中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】この夏に理科・社会の基礎を固めるお薦め教材

この夏に苦手だった理科と社会の基礎を固めようと計画されている受験生の方も多いでしょう。

どんな教材をどのように進めればよいのかよくご相談をうけるのです。

そこで、今回は、いくつかの教材を紹介し、その学習方法についてまとめてみます。

基礎固めは大切だが

本音をいいますと、6年生の夏休みの段階は、もはや基礎固めの段階ではないのです。

問題演習に取り組まねばならないこの時期になって、基礎的な知識を覚えているようでは間に合いません。

そこで、いつも「もう丸暗記系教材はやらなくていいので、入試問題演習をしましょう」とアドバイスしてきました。

「知識がまるで無いのに、入試問題なんか解けない」

「空欄だらけで時間ばかり余るのです」

そういう方も多いのですが、だからこそ入試問題演習が重要となります。解けない=知識が無い、これを一つ一つ解決していく学習スタイルにしてほしいのです。

入試に出てきた知識を一つ一つ覚えていくことで、実践的な知識を身に着けようという作戦です。

しかし、どうも保護者の皆さまには共感していただけない。

理由は簡単でした。答え合わせを誰と一緒にやるのか、という問題があったのです。

そもそも知識が穴だらけの子どもに、自分ひとりで模範解答や解説を見ながらの間違い直しはできません。

やはり誰かが横でつきっきりで見てあげないとならないのです。その役割は、どう考えても、父親か母親の仕事ですね。

しかし、その時間がとれない方も多いですし、自信が持てない方もまた多いのです。

集団指導塾ではそこまでのケアはしてくれません。

身近に、信頼できる家庭教師や個別指導の先生がいればよいのですが、なかなか探すのが困難です。中学受験経験者で優秀な大学生のお兄さん(お姉さん)でも親戚にいれば、これが最も理想的です。

 

そこで、効果は入試問題演習よりも劣りますが、取り組みやすい・やらせやすい学習法ということで、知識系の教材を使うことにします。

 

理科・社会の教材

◆「理科メモリーチェック」(みくに出版=日能研)

◆「社会メモリーチェック」(みくに出版=日能研)

 まず最初にご紹介するのは、日能研作成の「メモリーチェック」です。

理科・社会の全分野を網羅する形で、簡単な解説が左に、右の知識のチェックを行うスタイルです。

【プラスポイント】

・適正な価格(1320円)

・華美すぎないレイアウトデザイン

・基本の基本がよくまとまっている

・どの書店でも見かける

・信頼と安定の日能研ブランド

【マイナスポイント】

・おもしろみに欠ける

・知識ページは内容が薄すぎて不要

・応用知識が不足

私は、塾の本質は、教材に表われると思っています。

ふだんの授業で塾の生徒に使用する教材や、市販教材を見れば、塾の本質がよくわかります。

・自前のテキスト体系を構築している塾

・実用的な副教材を市販している塾

 こうした塾は信頼できますね。日能研はそうした塾の一つです。

・他塾や教材専門会社の教材をそのまま使っている塾

・お手製のプリントばかりを使っている塾

 正直いって、こうした塾は「レベルが低い塾」だと私は思っています。

教材開発に費用をかける気がないのか、それとも作れる人材が社内にいないのでしょう。

 

◆「理科コアプラス」(サピックス)

◆「社会コアプラス」(サピックス)

 次にご紹介するのは、サピックスが編纂した「コアプラス」シリーズです。こちらもメモリーチェックと同じような構成ですね。

【プラスポイント】

・適正な価格(1573円)

・華美すぎないレイアウトデザイン

・基本から応用までがよくまとまっている

・720ちょっとの知識を網羅

・どの書店でも見かける

・信頼と安定のサピックスブランド

【マイナスポイント】

・おもしろみに欠ける

・そっけないレイアウトデザイン

・説明ページはない

 

サピックスの特徴なのでしょうか。黒字に、解答だけ赤というシンプルというかそっけないというか、見栄えのしないレイアウトです。子どものやる気がわくとは思えません。かろうじて赤下敷きが附属していますが、あまり役には立たないでしょ。赤下敷き暗記法って、普通の黒文字まで見づらくなって、かえって記憶の妨げになるというのが私の意見です。

そのかわり、内容はさすがというべきでしょう。

 

◆「中学入試 でる順過去問 理科 合格への926問 」(旺文社)

◆「中学入試 でる順過去問 社会 合格への1008問」(旺文社)

 旺文社のこの教材は、日能研・サピックスのものとは少々コンセプトが異なります。基本知識の暗記はそこそこにして、問題演習をさせようという意図ですね。

知識のまとめを読む⇒基礎知識をチェック⇒入試問題にチャレンジ、という構成です。

【プラスポイント】

・適正な価格(1078円)

・カラフルなレイアウトデザイン

・基本から応用までをまとめている

・これ一冊で完結

・どの書店でも見かける

・信頼と安定の旺文社ブランド

【マイナスポイント】

・暗記教材としては知識量が不足

・問題演習教材としては演習量が不足

・知識の説明ページは「さわり」程度で不足

・「でる順」というタイトル倒れ

 

 さすが旺文社ともいうべき完成度です。これ1冊で一通り網羅しています。たぶんやらせやすいと思います。

 ただし、暗記教材として考えると、知識量が足りません。また、問題集として考えると、これも問題量が足りません。どっちつかずの印象です。

とにかく1冊しあげることを優先する場合はお薦めです。

 

最期に、家に準備しておくと役立つ社会科の教材を2つ紹介します。

1ページ目から読む・解くということではなく、必要なときに参照する使い方をする資料集です。

どちらも、昔からの定番の教材です。中学受験経験者のお父様やお母様なら、もしかして使ったことがあるかもしれませんね。

 

◆「日本のすがた2025(『日本国勢図会』のジュニア版)(国勢社)

 地理の統計資料集のバイブル「日本国勢図会」の小中学生用です。

簡単な解説と、地理データの抜粋が載っています。

読み物として目を通すのがお勧めなのですが、地理が嫌いな生徒は開くのも嫌がりそうですね。むしろ大人が読んで、子どもに教えてあげるのが良いと思います。1冊家に合っても役立ちます。

 

◆「朝日ジュニア学習年鑑 2025」(朝日新聞出版社)

統計と時事用語の解説がまとまっています。けっこうなボリュームなので、読み応えがあります。とくに、子どもにも知っておいてほしい時事問題の解説が充実しています。

これを興味を持って開いてくれることは期待しないほうがいいでしょう。そういう子は、そもそも社会科が得意な子です。これは親が時折開いて、子どもに解説してあげるような使い方や、調べものに活用すると良いと思います。2640円もしますが、その価値はあると思います。

 

手を出しては(たぶん)いけない教材

 異様に高い教材には手を出さないほうが良いでしょうね。

ネットで検索していると、そうしたものがよく見つかるのです。

 

「長年の経験に基づき開発したスーパー教材」

「一般書店では入手できない、徹底的な入試分析に基づく決定版のテキスト」

「満足度ナンバー1」

「年間〇〇人が利用!」

 

まあだいたいこのような文言が並べられています。

それが事実なら凄いのですが、そうである保証はどこにもありません。

書店で売られていれば、手にとって中を確認してから買えますが、こうしたネットのみで販売されている教材はそれができないのです。

それでもまだ1000円程度なら、「ダメ元」でチャレンジしてみてもよいでしょうけれど、1万円超えともなると、おいそれとは手を出すわけにもいきません。なかには薄いテキスト数冊とCDで10万円以上とる「阿漕」なものまで。

 

断言できますが、そんな「スーパー教材」など存在しません。

「たった2週間で英語がペラペラ!」

「このやり方で誰でも億を稼げる株投資!」

という教材がインチキなのと同じですね。

 

(ところで、私もこうしたネット専売高額教材を実際に手に取ったことはないのです。だって高すぎますので。あくまでも30年以上の経験に基づく、常識と良識からの発言です。したがって、もしかして「魔法の書」である可能性もゼロではないのかもしれません。私は魔法を信じませんが)