「〇〇私学フェア」「〇〇合同説明会」「〇〇進学フェスタ」
こういった名称のイベントがよくありますね。
大きな会場に複数の中高が集結して行われています。
こうした「イベント系説明会」ってどうなんでしょう? 行く意味あるのかな?
今回はこうした疑問にお答えします。
イベント系合同説明会の種類
(1)塾主催
大手の塾が主催しているものもよく見かけます。
塾がいくつもの学校に声をかけ、会場を借りて実施するのですね。
基本的にはその塾に通っている内部の生徒・保護者対象ですが、外部にも公開されています。
・純粋な情報提供
・塾のステータス向上・・・学校との関係アピール
・生徒獲得・・・申込者の個人情報狙い
だいたい目的は上記3つでしょう。
迷っている学校があって、その両校が出展している、そうしたケースなら比較がしやすいからよいかもしれません。
(2)学校主催
実は意外に少ないものです。少なくとも規模の大きなものは見当たりません。
例として「鴎友・大妻・田園調布 三校校長座談会」という合同説明会をとりあげます。
名前の通りです。それ以上でもそれ以下でもありません。
どうやら各校持ち回りで開催しているようですね。申し込み方法は学校HPから、そして会場は学校です。
(3)広告会社が仕掛ける
ほとんどの合同説明会がこのスタイルです。
例として「よみうりGENKIフェスタ」をとりあげます。東京国際フォーラムを会場とする規模の大きなイベントです。
[主催]読売新聞東京本社 [特別協賛]SAPIX[協賛]大塚製薬 NICインターナショナルハイスクール となっていました。
これだけ見ると新聞社が仕切っているように見えますが、実は違います。
問い合わせ先は「広真アド」となっていました。広告代理店ですね。
HPを見ると、受験産業専門の広告会社のようです。
広告会社が企画立案し、新聞社が加わり、塾が資金を出し、学校をなるべくたくさん集める、そうした構図です。
他の例として、「キリスト教学校フェア」というものを見て見ましょう。
・会場・・・日本基督教団 銀座教会 福音会センター
・内容・・・学校相談コーナー(各校)
生徒による学校紹介(各校15分程度)
聖書配布 他
・ブース設置校
桜美林中学校・高等学校
恵泉女学園中学・高等学校
啓明学園中学校・高等学校
香蘭女学校中等科・高等科
頌栄女子学院中学校・高等学校
女子学院中学校・高等学校
女子聖学院中学校・高等学校
聖学院中学校・高等学校
玉川聖学院中等部・高等部
東京YMCA高等学院
東洋英和女学院中学部・高等部
普連土学園中学校・高等学校
明治学院高等学校
明治学院中学校・明治学院東村山高等学校
・資料参加校
青山学院中等部・高等部
国際基督教大学高等学校
自由学園中等科・高等科
日本聾話学校
立教池袋中学校・高等学校
立教女学院中学校・高等学校
この「ブース参加校」と「資料参加校」の違いは何か説明します。
ほとんどの合同説明会に共通していますが、広い会場には、各学校が小さなブースを出しているのです。だいたい机の向こうに先生が2名、その背後に屏風のようなパネル、そして机の前には相談用の椅子が2脚、そうしたしつらえです。
つまり「ブース参加校」とは、このイベントのために先生方が待機している学校です。それに対して「資料参加校」とは、会場の隅のテーブルに、各学校の入学案内を山積みにする、とそういうものです。ほとんど「参加」とはいえません。入学案内を会場に送るだけですので。
さて、このフェアですが、一見「複数の学校が共同開催」しているように見えますが、実はそうではありません。
よく調べてみると、「合同会社 雄飛企画」というところが問い合わせ先となっています。
いったいどういう会社か見て見ると、代表挨拶というところに、「大手塾の教室長、本部スタッフを経て東京・多摩地域の私立中高の広報担当者として勤務。私立学校と塾・公立中学校そして受験生を繋ぐ働きが求められていると考えて2016年より事業を始めました。皆様に本当に必要な生徒獲得のための学校広報をご提案してまいります。」とありました。
広告会社が企画し、各学校を回って「参加校」を集めるのですね。「もし参加が難しければ、せめて資料参加だけでも」という具合です。
普通は、学校は無料で招待し、受験産業(塾・予備校)から資金を集めて実施します。このキリスト教学校フェアは、塾の匂いがどうもしないようなので、もしかすると参加校が出資しているのかもしれません。あるいは、「聖書配布」といったあたりに、布教目的もあるのかな?
説明会の内容
◆ブース
これが基本です。気になる学校のブースに待機している先生に、いろいろ相談することができるのです。私の見た所、ベテランの先生と若手の先生の組み合わせが多いですね。
これは結構残酷なシステムです。人気校のブースの前には長蛇の列(実際には待機用の椅子を並べる)ができる一方、そうでない学校のブースは閑古鳥が鳴いています。
一日座っていても相談客がほとんど訪れないのは、先生方もおつらいでしょうね。
私のような商売の者にとっては、普段なかなか訪問する機会のない学校の先生方から、直接お話をうかがえる貴重なチャンスです。受験生保護者の対応でお忙しい先生方の邪魔をするわけにはいきませんので、失礼ながら「閑古鳥の鳴いている」ブースを狙って少しだけお話を聞きに行きます。
◆セミナー
会場の一角をしきったり、あるいは別部屋を用意してセミナーをやるのもよくある手です。各学校の説明会であったり、あるいは対談形式だったり。そこに協賛塾の講話も混ざります。
参加する意義はある?
まず会場の雰囲気から申しましょう。大きい会場で実施されているものは雑然としています。保護者が連れてきた小さな子供たちが、会場を走り回って鬼ごっこをしています。誰も注意しません。そもそもそうした年代の子どもを連れてくるのもどうかと思いますし、まして放置するのはマナー違反です。
厳しい言い方をしてしまうと、その程度の「常識」も無い保護者も多く集まっているのです。もちろん全員ではありませんが。
「気軽に立ち寄れる」設定は、「入試を真剣に考えていない」方も多く来るということなのでしょう。
また、各学校が配るグッズ目当ての「汚い」身なりの、どう見ても保護者には見えない方も見かけますね。
会場は、全体的にうるさくて暑いです。
一言でいって、大切なわが子の進学先を選ぶためのお話をじっくりとうかがえる雰囲気では全くありません。
学校案内の資料を気軽に集めることができて、ついでにちょっと質問もできる、その程度のイベントです。
わざわざこんなところに足を運ぶよりも、学校を直接訪れることをお薦めします。
※学校で実施される学校主催のものは例外です。
こちらでも詳しく書いています。ぜひお読みください。