3年生は大切な時期
中学受験に向けての小学3年生は大切な学年です。
中学入試に向けての本格的なカリキュラムは、4年生からスタートします。塾が異なっても、これは変わりません。
中学入試が一般的になろうとした頃、6年生の1年間が準備期間だったのです。それがいつのまにか、5年生スタートとなりました。そして4年生スタートへと進化?してきたのですね。
どの塾も、優秀な生徒を早い段階から「囲い込み」たいという思惑があります。だからこそ、受験カリキュラムがこうして前倒しになってきたのです。
しかし、そこには「4年生の壁」というものが存在します。これ以上受験カリキュラムを前倒しにすると、他の塾からの転入生を受け入れられなくなりますし、新規に入塾する生徒も見込めなくなるのですね。
そこで、いつの間にかどの塾も、本格的なカリキュラムスタートは4年生から、と横並びになりました。
ということは、3年生の1年間は、幸先良いスタートダッシュができるようにするための、大切な1年間ということが言えるのです。
4年生から何が始まるのか
小6の2月1日、これがXデーです。
そこでベストの学力に持っていくためには、4年生からの緻密なカリキュラムが必要です。どの塾でも工夫をこらしたカリキュラムを考えた結果、結局はほとんどの塾で同じようなカリキュラムが組まれています。
算数は、いよいよ特殊算の学習が始まります。理科・社会は入試に直結した学習が始まります。極端に言えば、4年生のときに学び、その後1度も学ぶ機会が無かった知識が、入試にそのまま出てくる、そういう学習となるのです。
社会科の例をあげましょう。
4年生の最初は、地理からスタートします。身近な地域の暮らしや、日本の気候風土、さらに基本的な地名を学ぶのが普通です。やがて夏前後から産業分野の学習に入ります。こうして5年生の夏前後まで、地理の学習が続くのです。
3年生で何をやるべきか
やはり社会科を例にとりましょう。
地理分野の基本的な知識を学ぶべき時期が3年生なのです。
都道府県の場所・漢字、そして重要な都市名
山地・山脈・川・平野等の地名
これだけだとあまりに無味乾燥なので、そこに気候・風土・暮らしをまぜていきます。
・新潟県は日本海に面している
・日本海には対馬海流が流れている
・日本海の向こうには、ロシアや北朝鮮がある
・季節風の影響で冬の降雪量が多い
・農業は夏に重要な米作中心となった
こういった基本的な知識背景とともに、越後平野や信濃川を学ぶのですね。
できればそこに映像・写真等のビジュアルの援護射撃が欲しいところです。
北海道から九州まで網羅します。
頭の中に、大まかな日本列島の形が定着し、そこに様々な産業や気候風土・人々の生活が乗っていくようなイメージでしょうか。
3年生のときにここまでできれば、4年生からの地理の学習がどれだけ楽になることでしょうか。
算数については、四則混合計算が素早く正確にできるようにしましょう。
もちろん九九はマスターしているはずです。
それだけではあまりに味気ないので、図形問題も取り入れましょう。図形は思考力系の問題が多いので、楽しく取り組めると思います。
3年の学習は、このようにして、「4年生からの学習を楽にする」ことが目的なのです。
実は理想的な学びの時期
そうはいっても、3年生の学習にはもう一つ大きな役割があります。
それは、受験カリキュラムにとらわれない「理想的な学び」をする余裕がある最後の時期だからです。
例えば、リサイクルやごみ処理についての好奇心を満たすために、地域のごみ処理場・リサイクルセンターを訪れるのはいかがでしょうか。
ソーラー発電所を見に行くのもよいですね。
ベランダのプランターで夏野菜を栽培してみることで、連作障害を実地に知ることもできるでしょうし、農薬がいかに「便利か」を知ることもできるでしょう。
俳句を学び、自分で作ってみて、季語や日本語の奥深さを知ることもできます。
理科的な視点から料理にチャレンジしてはどうでしょうか。温泉卵作りにチャレンジするのもよいですね。
こんな勉強、4年生になるとできません。
本来は時間のゆとりのある小学校でこそ極めてほしい学びなのですが、残念ながらあまり期待はできません。
※注意
こうした「体験学習」「見学」といった学びは、あまりに「学習」要素を全面に出し過ぎると、とたんにつまらなくなります。
また、こうした体験がすぐに役立つということもありません。
小学校の「社会科見学」がその典型ですね。事前学習→体験→事後レポート、こうした「学習」をさせると面白くなくなるのです。
いろいろなことを一緒にやってみる、いろいろなところに一緒に行ってみる、それくらいの「緩さ」で臨むのがよいと思います。
先取り学習
小学校4年生で学ぶ内容くらいは3年生のうちに完了しましょう。
漢字については、5年生の内容くらいまでは先取りを推奨します。とにかく漢字の知識がないと、学年を上げた本や教材が使えませんので。
読書についても、もし本人が自力で読めるなら、学年縛りなど無視してどんどん読ませてよい時期です。
ただし、本は選ばなければなりません。そのあたりについてはこの記事をお読みください。