今回は、小学生の英語についてです。
「小学校の」ではなく「中学受験生の」英語の学びかたについて考えてみたいのです。
目標
以前、いくつかの英語教材や学習法を提案しました。
今回はもう少し目標をしぼって考えてみたいと思います。
第一目標は、あくまでも中学受験です。したがって算国理社の4科目の学習が主軸、というか全てです。合格しないことには始まりませんので。しかも時間の余裕もないのです。
しかし、いずれ中学生になります。
その時、英語で落ちこぼれる事態は避けたいですね。
中学校、それも難関私立(国立)中学校ともなると、こんな生徒もたくさいいるからです。
◆英語圏からの帰国生・・・英語はネイティブ
◆ずっと英語教室に通っていた・・・英検準2級取得済
◆親が英語が得意・・・自宅で親が教え、すでに英検準1級取得済
◆英語は家庭教師とオンライン英会話をやっていた・・・中学生英語は取得済
さすがに全員がこんなレベルではないですが、同級生全員が英語力ゼロの初心者ではないことは覚悟しなくてはなりません。
本当は、英語のような教科こそ、小学校できちんと教えてほしいのですが、現状はとてもそこまで期待できません。
そこで、目標を立てましょう。
「中学校で落ちこぼれない英語力」
これです。
少し情けない目標のように思えるかもしれませんが、なにせ算国理社の学習で手一杯になりますので、その隙間を縫いながら、せめて中学生になっても英語で躓かないレベルを目指しておこうという目標は現実的だと思います。
教材
英会話教室や英語塾はお薦めしません。
なせなら、時間が無いからです。 家庭教師ならまだ現実的ですが、なかなか良い先生はいないものですね。ある程度きちんとした英語を、しかも子どもの興味をひくようなやり方できちんと指導できる先生、もしいたら頼みましょう。
書店に行くと、小学生を対象とした英語の本は各種出ています。しかし、残念ながらどれも食指が動きません。なぜなら、「くだらない」からです。正確にいうと、小学生の知的レベルを低くみつもりすぎているからです。
とりあえずアニメキャラを出しておけばそれでいいとでも思っているのでしょうか?
かといって、英検対策教材は、今度はつまらなすぎます。やる気がおきません。
そこで私のお薦めは、「中学生用の学校教科書」になります。
学校教科書、多くの方が誤解していますね。何となくレベルが低い印象があるのでしょうか。
しかし、学校教科書は、各出版社が多額の費用をかけて開発していますので、どれもクオリティが高いのです。しかも安い。
これを英語学習の主軸に据えることにしましょう。
ところで、英語教科書には、以下の種類があります。
・NEWCROWN(三省堂)
・NEW HORIZON(東京書籍)
・SUNSHINE(開隆堂)
・Here We Go!(光村)
・ONE WORLD(教育出版)
・BLUE SKY(啓林館)
2025年現在、中学生用の教科書として採用されているのはこの6種類です。
どれでも同じ、といいたいのですが、東京都公立中学校の採択割合を見てみます。
(採択学校数の割合ではなく、採択地域の割合です)
実は私立・国立中学校では過半数がNEWCROWNを採択していますが、公立中学校ではHere We Go!が一番人気となっています。
そこで、今回小学生の英語の学習にお薦めしたいのが、Here We Go!なのです。
私がざっと見たところ、これが一番易しくかんじます。登場人物たちが3年間で成長するようなストーリー仕立てとなっていて、コミュニケーション力にフォーカスしています。
おそらくそれが、公立中学で採択が多い理由なのでしょう。
それが、小学生の英語学習にちょうど良いと思うのです。
もし全くの英語初心者で低学年(1~3年)なら、Here We Go!の小学5年生用と6年生用がよいでしょう。 そして4年生以上なら、中学生用を使います。
こうした教科書学習のもう一つの利点として、関連教材が豊富な点が挙げられます。
・音声
・ドリル
・問題集
・解説本
こうしたものが、いくらでも書店等で入手可能なのです。
やり方
毎日10分、親子でとりくむ、これだけです。
最初に音声を聞き、それをリピートする。教科書にあれこれ課題や指示もありますから、それを利用しましょう。
小4~6年の3年間で、中1~3年用の教科書を消化するペースです。
もちろん、必ず小6までに全て終わらなくてもかまいません。たとえ中2用の途中までしかできなかったとしても、その英語力で中1の授業に臨めますので、英語で落ちこぼれることは防げるはずだからです。
※NEWCROWNとNEW HORIZONには手をださないほうがよい
どうせなら、進学先の私立中学校で採用されている教科書を使ったほうが、と思わないでください。NEWCROWNやNEW HORIZONの採用が多いのには理由があるのです。これらの教科書のほうが難易度が高目なのですね。学校採用教科書の先取りは、入試が終わってから中学校が始まるまでの50日間の課題としますので。
話は変わりますが、つい先日、「今さら聞けない 中学受験超入門」というタイトルの本を上梓しました。
すでにある程度中学受験に詳しいかたにとっても、情報を整理し頭をリセットするのに役立ちます。もちろん、中学受験に詳しくない方にとっては最適な本です。
ぜひお読みください。