学校を選ぶときには、さまざまな学校について調べるのは当然です。
・学校説明会等イベントに直接足を運ぶ
・学校案内のパンフレットを入手する
・学校公式HPを見る
まずはこの3つが基本です。
すべて学校が「公式に公開」している情報ですので、最も信頼できます。
そして最も気軽に、広範囲に調べられるのが「公式ホームページ」ですね。
今回は、学校によって異なる「情報公開」の姿勢についての話題です。
どんな情報が必要か?
学校を知るのに役立つ、「こんな情報が公開されていてほしい」と受験生が考える情報を列挙します。
(1)沿革・・・歴史
ここは意外と大切です。少なくとも私は重視しています。
どういった人たちが、どんな思いで作った学校なのか、そしてその思いは現代まで受け継がれているのか。 歴史が浅かろうが深かろうが、ここを知ることがその学校の「雰囲気」や「目指す方向性」を知るのに役立ちます。
もしここを伏せている、あるいは重視していない(HPで見つけにくいところに掲載)学校は、「自分の学校の歴史を軽視している=誇りをもっていない」学校だと考えられるでしょう。
(2)教育理念
私学は、「教育理念」をかかげています。そこに共感し、「自分もそういう教育を受けたい」「わが子にそういう教育を受けさせたい」と思うことが大切です。
そこを無視して進学すると、「あれ? こんなはずじゃなかった」となりかねません。
もしここの部分が曖昧であったりわかりづらい学校は、「理念が無い」学校とみなせます。
塾のような教育産業と学校を分けるのは、この「理念の有無」だからです。
また、英語の理念をかかげる学校も要注意です。なぜなら日本の学校ですので、日本語ではなく英語の理念を掲げる必然性は無いからです。
・日本語には存在しない概念である
・日本語よりも英語のほうが的確に理念を表現できる
・設立者が英語圏の人物だったために最初から英語で表現されていた
これらの理由なら良いですが、
・英語を使うと「グローバルな匂い」がするから
・何となく「新しくて」「かっこいい」から
といった幼稚な理由だと困りますね。あまりにも姑息です。
また、教育理念を変更している学校も要注意です。
時代に合わせて変革するといえば聞こえは良いですが、単に「時代の流れに押し流される程度の理念」であるというだけですので。
やはり進学後に「こんな学校じゃないと思っていたのに」となりかねません。
(3)入試問題
書店でも買えます。しかし、学校が公開してくれているのなら、その方が望ましいに決まっています。なぜなら、「実際の入試問題」のレイアウトもわかるからです。
・入試問題
・解答用紙
・模範解答
・配点
ここまでの情報は最低でも知りたいですね。とくに模範解答は重要です。なぜなら、市販の問題集に載っている模範解答は、「どこかの塾の先生が急いで出した答」であるからです。信頼できません。実際によく間違っています。
また、配点についても、これを伏せる理由はありませんので、きちんと公開すべきでしょう。
入試問題を非公開とする学校は、「うちの学校を受験したいなら書店で入試問題集を買いなさい」という姿勢なのですね。もちろん、HPでは公開していなくても、学校で直接販売していたり、説明会の際に配布してくれる学校もあります。
模範解答を公開しない学校もありますね。問題である以上、必ず解答が存在します。これを伏せる理由は何なのでしょうか?
・記述問題のため、「解答例」しか提示できず、公開することでかえって混乱を招く恐れがある
・解答は受験生が自分で作ればいいのだから、学校が受験生にそこまで親切にする必要はないと考えている
・解答に自信がなく、出題ミスや解答ミスを指摘されるかもしれない
私に思いつくのはこれくらいです。他にもあるのかな?
(4)入試結果・・・人数
・募集定員
・出願者数
・受験者数
・合格者数
・進学者数
まずは人数について、これらの情報が見たいですね。もちろん複数年のものを公開していてくれるとありがたいです。
実は、倍率というのはあまり気にするべき数字ではありません。倍率が低いから受かりやすい、高いから受かり難いといった単純な話ではないからです。
これらは基本情報です。伏せる理由はありません。
ただし進学者数については、普通は募集定員とほぼイコールですので、載せていなくても支障はないと思います。ただし、最近は複数回入試・午後入試が当たり前になってきていますので、学校も「歩留まり」の読み誤りに苦慮しているようですね。年度によって一クラス分くらいの変動がある学校も見かけます。
※定員割れの学校
この情報を伏せる学校の中には、「定員割れ」の学校もあることには注意が必要です。
必ずしも定員割れの学校が「ダメな学校」「進学してはいけない学校」というわけではありません。どうして人気が無いのか不思議なほどきちんとした教育を実施している学校もありますので。
ただ、定員割れしているということは、何かの理由があって受験生が敬遠していることを意味します。また、あまりにも人数が集められない学校の場合、集まる生徒の質にも問題が生じます。さらに、学校経営にも不安がありますね。
入試結果の人数を非公開の学校には、こうした学校もあることに気を付けましょう。
(5)入試結果・・・得点
・受験者平均点
・受験者最高点
・受験者最低点
・合格者平均点
・合格者最低点
これらの情報が無いと、受験生が困ります。
「いったいどれくらいの点がとれれば合格できるのか?」
「合格するためにはあと何点必要なのか?」
ここを気にしながら過去問演習をするからです。
この情報を伏せることには理由がありません。もし公開していないとすると、
・そんな情報を公開する必要が無いほどの人気校
・受験生のほうを向いていない学校
ということなのでしょう。
(6)大学実績
進学校の場合、6年後にどのような大学に進学できるのか、そこは気になりますね。
そんなものは本人の努力次第だ、というのも正論ですが、国公立・早慶にそれぞれ3桁の合格者がいる学校と、1桁の合格者しかいない学校では、あきらかに生徒のレベル・教師の指導力が異なります。
教師は生徒に育てられる
これは私が経験上見出した真理です。
学力レベルが低い生徒の指導しかしていないと、教師のレベルも上がりません。
学力レベルが高い生徒の指導をすることで、教師もレベルアップしていきます。
私立(&国立)の難関進学校の大学実績が高いのはこれが理由です。
もちろん生徒同士の刺激の効果も大きいですね。
大学実績について、合格者数と進学者数を全て公開している学校もあります。大半は合格者数だけの公開ですね。また、全ての合格校を出していない学校のほうが多数派です。これは学校の姿勢を反映しています。
・有名大学でなければ学校の恥だから載せない
・個人情報保護の観点から全てを公開しない
どちらかなのでしょう。
なかには、数年の合格者数を合算して公表している学校すらあります。あまりにも見劣りする数字だからなのだと思います。
医学部医学科の合格者を別建てで掲載している学校もあります。その学校の姿勢を反映しているということでしょう。
(7)生徒数
各学年の生徒数を公開している学校は少数派です。
普通なら、募集定員プラスαの人数が学年人数ですので、実は公開されていなくても問題はありません。
この数字が気になるのは次の2点です。
・定員割れしている
・途中退学者が多い
募集定員が150名となっているのに、学年人数が15名、そんな学校があります。もはやクラブ活動も成立しないレベルですね。
また、6年間で1クラス分の生徒数が消えている学校もあります。途中退学者が多いのです。
(8)授業料
学校によってかなり違います。授業料が安いから選ぶ、ということでもないでしょうが、必要な情報には違いありません。
(9)年間行事
この情報は、どちらかといえば「中高生活に対するあこがれ」をかきたてる情報です。受験生のやる気につながりますね。
ただし、よく見ると、わかってくることもあります。修学旅行の行先や海外研修の有無についてです。
・オーストラリア・ニュージーランド・カナダ・アメリカ・シンガポール・韓国、こうした海外への修学旅行や留学プログラムが充実している学校も多いですね。
もちろん、京都・奈良・広島・東北といった「古典的な修学旅行」の学校もたくさんあります。
これは、どちらを好むのか、というご家庭の方針次第でしょう。
ただし、4泊6日の「ハワイ修学旅行」でいったいなにを学べるのかは甚だ疑問ですが。
私は、シンガポールの空港でとある私立中高一貫校の修学旅行の生徒達を見かけたことがあります。
待合室で傍若無人に騒いで目立っています。
待合室にいた客のほとんどが眉をひそめているのにもお構いなしです。
「先生は注意しないのだろうか?」
とおもって引率の先生の姿を探すと、一番騒がしい集団の中心で生徒と一緒に騒いでいたのが引率教師でした。
私が学校名を確認したのはもちろんです。
(10)設備
実はここは全く重要ではありません。なぜなら、生徒募集に注力する学校ほど、この設備の充実を売りにするものだからです。
生徒募集のために「目立つ」設備にこだわるより、生徒の指導にこだわるべきでしょう。
それはもちろん設備が新しく整っているにこしたことはありません。しかし、そのことは学校の魅力の一つではあるものの、価値を高めるわけでもありません。
(11)学校のこだわり
生徒の「受賞歴」を列挙している学校もあります。
卒業生の活躍を自慢している学校もあります。
英語教育を全面に打ち出している学校もあります。
大学の実績を重視している学校もあります。
HPを丹念に見ると、その学校が何にこだわっているのかが見えてきます。