中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【国語力向上】ロジカルライティン入門編 短文作成で国語力向上 その5

この記事は、ロジカルライティング講座の入門編の位置づけです。論理的思考力を養成するより前に、まずは最低限の国語力を身に着けることが目的です。

※登場するのは、難関女子校を目指す、国語が苦手な6年生女子3人組、アヤネ・ミユキ・カホ(仮名)です。

因果応報

私:みんなは「因果応報」という熟語を知っているかな?

ミユキ:先生、私達のこと馬鹿にしてるでしょ。もちろん知ってるに決まってるじゃない。

カホ:はいはい。

私:それじゃあさっそくだけどいつものように短文作成してくれ。

ミユキ:「勉強したところにかぎってテストに出ないのは因果応報だ。」

私:✘

ミユキ:ひどいよ、瞬殺! どこがダメだったの?

私:これだと、勉強した、という良い行為の結果が、テストに出ないということになっていて、原因と結果がつながっていないからだよ。

ミユキ:それじゃあこう直せばいいかな?「勉強したところばかりがテストに出るのは因果応報だ」

私:それならいいね。勉強したという行為の結果が反映している。

カホ:あれ? 因果応報ってそういう使い方もあるの?

私:どうしてだ?

カホ:だって、因果応報って、悪い意味でしょ、使うのは。例えば、「勉強していなかったのでテストの点が悪かったのは因果応報だ」って。

私:それも正しい。因果応報という語句は、良い意味でも悪い意味でも使うんだ。それではアヤネは?

アヤネ:「私をいじめていたA子は、転校先の学校で今度は自分がいじめられているらしい。まさに因果応報だ」

私:正解。まさか実話じゃないよな?

アヤネ:実話です。ざまあみろってかんじです。

ミユキ:アヤネ! そんな性格だったの?

アヤネ:しまった。

カホ:何か「因果応報」って、仏教の匂いがするよね。

私:よくわかったな。仏教では因果の道理というようだね。原因と結果が関係している、という、まあ当たり前のことなんだが。

善因善果というのは、良い原因は必ず良い結果をもたらすという意味だ。悪因悪果とは、悪い原因は悪い結果をまねくとうことで、自因自果は、自分の種まきは自分に結果が現れてくるということになる。

カホ:そんなの当たり前じゃないの。

私:そうだな。じつに当たり前だ。だが、当たり前のことほど難しい。

ミユキ:わかる! 私も、勉強しなきゃ、って思えば思うほど、ついつい漫画とか読んじゃうんだよね。それでテストを受けてがっかりするんだ。

私:まさに、自業自得だね。

カホ:あ、それ聞こうと思ってたんだ。自業自得も同じ意味?

私:同じと思っていいよ。ただし、因果応報は良いことにも悪いことにも使われるが、自業自得は今では悪い意味にだけ使われるようになったみたいだね。

 

自縄自縛

私:自業自得に似た雰囲気の熟語だけど、意味はわかるかな?

ミユキ:先生、また私達のこと馬鹿にしてるよね。知ってるに決まってるじゃない。

私:じゃあ、答えて。

ミユキ:ええと、泥棒を見てから縄を作るとか、あれ? 

私:それって、泥棒を捕らえてから縄をなう、と勘違いしてないか?

カホ:あ、泥縄ってやつね。

アヤネ:まさにミユキは自縄自縛ですね。

ミユキ:アヤネは知ってるの?

アヤネ:自分で自分を苦しい立場に追い込むって意味ですよね、先生。

私:その通り! それじゃあ短文を作ってもらおう。

ミユキ:「自信ありげに知ったかぶりをしたら、結局答えられなかったのは、自縄自縛だった。」

私:正解! 転んでもただでは起きなかった姿勢を褒めてあげよう。

カホ:「パスワードを適当に作ったらすぐに忘れてしまって、会員サイトにアクセスできなくなってしまったのは自縄自縛だ」

私:なるほど! まあこれも正解としようか。

カホ:どうして一瞬ためらったの?

私:もともとは、文字通り、自分で行ったことや言ったことにからめとられてしまい、自分自身身動きできなくなるという意味だからね。

カホ:それじゃあこう直したらどうかな?「複雑なパスワードを考えて使うのを自慢していたら、結局全部覚えられなくなってしまって、パソコン自体にアクセスすらできなくなってしまったのは自縄自縛だといえる」

私:いいね! それなら言葉の意味がにじみでてきているね。

アヤネ:「A子は、本当は弾けもしないのにピアノが得意だと皆に自慢していたら、合唱の伴奏を頼まれて青ざめるという自縄自縛に陥った。」

私:これもいいね! まさか実話じゃないよね?

アヤネ:実話です。

ミユキ:A子ってさっきも出てきたアヤネをいじめてた子だよね? 何かアヤネ、怖い。

 

因果応報・自業自得・自縄自縛、向天吐唾、藪蛇、自分で蒔いた種、そうした表現は多くありますね。日常会話では使う機会の少ない表現ほど要注意です。

 

※中学入試の入門書を出版しました。ぜひどうぞ。