塾の選び方については、過去何度も記事にしてきましたが、一番受けることの多い相談なので、定期的に書いていくことにします。
※首都圏の話題で恐縮です。
塾の種類
①難関校向け集団指導塾
②集団指導塾
③公立中高一貫校対策塾
④個別指導塾
ざっくり整理するとこんなところでしょうか。
これ以外にも、地元の寺子屋みたいな補習塾や、公文式・学研教室のようなフランチャイズ塾もありますが、これらは中学受験生対象ではないので省きます。
①難関校向け集団指導塾
ずばり、SAPIXのことです。これに、SAPIXから分離した教師たちがつくったグノーブルがあります。
開成・桜蔭・筑駒といった最難関校へのサピックスの合格実績は他塾をよせつけません。2025の合格実績で、筑駒は103名となっていました。筑駒は募集定員は120名ですが、今年の実際の合格者数は131名です。寡占率は79%ですので、まさに驚異的といえるでしょう。
SAPIXの実績については、「優秀な生徒が集まっただけだ」という外野の声もあるようですが、優秀な生徒を集めることができたのも塾の実力といえるのです。優秀な生徒達が満足する授業・教材・テスト等を提供できなければ、こうした生徒達も集まりませんので。
しかもこれだけの実績があると、教師の間にも有形無形のノウハウが蓄積します。
「この生徒は、模試データでは可能性が50%しかないが、昨年や一昨年のあの生徒達と比べても遜色がない。だから〇〇中学を目指しても問題ない」といった判断ができるのですね。
これがこの塾の強みだと思います。
グノーブルについては、20年近く前に、SAPIXの中学部から高校生部門の責任者が独立してスタートし、10年ちょっと前から、中学受験部門がスタートしています。
中学受験部門は、サピックス小学部の旧経営陣が教師を引き抜いて始めましたので、ノウハウは全てサピックス小学部と同じです。
校舎は、サピックス小学部の校舎がある駅だけに14校舎ほど展開しています。
塾の選び方の鉄則は、「家から近い塾」です。
したがって、ご自宅最寄り駅にある塾の中から選ぶことになるのですが、グノーブルのある駅には上記理由によりサピックスの校舎もあります。わざわざ電車にのって離れた駅にあるグノーブルに通うのは愚かですが、サピックスと並んでいたら迷いますね。
どちらを選んでも大差ないと思いますが、模試の精度や指導ノウハウの蓄積についてはサピックスに一日の長があると思います。
この2塾以外にも、②の一般向け集団指導塾が、特別ブランドとして難関校を目指す受験生をターゲットとして教室を開くのもよく見かけます。
◆極(きわみ)・・・ena
◆難関中高受験専門塾ExiV・・・早稲田アカデミー
◆SPICA自由が丘校・・・早稲田アカデミー
◆Hi-STEP・・・STEP
こうした特別ブランドを作る理由としては、難関校の合格実績を稼ぎ出すということ以外には思い当たりません。さらにいうと、SAPIXの牙城を切り崩す=生徒を奪う、ということもあるのでしょう。SPICAなど、なぜかSAPIXの授業曜日とずらした曜日設定ですし。
TOYOTAがLEXUSをハイブランドとして成功させたようになるかはわかりません。中身が「本物」なら、そうなるかもしれません。
②集団指導塾
日能研・四谷大塚が双璧です。さらに四谷大塚の提携塾である早稲田アカデミーもあります。早稲田アカデミーについては、①の要素も多分にあるのですが、教室数の展開規模を見れば、①より②の塾と考えるべきでしょう。そもそもHPを見ると、「鬼滅の刃」とコラボした動画が飛び出すことを見てもどの層をターゲットとした塾なのかは明らかです。最優秀層は「鬼滅の刃」など見ていないので知りませんから。
この3塾にサピックスを加えた四塾が、首都圏中学受験四大塾ということになるでしょうか。日能研は全国展開をしていますし、四谷大塚には無数の提携塾があるので規模はこの2塾が突出しています。
規模でいえば、市進・栄光ゼミナールも大きいですね。神奈川では臨海セミナーもよく見かけます。
③公立中高一貫校対策塾
ena一択です。
この塾は、1970年代に「国立学院」としてスタートし、やがてenaという名前になりました。海外進出にも熱心でしたね。ただし、合格実績は正直目覚ましいとはいえませんでした。やがて「公立中高一貫校」対策という隙間市場? を発掘することに成功します。SAPIX等の他塾が放置していた市場ですね。
今や公立中高一貫校を目指すならena一択という地位を確立しました。
逆にいうと、公立中高一貫校を目指さないのなら選ぶ理由はありません。
その他に、海外に校舎展開をしている強みを生かした、帰国生入試専門教室をいくつか展開しています。
④個別指導塾
TOMAS・東京個別指導学院等無数にあります。また、集団指導塾が展開している個別指導塾もたくさんあります。
個別指導塾については、まさに「個別」に判断するしかありません。塾のブランドは気にしなくてもよいでしょう。ご家庭のニーズに合うかどうかが決めてですので。
ただし、講師の質は集団指導塾以上に玉石混交ですので、妥協せずに納得ゆくまで検討されることをお勧めします。また、費用は高額ですのでご注意ください。
集団指導塾の月謝(講習以外)が月額6~8万円くらいだとすると、同じ時間数を個別指導に切り替えると、50~60万、あるいはそれ以上となりますので。
選び方
単純です。
自宅から徒歩圏内の最寄り駅にある塾の中から選びましょう。
塾は過当競争の世界ですから、どの塾も生徒獲得に必死です。内容が悪い塾は淘汰されているはずです。
そのいくつかの塾を訪問して、しっくりくるところを選べばよいと思います。
特別な事由が無い限り、大手集団指導塾の中から選ぶとよいと思います。
費用・教材・テスト等が「無難」だからです。
もし自宅最寄り駅に全く塾が無い場合は、電車で2・3駅はやむを得ないかもしれません。しかし、この移動時間はただのロスタイムです。
※塾に行かないという選択肢も考慮に値します。
それに関する知見をまとめた本を出版しています。ご一読されることをお勧めします。