今回は新6年生、受験学年に送るアドバイスです。
その1 塾の学習内容を点検しよう
受験まであと1年を切りました。実は11か月しかありません。
おそらくほとんどの受験生が、塾に通っているでしょう。
★実は塾に行かなくても中学受験は可能です。そのことに興味がおありの方は、ぜひこの本をお読みください。
4年生になる前から通塾している方は、すでに2年は塾に通っています。もうすっかり「塾依存体質」が出来上がっていると思うのです。
しかし、ここからの学習は、塾に頼っているだけではダメなのです。
そこで、まずは、6年生の塾の学習内容とスケジュールを把握することから始めてください。
チェック項目は以下の通りです。
✔ テキストのボリュームと、塾の授業でそれをどこまで消化しているのか?
✔ 各教科の宿題の量と、それにかかる標準的な時間
✔ 補習・特別授業の有無
✔ 補助教材の種類と量、そしてそれを消化するのに必要な家庭学習時間
とくに宿題・課題の量と、それを指示通りに家庭で完了するのにかかる時間の点検は重要です。
実は、どの塾でも、生徒に課す宿題の量は、「全て完璧に終えるのは不可能な量」を出すのです。
それには理由が3つあります。
(1)4科目の連携がとれていない
(2)教師が「これくらいはやっておいてほしい」と考える量が過剰
(3)自己保身
(1)と(2)の理由はわかりますね。教師から見れば、生徒はいつまでたっても「出来ない」「点がとれない」「弱点だらけ」の存在です。
そこでついつい、「これくらいはやらないとダメだろ!」と過剰な課題を出しがちなのです。
そしてそれを4科目の教師がそれぞれ出すので、トータルとして「完了不可能」な量の宿題となりがちです。
しかし、怖いのは(3)の理由です。
教師がどんなに頑張って力を尽くして教えたとしても、入試が終わると反省が待っているのです。
◆あの問題もやっておけばよかった・・・そうしたら解けただろうに
◆あの知識も教えておけばよかった・・・そうしたら不合格にならなかっただろうに
◆もっとあの分野を鍛えておくべきだった・・・そうしたら合格したかもしれないのに
これは、塾の教師の宿命みたいなものですね。
毎年この反省から受験学年の授業がスタートします。
だからこそ、ついつい過剰な課題を課しがちなのです。
しかし、はっきりいってこれは教師の「保身」です。
「私はここまで力を尽くし、生徒にもきちんと指示をした。それを守れなかったのだから不合格も仕方がないでしょう」
意識してとまでは思いませんが、無意識にこうした思考が働くことは十分考えらるのです。
さらに、とある個人塾の経営者から恐ろしい話も聞いたことがあります。
「あの塾はゆるい、と思われたら最後なのです。だから、うちは生徒が絶対にこなせるはずのない量の宿題を出すようにしています。その方が塾の評判が高まり集客につながりますので。それに、生徒が不合格になったとしても、塾のせいではなく、宿題をやれなかった家庭の責任になります」
もはや「教育者」を名乗る資格はありません。
その2 今後のスケジュールを確認しよう
ここで大切なのは、過去問演習に対する塾の姿勢です。
◆受験校の過去問5年分 6校×5=30校分
◆多くの学校の過去問演習 20校分以上
最低でもこれくらいの過去問演習をしないと、本当の実力=得点力は身に付きません。
もちろんただ解きっぱなしでは意味がない。丁寧な間違い直しが必須です。
これだけの過去問演習には時間がかかります。
何せ小学校もありますから。
最大のチャンスは、土日の小学校が休みの日と、夏休みです。
しかし、この貴重な時間を、授業で埋め尽くす塾が多いのです。
理由は簡単です。
授業をしないと「儲からない」からです。
また、過去問の解説授業は、集団塾では困難です。一人一人の志望校は異なりますので。
例外として、同じ学校を受験する生徒だけでクラスが構成できるのなら可能です。もっとも、それでも全ての生徒が同じ受験校ということはあり得ません。
夏前なのに、すでに週4日、5日の通塾を強制する塾は要注意です。
もしそれが「オプション設定」の授業なら、断る勇気も大切です。
その3 睡眠時間を確保しよう
中学受験は過酷な試練です。
何せ時間が無いのです。
小学校に行っている時間と、生活に必要な時間をのぞいたわずかの時間だけが、受験勉強にあてられる時間です。
その時間を増やすことはできません。とくに睡眠時間の確保は最重要です。
◆小学校で居眠りをしている
◆朝起きられなくなった
◆塾から帰るとぐったりしている
◆食欲が落ちている
◆風邪をひきやすくなったようだ
こうした兆候が見られたら、生活習慣・学習時間を見直すべきでしょう。
とくに、小学校の後夜遅くまで拘束される通塾は負荷がかかります。
夏前の段階で、それが週4日以上は多すぎます。
塾に行っただけでは学力は向上しません。
家庭でそれをどう復習し、定着させるのか。家庭でどうやって弱点をフォローするのか。そうした時間をきちんととることが大切です。