中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【決定版】中学受験6年生夏休みの過ごし方

「夏休みは受験の天王山」

塾の教師は皆同じことを言いますね。

天邪鬼な私はあまり好きな表現ではありません。受験勉強は気合で臨む性質のものではありません。淡々とやるべき勉強を積み重ねるだけだと思っています。

ちなみに、天王山とは、京都にある山で、明智光秀と羽柴秀吉が戦った山崎の戦いの戦場です。天王山を先に押さえた秀吉が有利に戦いを進めることができたそうです。

今回は、夏休みの有効活用について書きましょう。

夏休みは過去問を解く時期

 

何度も同じことを書いてきましたが、もう一度書きます。

過去問を解かないと得点力は身につきません。

いくら理社の知識を暗記したとしても、漢字や計算練習を繰り返したところでも、それだけでは入試で合格点に到達することなど不可能です。

実際の入試問題を時間をはかって真剣に解く、そうした演習量が得点力に直結するのです。

普段は小学校があるため事実上解く時間はありませんでした。しかも、まだ入試問題が解ける段階に到達していませんでしたね。とくに社会科が時間がかかっていたはずです。夏を迎えるこの時期になって、ようやく社会は公民分野が終わりかかっていると思います。

算数・理科・国語はもう新しい単元はありません。

やっと過去問を解く準備がととのったのです。

 

40日間の時間が確保できますので、ここで過去問を40本は解くことが可能です。

午前中に1校1年分の4科目の過去問を時間を測ってときます。午後には、答え合わせと間違い直しをじっくりとやりましょう。目安としては、最低でも解いたのと同じ時間は間違い直しにかかります。たくさん間違えたのなら、さらに時間はかかります。

 

ここでは、受験校の過去問だけをやるのではありません。

幅広く様々な学校の問題に取り組むことを推奨します。それによって、足腰の強い得点力をつけるのが目的です。

 

せっかく解くのですから、モチベーションを持続させるためにも、得点を集計してみましょう。

学校によって配点が異なりますが、細かいことは気にせずに、算国を150点ずつ、理社を100点ずつ、合計500満点に換算して集計することをお勧めします。

多くの学校の算国と理社の比重がだいたいこれくらいですね。

500点満点で、7割の350点、ここが目標ラインとなります。もちろん学校・問題によって難易度は大きく異なります。しかし、易しい問題でも落とさない得点力、難しい問題でもあきらめない得点力を目指して欲しいと思います。

 

塾の夏期講習の功罪

 ほとんど(ほぼ全員?)の方が、塾の夏期講習に行かれると思います。

塾によってスタンスは異なりますが、多くの塾が拘束日数が多すぎる、というのが私の判断です。

塾が夏期講習で生徒を拘束するのには3つの理由があります。

 

◆親の要望に応えるため・・・小学校が休みの間の学習をさぼらせないために、毎日でも塾に行かせたい、そうしたニーズが多いのですね。

◆勉強を教え込みたいため・・・どの生徒も知識も解法力も穴だらけです。今まではカリキュラム学習中心のため、復習がなおざりにされていました。この夏休みに一気に総復習させたい、そうした教師側の考えがあるのです。

◆利益をあげるため・・・これを言ってしまうと身もふたもないですが、塾にとって休みの日、とくに夏休みはかき入れ時です。ここで収益をあげるためには、生徒を1日でも多く塾に来させるために、あの手この手を繰り出します。拘束日数が多ければ多いほど、授業料を高くいただけますので。もちろんこのことは、保護者の要望にもかない、教師の教えたい欲も満たします。

 

こうして、毎日のように夏期講習が行われることになるのです。

それでも「心ある塾」「良心的な教師」は、夏期講習中は宿題を出さないようにします。授業中に完結させるようにするのです。授業は午前か午後だと思います。残りの家庭学習時間には、過去問をやるように指示をします。

しかし、残念ながらそうした塾・教師ばかりとは限りません。今までの教材の総復習を課したり、夏期講習も毎日宿題責めにする塾も多く存在します。

もしそうした塾・教師にあたってしまったら、ここは思い切って、宿題を拒否しましょう。

だって、過去問を解く時間が全く確保できなくなりますので。

その代わり、塾の授業中は全力集中です。そして家の時間は、過去問演習に捧げるのです。

おそらく1日1本は無理かもしれません。せめて国語と社会、算数と理科、といった組み合わせにして、2日で1本の過去問演習は実施してください。

 

今までの積み残し教材は捨てる

 

おそらくは、今までやり残した教材、手を付けられなかった問題、そうしたものが溜まっていると思います。また、苦手分野を克服するためにやりたい教材もあるでしょう。

そうした積み残し教材の類は、思い切って捨ててしまうことをお勧めします。

今までできなかった教材なのです。急に夏休みになったからといって生まれ変わったように消化できるはずもありません。

ここから先は過去問とそこから知識や解法を学ぶ学習に切り替える時期ですので、積み残したものは捨てるべきでしょう。

 

※新しい教材は買わない

 買ってよいのは、過去問だけです。特に非効率的なのが、理社の丸暗記系の教材ですね。もちろん無駄にはなりませんが、効率は今一つです。すでにやっているものがあるのなら継続することは大事ですが、今から書店に走ることはすすめられません。

 

 

※中学入試の入門書を書きました。

また、塾に行かない勉強のやり方についてはこちらの本が多いに参考になると思います。