もうすぐ7月です。
受験までの残り時間は、7か月ちょっとしかありません。
さすがにこの時期になれば、わが子も受験生の自覚が芽生えるだろう、そう思っていたのに、まったく覚醒の兆しがありません。
どうしたらよいのでしょうか?
そもそも自覚は芽生えるのか?
受験生の小学生が、受験生としての自覚を持つのはいつなのか?
もちろん個人差があります。
経験上、3つのタイミングがあるように思います。
(1)6年生になったとき(2月)
4年生・5年生と、家庭でも着々と準備を進めてきた場合に見られます。もう志望校もほぼ確定し、本人の学校見学も済ませてあります。どうしても行きたい学校が本人にもあるのです。もちろん無謀なチャレンジ校でもなければ、たやすく合格できそうなレベルの学校でもありません。
偏差値でいえば、自分の実力よりも5くらい上の学校です。手の届かない雲の上の学校ではないが、相当頑張らないと難しい、そうした学校です。
その学校に憧れ、進学したいと本人が切に願っている学校なのです。
そこまで親が上手に誘導してきたのです。
また、塾に通っていると、6年生の担当教師が「本気」になってきます。1年上の学年の入試結果を見た直後ですから、「この新6年生たちを鍛えて、何とかもっと合格させなくては!」と燃えているのですね。
家庭内に迷いがある状態だと子どももがんばれません。このタイミングで志望校が確定しているのは大きいのです。
(2)夏休み中
子供たちは3つの異なる社会に所属しています。家庭・塾・小学校 です。そして一番多くの時間を過ごしているのは、実は小学校なのですね。
小学校にいる間は、子どもたちは受験のことを忘れています。それでいいのです。
しかし、この「浮ついた」心理状態は、決して受験勉強にはプラスになりません。
教え子でもいましたね。小6になってクラス・担任が変わったところ、同級生が気の合う友達ばかりになり、担任の先生もおもしろい先生になった。もう毎日学校に行くのが楽しく手仕方がないのです。もちろんこれはとても良いことです。しかし、学校から帰っても、塾の授業中でも、頭の中のかなりの部分を「楽しい小学校の時間」が占めるようになってしまいました。こうした場合、間違いなく成績は下降します。
しかし、夏休みなると、40日間ほど小学校がありません。毎日の全ての時間を受験の神に捧げることができるのです。
こうしてどっぷりと受験勉強にハマることではじめて、自分が受験生だという自覚も芽生えます。また、この時期には受験校の過去問演習も始まります。合格点にまったく点が届きません。否が応でも焦りますね。
(3)12月末
冬休みに入りました。もう受験本番は目の前です。願書も出しました。もう後戻りも逃げることも許されません。覚悟を決めて入試に臨む他無いのです。
一番多いケースは(2)でしょうか。本当は(1)が理想的なのですが。しかし(3)よりはましというべきでしょう。
なかには、受験前日になって、「ああ、あたし、明日受験なんだ。本当に入試なんだ」と思った生徒もいました。これは後日本人から聞きました。ずっこけそうになりましたね。あれだけ私が口を酸っぱくして受験に誘導してきたのに、と。
放置していても受験生になれない子は多い
放っておいてもい夏休みには自覚が芽生えるのだから大丈夫、そう考えてはいけません。
子どもは親を写す鏡のようなものです。子ども本人がいつまでたっても受験生としての自覚が芽生えないということは、親の側に原因があるのです。
〇この調子なら問題なさそうだと安心している
こうした親もいます。堅実な志望校を選んだ場合です。親に危機感が無ければ、子どもも同じです。
これが本当に「安心」な状態ならばよいのですが、そんなことは絶対にありません。これからの7か月で、何がおこるかはわかりません。
〇あまりに高望みなので、親も実はあきらめている
いくらも目標が高いほうが良いと言っても程度問題です。偏差値で10も上の学校を志望してしまえば、さすがに「無理」というものです。そんなことは、子どもだってわかります。
〇受験本番より目先の小テストや模試を気にしすぎる
目標を間違えています。模試の成績を上げることが目標ではありません。模試の結果を利用して、受験の得点力を高めるためにテストを受けているだけです。
しかし、順位・偏差値、そして「合格可能性〇〇%」という数字を気にするなというのは難しいでしょうね。
結局は、悪い点をとった直後、親に怒られた直後しか勉強しないスタイルが身についてしまいます。
〇勉強が嫌でたまらない
受験のための勉強は量も質も高度です。小学生には困難な勉強をやらなくてはならないのです。だから、放っておけば逃げ出したくなるのも無理はありません。
それを逃げずに頑張れるのはどういう子なのか。
二通りしかいないと思います。
(1)大人同様の精神力がある
ごくまれに、そうした子もいます。もう12歳の精神状態ではないのですね。自分の置かれた状況、目標、そして何が不足していて今何をやらねばならないのか、そうしたことが見えている子です。
(2)勉強が完全に習慣化した子
大多数の子はこちらです。低学年のころから勉強が習慣化しているため、「勉強しない」という選択肢が本人の中には無いのです。
実はこれが理想です。
何せ勉強するのが当たり前すぎて、「逃げる」という考えがうかびません。まいにちせっせと決められた課題をこなしています。
こういう子は強いですね。そして、中学にあがってからその姿勢を継続できればさらに理想的です。
結論
自覚はいらない
これが結論です。受験生の顔になろうがなれまいが、決められた学習をひたすらこなすだけです。無駄な時間を作らず、持ち時間の全て、集中力の全てを受験勉強に捧げましょう。
合格のためにはこれしかないですね。
良く考えてみれば、そうした姿勢こそ「受験生の自覚」そのものなのかもしれません。
中学受験のノウハウを凝縮した本を書きました。ぜひお読みください。