今回は、私が勝手に「Bグループ」に分類している学校を取り上げたいと思います。
頌栄・鷗友・吉祥女子・洗足の4校です。
Bグループの学校
私が勝手に命名した「Bグループ」とは、以下の条件を満たす学校です。
◆女子校
◆進学校
◆複数回入試を実施している
◆早慶の合格者数が3桁
さて、世の中は共学校人気だそうです。たしかに共学校が増えてきました。
渋谷渋谷・広尾学園・三田国際・都市大附属・都市大等々力・芝国際等、気が付けばずいぶん増えましたね。
しかしその一方、女子校をのぞむ人たちも消えたわけではありません。もちろん両方を受験する生徒も多数います。
女子校については、男子以上に「校風」「雰囲気」を重視される場合も多く、一概に偏差値や大学実績だけで順位づけをしにくいのです。それでも乱暴を承知の上で、Aグループを桜蔭・女子学院、Bグループを頌栄・吉祥女子・鷗友・洗足としてみました。
浦和明の星は1月校のため、このグループには入れていません。
実は、豊島岡については迷いました。偏差値・人気・大学実績、どれをとってもAグループなのですが、複数回入試をしているのですよね。かといってBグループなのか?
もともとこうした分類は意味をなさないということの実例です。
悩んでいても記事がすすまないので、豊島岡はAグループにすることにします。国公立・医学部志望者が多い学校ですので。
大学実績
さてBグループの学校の大学実績をどう考えるか、悩ましいところですが、ここでも乱暴に早慶の合格者数を見ることにしました。
実は、国公立・医学部志向の強い学校ほど、浪人率も高くなるものです。男子最難関校がそうですね。しかし、一般に女子のほうが現役志向が強いと思います。
「早慶に合格してくれたら一安心」と考える層がBグループには多いのではないか、という勝手な仮説に基づき、早慶の数字を見ることにしました。
学校の卒業生数を見ないと、実数で比較しても本来はだめですよね。しかし、Bグループの卒業生は250名前後で大きな差はなかったので、単純に実数で比べることにします。
いつものように、5年移動平均でグラフ化しました。
頌栄は相変わらず伸びていて、洗足が急速に追いついた、そして鷗友と吉祥女子は横ばい、そんな傾向でしょうか。
いちおう、生徒数で割り算して100を基準とする指数化してもみたのですが、実数のグラフとほとんど変わらないことがおわかりいただけると思います。
実は、この4校については、地域によっての棲み分けがあると思っています。
頌栄:高輪台
吉祥女子:西荻窪
鷗友:世田谷(経堂・宮の坂)
洗足:溝の口
お住まいのエリアによって志望が別れる印象があります。
もっとも、洗足の急伸ぶりを見ると、今後Aグループとして扱ったほうが良いのかもしれません。
4校の印象
こればかりは、直接足を運んでいただくほかありません。私ごときの印象ではミスリードを誘いかねませんので。そこで、思い出話をするだけにしておきます。
例えば頌栄ですが、今のように複数回入試・午後入試が当たり前になる以前は、5日の頌栄2次が、受験に苦戦していた生徒の最後の砦のような位置づけでした。5日早朝に校門前で待っていると、必死の形相で娘の手を引いて坂をあがってくるお母さまがいらっしゃいました。私が声をかけても、親子とも気づきもしませんでした。
そうした「悲壮」な入試激励の後、学校の校長先生が、校門附近の塾教師たちに暖かい缶コーヒーを配ってくださったことを今でも覚えています。それだけで、この学校に対する印象が爆上がりしたものです。なにせ凍えそうに寒かったので。
ここに進学した生徒のお母さまにうかがうと、「最高!」と手放しでほめていらっしゃいました。実は第一志望に不合格で頌栄に進学した生徒だったのですが。ただし、最近学校説明会に参加した方からは、「何か違う」という声も聞きました。これが学校選びの難しさですね。数字や評判だけではわからない、「感覚」のようなものが大事なのです。気になる学校へは何度も足を運ぶ必要があるのです。
鷗友については、30年ほど前に2科目から4科目へ入試問題を切り替えて以降、意慾的な思考力・記述力の理科・社会を出題し続けています。その攻めた問題が私は大好きです。生徒たちも、元気で明るい印象です。学校にうかがった際、部外者の私に対しても、生徒が明るく挨拶をしてくれたものでした。この学校も大きく変わった学校です。2科目入試の頃には、良くも悪くも「世田谷のお嬢様学校」(失礼!)といった印象を持っていました。大学実績も良いとはとても言えませんでしたね。そういう志向の学校ではなかったのです。それでも学内の印象は好印象でしたが。その当時授業見学をさせていただいたはずなのですが、どうにも授業の印象は残ってはいません。しかし4科目に切り替わって以降は、生徒のレベルは年々上昇しました。英語教育にも定評がありますね。立地も住宅地にありますので良いと思います。授業を見学すると、活発に意見を発言する生徒が多かったのが好印象です。
洗足については、あまりに急伸したために、昔の印象で語ることがためらわれます。前向きな変革をし続けていることは間違いありません。正直なところ、溝の口という立地はよくありませんが、学校設備は綺麗ですし、補習や自習室など至れり尽くせりといってよいでしょう。勉強もハードだという噂ですが、こればかりは生徒によって印象は異なるのだと思います。私としては、音楽教育に惹かれます。説明会のときに生徒有志が弦楽四重奏を演奏してくれたことを覚えています。あるお母さまは「洗足は、音楽という柱が1本あるから大丈夫」とおっしゃっていました。何が大丈夫なのか聞いてみたのですが、昨今の風潮として、猫も杓子も医学部・理系に舵を切り過ぎていて教育の本質を失いつつある、とそういうことのようですね。進学校である以上、大学実績は重要です。でもそれだけではない、と私も思います。そのバランスが大事ということなのでしょう。
最近の洗足は、大学実績に思い切り舵を切ったように思います。「豊島岡プラス鉄緑会」の勉強で学生生活を埋め尽くすくらいなら、洗足で全て面倒をみてもらったほうがいい、そういう層が集まりそうですね。いやすでに集まりつつあるのでしょう。池袋にある豊島岡とはエリアが異なりますが、大学実績においては神奈川トップの女子校になりました。
吉祥女子は、大きく変わってきましたね。おそらく西荻窪周辺に古くからお住まいの方はそういう印象を持つと思います。学校設備やプログラムなど、どれをとっても満足度の高い学校だと私は思っています。ただ、最近この学校に進学した生徒を指導していないので、古すぎる思いで話しか持ち合わせていないのでここでは披露しないことにします。
桜蔭や女子学院を第一志望とした生徒のセカンドチョイスの学校として、どの学校もお薦めできる学校なので、志望校面談ではよく名前を出す学校です。
ただし、正直なところ洗足だけは、上昇志向が相当強い印象ですので、そこをきちんと判断するようにお話はしていますが。