今回は、勉強に欠かせない地理統計資料についての話題です。
「日本国勢図会」「世界国勢図会」「県勢」(矢野恒太記念会)
地理統計資料集のど真ん中、定番のトリオです。
「日本国勢図会」なら、毎年6/1に発行されます。今なら、「2024/2025」となっているものが書店に並んでいます。
「世界国勢図会」は、9/1発行、「県勢」なら12/1発行です。
とりあえず、地理統計資料なら、この3冊を書棚に揃えておけば、だいたいのデータは調べられます。
まずこのトリオでデータを見て、それでも不足するなら、総務省統計局や国連機関のデータを探す、そうした使い方になります。
とくに6月発行の「日本国勢図会」は、中学入試問題を各学校が作成する前に出版されますので、入試問題で扱われる統計資料は、大半がこの「日本国勢図会」に基づいています。
ただし問題があります。
まず、値段がそれなりにします。1冊3000円ちょっとです。情報量を考えれば高くはないですが、これ、毎年買うとなると、毎年1万円ほどの出費です。
しかも、けっこう分厚い。1冊23㎜です(今測りました)。三冊揃えると、7㎝になります。これが毎年増え続けるのです。
私は、書棚の2段をこのトリオが占拠した段階で、もう買うのをやめました。
kindle版もありますが、こうした統計資料集はあちらこちらのページを飛びながら見ることが多いので、紙の本でないととても使いづらいのです。ただし、編集は毎年変わりませんので、だいたいどのあたりのページに何が載っているのかを覚えている私にとっては、kindle版でも何とかなるかな、というところです。
◆このトリオは、小学生には使えません。中学生以上が対象です。
「日本のすがた」(日本国勢図会ジュニア版)
これはジュニア版とあるように、日本国勢図会の抜粋簡略版です。しかし、ただ簡略化したのではなく、解説が丁寧に載っているところがポイントです。ただし、その分統計データは最低限となっています。
まさに中学入試の小学生にはぴったりなのですが、大きな問題があるのです。
この本の発行は毎年3/1なのです。
したがって、6月に発行される日本国勢図会と同じ統計データは、翌年の3月に「日本のすがた」に収録されます。
せっかく中学受験にぴったりのレベルなのに、1年遅れの統計データで学習することになるのです。
細かい統計データを気にしない受験生、そうした問題が出そうもない学校を受験する生徒には有効です。
私は、データの鮮度にこだわる性格なもので、「日本のすがた」はたまにしか買わなくなりました。
「地理統計要覧」(二宮書店)
これは、中学校の副教材の定番です。
価格は440円です。おそらくこれが、中学校で採用が多い理由だと思います。
そして厚さも5㎜です。これなら何冊も書棚に揃える気がします。内容は無味乾燥な表の羅列ですが、一通りのデータが載っていて大体の調べは間に合うかんじです。
発行は毎年12/30です。正直微妙なタイミングです。
ただし、入試問題を作成する中学校の社会科の先生が愛用しているためか、よく入試でこの本のデータを見かけます。
「地理統計」(帝国書院)
こちらも450円と安く、データのボリュームも本の厚さも二宮書店の統計要覧と同じようなかんじです。
こちらも中学校の採用が多いようですね。正直いって、二宮書店と帝国書院、書店で手にとって好きなほうを選べばよいと思います。
帝国書院のもののほうが、ワンポイント解説や目次に工夫がみられます。
「地理統計Plus」(帝国書院)
今回の私の一推しはこれです。
帝国書院の「地理統計」に、新たに資料がプラスされています。
帝国書院のHPによるとこうです。
Point01
シンプルで見やすい統計情報
『地理統計』に収録している統計情報を、『地理統計Plus』でも収録しています。収録している統計は、約630項目!
赤と黒の2色印刷で見やすく、使いやすく編集しています。Point02
国旗解説・国別資料編
『地理統計』に掲載の全統計に加え、197か国の国旗の由来や国別基礎資料を掲載した「国旗解説・国別資料編」を設置しました。Point03
統計データをWebGISで地図化できる
統計見えマップも使える!
『地理統計』に掲載している各国・地域の統計を地図化して閲覧できるWebGISです。
指定のURLにアクセスし、書籍の折込に印刷されたパスワードを入力するだけで、簡単にご利用いただけます。
WebGISも使ってみるとなかなか面白い。はまりそうです。
統計データの「見える化」の工夫としてはよいと思います。データを地図に落とし込むだけですが、自分で作ろうとするとなかなか面倒ですので。人口統計や産業統計、さらには教育統計など、クリック一つで世界地図や日本地図が色分けされるので、見やすいのです。意外な国の指標が高いのを見つけられたりもします。
統計データが二色刷りなのもよいですね。二宮書店は白黒ですから。
そして何気に便利なのが、世界地図のページです。ほんの数ページですが、たとえば「ウガンダってどのあたりだったかな?」といった程度で開くのには便利です。本格的な地図帳を書棚から持ってこなくて済むのは便利なのです。
こちらは、2月20日発行、710円でした。
今後は生徒にこちらを勧めようと思っています。
厚さも10㎜ですから許容です。
こうした統計データは、社会科だけに独占させておくのは惜しい素材です。論理記述のテーマとして最適なのです。