に勉強を好きにさせる授業、そうしたものを期待するのはやめましょう。

 私の経験上、そうした教師はほぼいません。

(もちろんゼロではない。私だってその領域を目指して努力中です)

定められたカリキュラムに従って、過不足なく普通の授業をきちんとやってくれる、それだけを期待しましょう。それだってなかなかハードルが高いのですから。

 

◆家庭学習が重要と心得る

「うちの塾で全て面倒見ますよ!」そんな甘言に乗せられてはいけません。塾で学んだことを定着させるのは家庭学習の役割です。

 

◆苦手の克服は家庭の役割

 集団指導塾の場合、生徒一人一人の詳細な学習状況まで把握することは実質上困難です。それは家庭の役割です。

 

◆志望校を選ぶのは家庭

 前述した状況で、塾の教師も学校訪問を十分にしていない者が大勢いるのです。それでも長年指導していれば、卒業生からの生の声を聞くことで、いつのまにか学校についての情報は蓄積してはいます。業界内の噂程度の情報も入ってきます。

 塾の先生といえども、積極的に情報を獲りに行かないかぎり、持っている情報は大したものではなく、しかも偏っています。

 ただし、志望校合否の可能性については、ある程度のアドバイスはできます。これくらいの得点力の子はここまでしか合格できなかった、という過去の経験があるからです。

 そこで、塾の先生に頼るのは、あくまでも塾の先生が持っているであろう情報に限定し、志望校選びはご家庭の考え優先でいくべきでしょう。

 

 

 

※塾にはたよらない中学受験の方法を本にしました。