中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】理社を軽視するなと言うけれど、どうしたらいい?

前回の記事で、理社を軽視しないことの重要性を書きました。

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すると、さっそく聞かれました。

「でも、算数に時間がとられて理科社会まで手が回らないのです。どうしたらいいのですか?」

今回はそうした内容の記事になります。

時間は全員無いがある

 

まるで禅問答のような、あるいは「モモ」のような、あるいは「パパラギ」のような文言で恐縮です。

ところで、「パパラギ」はお読みになったことがありますか?

『パパラギ―はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集』(著:ツイアビ)として45年ほど前に話題になった本です。

原本は、100年ほど前のドイツで出版されています。サモアの酋長「ツイアビ」がヨーロッパを訪問し、帰国後にサモアの人々に、彼が見聞した西洋の文明や社会について語った演説をまとめた、という体裁をとって、エーリッヒ・ショイルマンによって出版されました。

あまりに「良く出来過ぎている」話だったので、当初からフィクション疑惑がありましたが、もちろんフィクションです。

ちなみに「パパラギ」というのは、サモア語で「白人」を意味するそうです。

うろ覚えで大変恐縮なのですが、たしかこんな一節がありました。

「パパラギはいつも時間が無い、時間が無いという。時間なんてたくさんあるのに」

違ったかな? すいません、手元に本が無いので確認できなくて。

 

実は、私は過去数回の引っ越しの際に、蔵書を思い切って断捨離するという暴挙に出たことがあります。

おかげで、「あれ、あの本どこにしまったかな?」という問に対しては、「捨てた」と断言できるようにはなりましたが、読み返す楽しみも捨ててしまいました。今となっては入手困難な本もたくさんありました。まさに愚行です。

 

閑話休題

受験生の持ち時間は全員共通です。その共通した持ち時間をどのように使うのか、ある意味受験競争というのは時間の効率競争といえるかもしれません。

もちろん人によって勉強のスピードは異なります。しかしそのことを嘆くのは無意味です。限られた持ち時間をどのように使うのかに知恵を絞りましょう。

 

今4年生以下の子がいるみなさんへのアドバイスです。

毎日、理科と社会の学習に費やす時間を20分ずつ確保してください。

そうです、20分ずつでいいのです。

もちろんこれは、学校や塾での学習時間はカウントしません。学校の宿題をやる時間もカウントしません。

純粋に受験勉強として取り組む理科社会の学習時間を確保してほしいのです。

そして、「毎日」ということが重要です。

「今日は時間が無いからやれない」

「明日、今日の分もやればいいから」

この安易な考えが、結局は「理社後回しスタイル」を生み出すのです。

 

もし20分ずつの時間すら捻出できないほど「時間が無い」のなら、10分ずつでもかまいません。ただし必ず「毎日」取り組んでください。

 

さすがに5年生で歴史が始まると10分ずつでは不足します。何とか15分、できれば20分、時間を捻出してください。

 

この「毎日」の短時間学習が、「習慣化」ということなのです。

この習慣がある生徒は、6年生になったときにその絶大な効果を実感することでしょう。

 

私の好きなピアノに例えると、週末に3時間弾きこむよりも、毎日15分ずつ鍵盤に触れるほうがはるかに有効です。

そういうことなのです。

 

タイマーの勧め

 

私の生徒たちは、私のすすめによって全員が「タイマー」を自宅で使用しています。

この「タイマー」、もちろん学習時間をコントロールするために使います。高機能なものは不要です。いわゆる「キッチンタイマー」の安い物で十分です。100均で見かけるものでいいのです。

 

算数や国語のように、じっくりと時間をとって取り組みたい教科なら、60分単位で時間を設定すればよいでしょう。しかし「タイマー学習」が真価を発揮するのは、理科・社会を「短時間学習」するときなのです。

10分間でできる勉強のあまりに少ないことに最初は驚くでしょう。

ちょっとぼんやりしていたら、たちまちアラームが鳴りますので。

しかしやがて慣れてくると、10分間全力集中することでできる勉強量の多さに驚くことになると思います。

 

考えてみれば、実際の入試でも、理科・社会の試験時間は30分程度です。その短時間であれだけの問題を解くのですから、10分間、20分間の全力集中学習スタイルに慣れておくことは実に有効です。

 

また、理科・社会が苦手な生徒にも朗報です。

先が見えていますので。

たったい10分、15分、耐えればいいのです。いくら嫌いな教科でも、それくらいなら我慢して取り組めますよね?

 

あまりに「当たり前すぎる」結論で恐縮です。

しかし、勉強に「飛び道具」はありません。画期的な学習法などないのです。

結局のところ、毎日少しずつ努力する。

これに勝る学習法は存在しません。

 

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