
※この記事の初出は、2025.03.12です。2025.09.11にUPDATEしました。
記述力向上のためには、語彙と日本語運用能力が大切だと以前書きました。
今回は、その中でも触れた、短文作成の効果について論じます。
語彙力と日本語能力を同時に鍛えるやり方です。
名付けて「短文作成法!」
何の工夫もないネーミングで恐縮です。
子どもは語彙力に乏しい
そもそも日本語の語彙って、わざわざ勉強したり覚えるものでしたっけ?
自分自身の過去を振りかえっても、そんな学習をした記憶はありません。忘れているだけかもしれませんが。
幼少期より本の虫だった私は、家にあった蔵書を読み漁り、図書館に入り浸っていました。たまたま家にあった平凡社の百科事典(書棚の2段を占拠していた)も「読み物」として読みふけっていたものです。「活字中毒」仲間の方にはご理解いただけるでしょう。それだけ本を読めば、さすがに語彙力はつきますね。
また、周囲の大人達の会話を聞いているうちに、自然に語彙が身につくこともあるでしょう。今でも覚えているのですが、幼稚園くらいのころだったでしょうか、大人たちが「選挙のビラを剥がしたことで処罰される」事件について会話していたのです。「ビラ?」この単語を知らない私にとって、剥がしたことで処罰されるほど重要な「ビラ」がいったい何なのか想像をめぐらしたものでした。「ビラ」という語感から、「ヒフ」を連想した私は、電柱や掲示板の表面が「皮膚」になっている不気味な想像をしたものです。大人たちに尋ねることで、ようやくそれが「紙でできた選挙ポスター」であることを理解したものでした。
現在の小学生たちには、このような牧歌的な時代のやり方は通用しません。なにせ忙し過ぎて本を読む時間が無いのです。語彙については、意図的に計画的に学習する必要があります。
語句を使いこなせる状態とは?
英語に置き換えるとわかりやすいと思います。
「教養」を意味する英単語には、”culture”と、”education” があります。
辞書的には、文化的な教養を示すのが、”culture”で、教育を通じて身に着ける教養が”education” となっています。
たしかに”culture”は「文化」と訳しますし、”education” は「教育」と覚えました。
こうして二つの単語を覚えたことになるのですが、実はこれだけでは不十分ですね。
まだまだ使いこなせる状態ではありません。
そこで、これらの単語を使った短文作成をしてみることにします。
◆He is a cultured and goal-oriented person.
「彼には教養があり、そして目標に向かって行動する人だ」
◆She is a highly educated woman.
「彼女は高い教育を受けた女性だ」
◆His education level is high.
「彼の教養水準は高い」
◆He is what is called a man of culture.
「彼はいわゆる教養人だ」
これくらい作文できれば、もう”culture”と、”education” は、使いこなせる語彙として見に着いたといえますね。
実は、同じく「教養」と翻訳される単語に、”Liberal Arts”があります。しかしこれは、同じ「教養」と翻訳されてはいるものの、”culture”や”education” とは別物です。ここも深堀りしていくと実に面白いのですが、今回のテーマとは逸れますのでここでは書きません。
昨年のこの記事に詳しく書きましたのでぜひご一読ください。
ここでは、語句を使いこなせる状態とは、その語句を用いた短文作成がすぐにできる状態であると定義しましょう。
漢字の学習をするときもチャンスです。みなさんは、どんな漢字教材を使っていますか?
私のおすすめは、これです。
旺文社の「1026字」です。「1026字」をタイトルにした漢字のテキストは、いくつかの出版社から出ていますが、昔から使い慣れている旺文社のものが定番だと私は思っています。
値段は1000円もしません。なんと770円です。高価なものが多い参考書としては安いですね。サイズは文庫本サイズで、持ち歩きに適しています。
その名のとおり、小学生が学ぶ漢字を、書き順や意味などとともにまとめたものです。
この本のもう一つの役割は、そこに漢字使用例として出ている熟語を学ぶことなのです。「この熟語を使った短文作成!」いつも生徒にそう投げかけます。
1つの漢字の学習が、こうして膨らむのですね。
語句の説明をしてみよう
その語句の説明をできるというのも大切なことですね。
これも「短文作成法」のやり方の一つです。
◆「やませ」について説明しなさい。
「東北地方の太平洋側に初夏に吹く、冷害をもたらす冷たく湿った北東の風。」
「山背」とも書きますが、普通はひらがなで表記します。昔から地元では「冷害風」「餓死風」と恐れられてきました。
ここで大切なのは、「やませ」を答えられることではなく、説明できることなのです。
・風向き
・季節
・場所
・特徴
これらを過不足なく盛り込めなくてはなりません。
◆「オイルショック」について説明しなさい。
「1970年代に2度起きた、中東産油国による石油減産や価格高騰により、世界的にもたらされた経済の混乱。」
この短文をベースとして、第四次中東戦争やイラン革命、機械工業の進展や省エネについていくらでも膨らませることができますね。
短文作成法による学習は、語彙の取得ばかりか、記述力向上にも絶大な効果があるのです。ぜひ家庭での学習に取り入れてみてください。
実は昨年にも、まったく同じテーマで記事を書いています。
こちらもとても参考になると思うので、ぜひお読みください。
