今回は、私の雑感を書き散らかすだけの記事です。
客観的なデータの裏付けもないですし、そもそも私はこうしたことの専門家ですらありません。
私が過去に教えた生徒たちのことを思い浮かべながらの「エッセイ」です。
気になった記事
とある雑誌で、遺伝とIQの関係について言及しているものを見かけました。
そこで私が気になったのは以下の3点です。
◆年収に対する遺伝の影響は40代で最大になる
◆一卵性双生児同士のIQの相関係数は0.72
◆二卵性双生児同士のIQの相関係数は0.42
年収への遺伝の影響が40代で最大になるというのはインパクトの大きい情報ですね。
その理由としては、働き始めのころの年収は環境によるものが大きいが、次第にその人間の持って生まれた「実力」に見合った年収になっていくのだとか。
ただし、これをもって「遺伝の影響は40代で最大となる」と結論づけるのはいささかこじつけがすぎるように思います。
遺伝の影響で高学歴となり将来性のある職種についたというだけのような気もしますので。
その他には、一卵性双生児について、9歳、12歳、17歳それぞれの知能テスト結果の相関係数が、0.42/0.55/0.65 というイギリスの調査結果も紹介されていました。
双子の知能が、9歳よりも17歳のほうが「似ている」というのは驚きですね。
これをどう解釈すべきなのか悩みます。
環境要因のほうが知能に及ぼす影響は大きいと考えるべきなのでしょうか。
今回は、年収の話は脇においておいて、学力に関連する話にしぼります。
相関係数とは?
数学1で習いましたね。
正の相関、負の相関、日常的にも使う語句です。
こんな散布図を思い出したでしょうか?
細かい計算方法は、こちらの偏差値の解説のところでしていますので、ぜひお読みください。
相関係数は、2つのデータの相関関係を示します。
-1から+1の値をとります。この値がマイナス1に近づくほど「負の相関関係」にあり、プラス1に近づくほど「正の相関関係」にあることを示します。ゼロに近いほど「相関関係が無い」ということですね。
目安として、値(絶対値)が0.7以上なら、強い相関関係があるとみなされます。0.5以下だと、相関関係が無いとみなされます。
双子の相関係数
私が驚いたのは、一卵性双生児の相関係数が0.72だったことではなく、二卵性双生児の相関係数が0.42であった点でした。
これは、「相関が無い」あるいは「ごく弱い相関がある」レベルです。
二卵性双生児は、いわば同時に生まれた兄弟ですね。
兄弟といえども知能が異なる、これはよくわかります。
「お兄さんは優秀だったのにねえ・・・・」といった話ですね。
しかし、「学力」ではなく「知能(IQ)」ですので、兄弟はもう少し相関が強いと思っていました。
最難関校に進学した教え子を思い浮かべても、兄弟・姉妹ともに優秀だった子が多かったからです。また、そうした学校に進学した子に同級生の話を聞くと、やはり兄弟・姉妹がともに優秀な子が多いのです。
兄:開成、妹:桜蔭
姉:女子学院、弟:麻布
そうしたケースが実に多い。
私は単純に、「やっぱり遺伝だよね」と思っていました。
もちろん、親子関係でも同様です。
父親/母親が最難関校出身で、国立大学から医師・弁護士・国家公務員で、その子どもがやはり両親の後を追うかのように最難関校から最難関大学へ進学した子などたくさん教えてきました。
しかし、二卵性双生児の知能の相関係数がこれだけ低いということは、もしかして「遺伝」の影響はそう大きくないのでは? と思わされてしまいます。
やはり環境
私が至った結論は、「どういう親のもとで育つのか」の環境が一番大きいというものです。
勉強が当たり前の環境、周囲に書物が溢れている、親もいつも本を読んでいる、ゲームは家に存在しない、そうした環境で育つのが大事だと思っています。
そういえば、いわゆる「キラキラネーム」と学力の関係について話題になることが多いですね。
これもデータを調べたことはないのであくまでも私見ですが、子どもに「キラキラネーム」をつける親の知的レベルに疑問符が付くというのはわかります。
何をもって「キラキラネーム」とみなすのかが人によって異なりますので、統計をとりようもないでしょうけれど。
ただし、職業がら「読めない名前」を子どもにつけることには反対です。いわゆる「教師泣かせ」の名前です。
名前は他人に自分を認識してもらうための大切なものですから、そもそも読めない名前は名前としての役割を果たしているとは思えません。
遺伝を気にしても学力向上には不毛ですので、なにより「環境」を第一に考えることが最重要です。
ありきたりの結論ですが、実感を伴ってそう考えています。