
参院選が終わりましたね。
結果については論評いたしません。予想通りではありました。
さて、今回は夏休みの読書体験として、「日本国憲法」をとりあげます。
そもそも、憲法をきちんと読んだことのある大人ってどれくらいいるのでしょうか?
政治家の中にも、「ああこの人は憲法や基本的人権についてすらきちんとした知識が無いのだな」と思わせる人がいるくらいです。
憲法改正が論点となっている昨今、基礎教養として読んでおくべきだと思うのです。
実は、憲法については、多くの「新解釈」本が出ています。ただ、あまりにも易しくし過ぎたものでは意味がありませんし、政治的に偏向した内容でも困ります。
かといって、1947年に文部省(当時)が中学1年生の副読本として作った「あたらしい憲法の話」では、さすがに古すぎて読む気が起きません。
探したところ、ちょうどいいものがあったので紹介します。
私が持っているものとカバーは違いますが、同じ本です。
作者の池澤夏樹は、政治信条的には、中道左寄りといったところでしょうけれど、作家ですからこのあたりが標準でしょう。それに、この本は「日本国憲法」ですから、政治的にぶれることは特になく、当たり前のことを当たり前の言葉でわかりやすく書いてくれています。
「・・・なぜって、日本の憲法はずいぶんいい憲法で、そのおかげで日本もなかなかいい国だから。もちろん問題はたくさんあるさ。国に対する不満ならば山ほどある。未来が暗いのが今はいちばんの問題かな。だけどそれは憲法のせいではない。いい憲法があるのにそれがうまく働いていないのがいけない、と言う人は多いよ。それでも、全体として日本はそう悪い国ではない。・・・・・」
とくに良いのが、「まえがき」の部分です。憲法の前文ではなく、筆者が書いた「まえがき」です。おそらくは中学生くらいを対象として、語り掛けるようにして、憲法がなぜ必要なのか、そしてどう誕生したのかが書かれています。この「まえがき」だけでも読む価値はあると思います。
「この世界全体に正義と秩序をもとにした平和がもたらされることを心から願って、われわれ日本人は、国として戦争をすることを永遠に放棄する。国の間の争いを武力による脅しや武力攻撃によって解決することは認めない。
この決意を実現するために、陸軍や海軍、空軍、その他の戦力を持つことはぜったいにしない。国というものには戦争をする権利はない。」
9条はこう書かれています。原文とそう大きく変更していませんね。ことばをわかりやすくシンプルに置き換えたくらいです。
これくらいがちょうどよいのです。
ところで、日本国憲法があることで世界一なのをご存じでしょうか?
それは、「非改正最長寿」ということだそうです。
改正せずに一番長続きしているのですね。
これについて、「だから古臭い! 改正すべし!」と考えるのか、それとも「だから完成度が高い! 変える必要はない!」と考えるのか、ここはじっくりと考えて議論すべきでしょう。
そのためにも、一度きちんと読む必要があるのです。
ところで、長さ(文字数・語数)としては、短い部類だそうですね。
日本語文字数で12000文字程度、英単語数では約5000語です。
最短はモナコ憲法で3814語、最長はインド憲法で14万6千語だとか。
これは、詳細については別途法律で定めるというスタイルだからです。
そのことが、長寿の理由でもあり、また解釈改憲の余地を生む理由でもあります。
