中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【学校研究】サレジオ学院中学校高等学校ってどんな学校?

今回は、神奈川の人気男子校、サレジオ学院についてとりあげてみます。

私の教え子もけっこう通っている学校です。

沿革と教育理念

1960 東京都目黒区碑文谷に目黒サレジオ中学校創立

1963 サレジオ高等学校創立/川崎市宮前区鷺沼に高校校舎落成

1975 川崎サレジオ中学校創立・6ヵ年一貫教育を開始

1991 サレジオ学院中学校、サレジオ学院高等学校と

1995 横浜市都筑区の新校舎に移転

現校長の鳥越政晴氏はサレジオのご出身で神父だそうです。前校長の田沢幸夫氏は現在は大阪聖光の校長を務めていて、やはり神父です。

 

もっと古い学校だと勝手に思い込んでいましたが、意外に?そうでもないのですね。母体となる学校が碑文谷に創立されてから65年、都築区の現在地に移転してから30年しか経っていません。

 

宗教が母体となって設立されても、宗教色を弱める学校も多いですが、サレジオはしっかりとカトリックの教育を全面に出しています。

HPによると、教育理念はこうなっていました。

本校の教育法は、ヨハネ・ボスコが言う「アシステンツァ(assistenza(伊)/assistance(英))」に土台を置きます。それは教師がつねに生徒と「ともに居る」ことにより、生徒の考え、気持ちや行動を理解し、その発達段階に応じて適切な指導ができるのです。その際、教師は生徒の自主判断を尊重し、その積極性を育成するとともに誤った行動に陥らないように前もって防ぐことに心を配っています。

ヨハネ・ボスコ(ドン・ボスコ)は、19世紀にイタリアでサレジオ会を創立した人物で、教育に力を注いだ聖人です。

サレジオ会の学校は、幼稚園・保育園を除くと以下の通りです。

サレジオ工業高等専門学校(東京都町田市)
サレジオ学院中学校・高等学校(神奈川県横浜市)
大阪星光学院中学校・高等学校(大阪府大阪市)
日向学院中学校・高等学校(宮崎県宮崎市)
サレジオ小学校・中学校(東京都小平市)

 

 信念 (faith)・ 愛情 (loving-kindness) ・ 理性 (reason) を根底においた「予防教育法」による全人教育を実践しています。

 

そういえば最近校名が変わった「サレジアン国際世田谷」「サレジアン国際」との関係はどうなっているのか気になりました。

根っこは共通しているようです。

サレジオ会⇒サレジオ学院等は男子校が基本です。日向学院は30年ちょっと前に共学化しました。また、高専は共学です。

それに対して、女子教育を目的として創立された女子修道会が母体なのがサレジアンです。

カトリック女子修道会「サレジアン・シスターズ」⇒目黒星美・星美学園→サレジアン国際世田谷・サレジアン国際学園 という経緯です。もともと女子校だった目黒星美・星美学園が共学化して校名変更したのですね。

女子教育のために作られた女子修道会の開いた学校だったのに、共学化してもいいのかな? という気がしないでもないですが、いろいろな事情があるのでしょう。

立地・環境

 この立地をどう評価するかが、この学校を志望するかどうかの分かれ目だと思います。

 横浜市営地下鉄グリーンライン北山田駅から徒歩5分です。

 このあたりの土地鑑がある方ならおわかりだと思いますが、周囲は一戸建てが並ぶ住宅地です。港北ニュータウンの一角ですね。丘陵地帯を切り開いて作られたところですので、緑も多く残っているエリアで落ち着いた環境と言えると思います。ただし、最寄り駅の北山田駅周辺には何もありません。飲食店もお店もほとんどありません。ファミレスとコンビニくらいかな? こういっては失礼ですが、本当に殺風景な駅なのです。この辺に住んでいる方は、車で動くライフスタイルです。すぐ近くには港北ニュータウンの中核商業エリアである、センター北駅・センター南駅があり、ショッピングモールや映画館等多様な施設が集まっていて、子育て世代には便利なエリアとなっています。サレジオからセンター北駅まで、歩いても2キロ弱、元気な男子中高生なら20分ちょっとで歩ける距離だと思います。

 

横浜市営地下鉄グリーンラインは、東横線の日吉とJR横浜線の中山駅をつないでいます。またセンター北駅・センター南駅でグリーンラインとクロスするブルーラインは、田園都市線のあざみ野と新横浜・横浜をつないでいます。

横浜市営地下鉄を利用しやすいエリアに住んでいる方にとっては選択肢の上位になる学校だと思いますが、東京方面から通うには少々ハードルが高い、そうした立地です。

 

※横浜市営地下鉄の料金

 細かいことですが、横浜市営地下鉄の料金は高いのです。例えば日吉~北山田駅までは4駅5.6㎞ですので、片道250円です。これが営団地下鉄だと、同じ4駅でも、6㎞以内は180円です。

 細かいとはいいましたが、毎日の通学ですので、意外に侮れないと思います。

大学実績

 

184名の卒業生全ての合格校・進学校を公表している姿勢は立派です。

2025年←2024年の実績はこうなっています。

東大 7←11
東京科学大 8←8
一橋 11←10
横浜国大 15←13
早稲田 80←82
慶應 72←52
国公立 80←77
現役進学率 75%

 

過去15年くらいにわたって調べましたが、年較差はあるものの、だいたいこれくらいの合格実績で横ばい傾向だと思います。同偏差値帯の他校と比べても遜色ない、あるいはちょっといいかな、といった印象を持っています。

 

同偏差値帯の学校としては、東京農大第一高校中等部があります。大学実績はサレジオのほうが少しよいですね。もっとも農大第一は、共学校で女子のほうが多めですので、そのあたりの差なのかもしれません。

ただし農大第一のHPの実績のページを見た瞬間、ちょっとげんなりしてしまいました。

東京大学 現役合格 学校推薦型含む 5名
早稲田大学・慶應義塾大学 107名
2025年3月卒業生のチャレンジと努力が大きく花開きました!

 

この文言が、目立つ赤字の太字フォント(40ポイントくらい?)で目に飛び込んできます。

上記のさらに倍くらいの大きさです。

せっかく良い学校なのだから、こんな品の無いことをしなければいいのに、というのは私の個人的な感想です。

 

偏差値

 

サピックス 52

日能研・四谷大塚 60

この数値は、8年前までさかのぼって調べてみましたが、大きくは変わっていません。

 

サピックス偏差値表から、併願されそうな学校をあげてみます。

・栄光学園(59)

・駒場東邦(59)

・神奈川大附属(49)

・浅野(57)

・中大横浜(48)

・攻玉社(47)

・芝(47)

・都市大付(46)

・三田国際科学(46)

・世田谷学園(46)

・桐蔭学園(40)

 

試験日は1日と4日ですので、2日・3日で、栄光・浅野・中大横浜あたりを受験する生徒も多そうです。中大横浜は大学附属の共学校ですが、なにせ隣近所の学校ですからね。家から近いことを最優先する港北ニュータウンのお住まいの方の選択肢となりそうです。

 

感想

 

「学費が安いのがうれしい」

これは、とあるお母様にうかがいました。調べてみると、初年度納入金は84万円弱、年間授業料は47万円弱でした。

ちなみに中大横浜は、初年度納入金は117万円弱、授業料は年額59万円弱ですから、なるほど、たしかに安いです。

もっとも駒東を見てみると、初年度納入金が84万円、授業料が49万円ちょっとでしたので、だいたい同じくらいでした。

 

「遊ぶところがないのがいい」

これは複数のお母様にうかがいました。とにかく学校周辺および最寄り駅の北山田駅には遊ぶところは皆無です。市営地下鉄での乗り換え駅も、あざみ野・日吉ですから、たしかに遊ぶところなどありません。

せいぜいセンター北駅で遊ぶくらいでしょうけれど、この駅は実に健全なのですよね。日曜に行ってみると、小学生女子数名が誘い合わせてフードコートで何か食べていたりします。映画を見てちょっとした買い物、そしてファストフードで食事、その程度の遊び方しかできませんので、たしかに健全な街です。

これは新宿や渋谷を乗り換え拠点とする都心の学校にはない「メリット」です。

 

「塾が無い」

これをデメリットとすることには抵抗があります。私は、中高一貫校生の塾通いには反対の立場だからです。

個別指導系や映像系の塾・予備校なら、センター北駅周辺やあざみ野周辺にもいくつかありますので、どうしても通いたい生徒はそうしたところを選ぶのでしょうか。まさか片道1時間かけて新宿の塾まで行くような愚かなことはしていないと思いますが。