記述力向上のためには、語彙と日本語運用能力が大切だと書きました。
今回は、その中でも触れた、短文作成の効果について論じます。
語彙力と日本語能力を同時に鍛えるやり方です。
名付けて「短文作成法!」
何の工夫もないネーミングで恐縮です。
語句を使いこなせる状態とは?
英語に置き換えるとわかりやすいと思います。
「教養」を意味する英単語には、”culture”と、”education” があります。
辞書的には、文化的な教養を示すのが、”culture”で、教育を通じて見に着ける教養が”education” となっています。
たしかに”culture”は「文化」と訳しますし、”education” は「教育」と覚えました。
こうして二つの単語を覚えたことになるのですが、実はこれだけでは不十分ですね。
まだまだ使いこなせる状態ではありません。
そこで、これらの単語を使った短文作成をしてみることにします。
◆He is a cultured and goal-oriented person.
「彼には教養があり、そして目標に向かって行動する人だ」
◆She is a highly educated woman.
「彼女は高い教育を受けた女性だ」
◆His education level is high.
「彼の教養水準は高い」
◆He is what is called a man of culture.
「彼はいわゆる教養人だ」
これくらい作文できれば、もう”culture”と、”education” は、使いこなせる語彙として見に着いたといえますね。
実は、同じく「教養」と翻訳される単語に、”Liberal Arts”があります。しかしこれは、同じ「教養」と翻訳されてはいるものの、”culture”や”education” とは別物です。ここも深堀りしていくと実に面白いのですが、今回のテーマとは逸れますのでここでは書きません。
昨年のこの記事に詳しく書きましたのでぜひご一読ください。
ここでは、語句を使いこなせる状態とは、その語句を用いた短文作成がすぐにできる状態であると定義しましょう。
語句の説明をしてみよう
その語句の説明をできるというのも大切なことですね。
これも「短文作成法」のやり方の一つです。
◆「やませ」について説明しなさい。
「東北地方の太平洋側に初夏に吹く、冷害をもたらす冷たく湿った北東の風。」
「山背」とも書きますが、普通はひらがなで表記します。昔から地元では「冷害風」「餓死風」と恐れられてきました。
ここで大切なのは、「やませ」を答えられることではなく、説明できることなのです。
・風向き
・季節
・場所
・特徴
これらを過不足なく盛り込めなくてはなりません。
◆「オイルショック」について説明しなさい。
「1970年代に2度起きた、中東産油国による石油減産や価格高騰により、世界的にもたらされた経済の混乱。」
この短文をベースとして、第四次中東戦争やイラン革命、機械工業の進展や省エネについていくらでも膨らませることができますね。
実は昨年にも、まったく同じテーマで記事を書いています。
こちらもとても参考になると思うので、ぜひお読みください。