中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】親が教えてもいい

学習相談でよくある話です。塾をさぼりがちだったり成績が低迷している子です。

「お父様とお母様が勉強を教えたらどうですか?」

「先生、それ本気でおっしゃっていますか?」

どうも中学入試は親が手出し・口出しをしてはいけない、そういうことのようです。

今回はその誤解を解こうと思います。

塾の戦略

 私も業界の片隅に長く生息していますので、よくわかるのです。塾の戦略というものが。

人は誰しも、自分でも簡単にできることにはお金を払いません。自分にスキルが無い、時間がない、そうした場合のみ、お金をはらって誰かに依頼します。

例えばクリーニング。シルクのドレスといった特殊なものなら、自宅では洗濯不可ですので、専門店、それも評判の良い専門店に頼みますね。コットンのYシャツくらいなら、自宅の洗濯機で洗ってアイロンをかけることくらいは簡単です。そうしている方も大勢います。ただし、時間を節約するためにクリーニング店を利用するのもよいですね。

料理もそうですね。私はかなり料理が得意なほうなので、基本的な料理なら自分で作れます。それでもたまに一人の休日の食事のときには考えます。自分で作るか、外に食べに行くのか。外に食べに行く場合は、自分で作るのが面倒くさいから外食にする場合と、自分では作れない味を求めて外食するか、その2パターンでしょう。

 話を塾に戻します。

 だれもが簡単に教えられることなら、わざわざ高額な費用を払ってまで塾に通わせる必要はありません。ということは、塾としては、「中学受験の学習内容は、自宅ではできませんよ! 私どものような専門家でないと教えられませんよ!」とひたすら強調するのです。それが商売の源ですので。

 だから、塾の教師はいつもこのように話をします。

「〇〇中学の今年の算数はとても難しかった。そこで合否がわかれたのです!」

「△△中学の社会は、普通の参考書レベルの知識では歯が立たない問題でした!」

とにかく、ひたすら中学入試の難しさを強調するのです。

「今年の〇〇中学の問題は基本問題ばかりで、家で問題集をちょっとやっておけば楽勝でしたね」

そんなことを言う教師はいません。もしいたら上司から説教案件です。

塾の教師は、例外なく、親が教えることを嫌います。その理由は、妙な解き方を教えこまれては迷惑だ、と言う理由以外に、自分たちの専門性を否定されるのが嫌なのです。

 

つまり、「中学入試のための勉強は、専門家でなければ教えることができない」という幻想を構築することで成り立っている業界なのです。

 しかし、それは実は違います。

家庭でも、親が教えることは十分可能です。

このあたりについては、拙著をぜひお読みください。

塾無中受にチャレンジする方にも、塾に通いながらの受験を目指す方にも、参考になるように書いたつもりです。

 

親に教えられる理由

 だって、小学生の勉強ですよ?

しかも、算数・国語・理科・社会のたった4教科です。

大人は、中学・高校・大学でもっと高度な勉強を何年もやってきています。まして、親が中学受験経験者なら、一度自分が通った道のりです。

塾の口車に乗せられてはいけません。親でも十分に教えられます。

さらに、親には秘策があります。

それは、あらかじめ解答・解説を見ておくという秘策です。

答がわかっている問題の説明は簡単ですね。

しかも解説まで見ておけば楽勝です。

 

また、これをここでばらすのもどうかと思いますが、思い切って言ってしまいましょう。

塾の教師でも、解答・解説を先にみて指導しているのです。

自力で解答や解説を編み出せる教師は少ないのです。

大学生のアルバイト講師だと、予習ゼロで、手には塾が用意した解説を持ちながら、算数の授業をしている者ばかりです。

親が指導できない道理はありません。

 

ただし、指導とその準備には時間が必要です。

仕事をしている親には、残念ながらその時間が作れないのかもしれません。

わが子の勉強のために割く時間など無い、そうした方なら、高額な費用を個別指導や家庭教師につぎ込むのもやむを得ないと思います。

 

具体的なやり方

1.まずは入試問題を解きましょう。自分で解いてみて、答え合わせをして、解説を見ながら間違い直しをしましょう。入試問題のレベルを肌で知ってください。子どもの登るべき山の高さをあらかじめ確かめてみてください。

 

2.週末の1日を子どものために使う

本来なら2日使うべきですが、慣れないうちは予習に時間が必要ですので、土曜日を半日使って予習し、日曜日に子どもと1日向きあう、そうしたスタイルが理想的ですね。

これも慣れてくると、子どもが問題を解いている横で、解答・解説を見ながら説明できるように準備することもできるようになります。

 

 

3.わからない問題・むずかしい問題は子どもと一緒に考える

 親が教えるときの最大の利点はこれです。さすがに塾の教師は、「この問題はちょっと先生でもわからないなあ。みんなで一緒に考えよう」はできません。しかし親は専門家ではないですから。子どもと一緒に考えるというのは、子どもの学力・思考力を大きく伸ばしますので実に有効なのです。

 

こちらにも詳細に記事にしています。ぜひごらんください。

peter-lws.net