現状
まず、このデータを見てください。
新聞発行部数の近年の変化です。日本新聞協会の公表値から作成しました。
予想以上の速さで新聞が消滅しかかっています。
さらに、世帯当たりの部数も見て見ます。
すでに過半数の世帯では新聞を購読していないのですね。
別のデータでは、高齢者ほど新聞購読率が高く、70台では8割以上なのに対し、20代やそれ以下だと、2割を切るといったものもみかけました。
もはや新聞は、高齢者のメディアとなっているのです。
それが証拠に、私が購読している新聞に最近入ってくる広告は、こんなものばかりです。
◆墓地・霊園の広告
◆高額ブランド品の買い取り広告
◆宅配弁当の広告
なるほど。たしかに高齢者がターゲットです。
以前はあんなに見かけた不動産広告も入らなくなりました。
マンションや一戸建てを購入する世代は、もはや新聞など見ていないからなのでしょう。
職業柄、塾の広告を眺めて粗さがしをするのも好きなのですが、もちろんこれも入ってきません。
新聞消滅の理由
いうまでもありません。インターネットのせいです。
「別に新聞などとらなくても、ニュースはチェックしているから」ということなのでしょう。
たしかに、紙の新聞など購読しなくとも、スマホでいくらでもニュースを見ることができますので。
しかし、単に紙の新聞がネットに置き換わったということではないと思います。
それが証拠に、スマホに特化した新聞社が登場していません。
皆がいう「ネットでニュースを見ている」というのは、要するにYahooニュースを見ているだけですね。
あれはまともなメディアとは呼べないのは常識ですね。
つまり、新聞を読まなくなった、ということは、社会の変化に興味関心を持つ人が減ってきた、ということなのだと思います。
テレビ離れ
新聞を読まずとも、まだテレビのニュースを見ていれば多少はましなのですが、それも減っています。いわゆる「テレビ離れ」です。
もっとも、テレビのニュースは新聞の代替とはなりません。
◆速報性を重視するあまり、検証が不十分なニュースが多い
◆継続した長期にわたる調査報道がされない
◆情報の保存性が無い
◆スポンサーの意向に逆らえない
◆ニュースとエンタメの境界線が曖昧
◆視聴者が「能動的」に情報を得られない
どうしてもテレビのニュースにはこのような問題点が付きまとうからです。
それでも、インターネットニュースよりははるかにましだと思います。
少なくとも、報道専門の記者・部署が存在するからです。
教育への悪影響
世の中全体が、
◆深く物事を考えない
◆問題意識を持たない
◆社会情勢に興味を持たない
◆能動的に情報をとりに行く気はない
◆自分に興味のある狭い事象だけ知れればよい
◆新聞のような高齢者のメディアに興味はない
◆細かい文字情報から真相を拾い上げるつもりもない
◆政治には興味は無い
◆国際情勢にも関心はない
このような方向性へ行くのなら、それは仕方のない変化なのでしょう。少なくとも、意思ある自立した大人が選んだ道ですから、私のような外野がとやかく言うことはできません。
しかし、だからといって、教育を受けている小中高生&大学生については、そういうわけには絶対に行きませんね。
社会に興味を持ち、情報を分析して取捨選択して取り入れる力を育てる時期ですので。
その第一歩としては、新聞にまさる手段は無いのです。
もちろん新聞も絶対正しいメディアではありません。しかし、他のメディアと比較すると、信頼性は高いのは間違いありません。
まずは新聞を1紙購読し、毎日丁寧に読む習慣を身に着けること、そしてやがては、複数紙を読み比べて、新聞社による報道のスタンスの違いを見抜くことができるようになること。ここまでできるようになってから、はじめてインターネットで情報を検索してその正確性や偏向性を見抜くリテラシーが身につくと思います。