今回は、本の宣伝になります。
興味の無い方はどうぞ飛ばしてください。
私が本を書こうと思った理由
すでにこのブログも記事数が500ほどになりました。
毎日1本書いてきたのです。
なるべくニュートラルな立場から、受験生のプラスになることだけを、丁寧に書いてきたつもりです。
その記事の中に、「塾に行かずに中学受験する方法」について書いたものが数本ありました。
反響の大きかった記事の一つでした。
「塾に行かずに中学受験できるわけがない」
そうした声がありました。また、
「うちにはとても不可能」
そういう声もいただきました。
自分であらためてブログの記事を読み直してみると、まだまだ私の考えがまとまっていなかったり、伝わりづらいところがあります。また、ブログの性質上、記事が散逸していて、わかりづらいことに気が付きました。
そこで、今回思い切って、過去のブログの記事をまとめなおし、大幅に加筆修正し、一冊の書籍にまとめることにしたのです。
また、私にはもう一つの思いがありました。
本来は、中学受験は、子どもが家庭で学習を積み重ね、その成果として受験に臨むものであったはずです。
1950年代に、二つの塾が登場しました。
・日本進学教室(日進)
・四谷大塚進学教室(四谷大塚)
これらは、いわゆる「テスト会」と呼ばれるスタイルの塾です。
毎週日曜日に、大学や予備校等の会場を借りてテストを実施するのです。
ちなみに、四谷と大塚にある予備校の会場を使っていたために「四谷大塚」が社名になりました。
生徒達は自宅で自力で学習してからテストに臨みます。
授業はなかったのです(テスト後におまけのような解説はあったようですね)
そういえば、四谷大塚のテキスト名「予習シリーズ」は、まさに自宅で生徒が予習してからテストに臨むことからついた名称です。この予習シリーズの完成によって、四谷大塚は日進を駆逐したのですが、そのあたりについてはこの記事をごらんください。
つまり、中学入試の黎明期には、「自宅学習」が当たり前だったのです。
やがて、四谷大塚の準拠塾とよばれる塾が乱立し始めます。自宅で予習できない生徒たちに、教師が授業をするスタイルですね。四谷大塚もその動きに追随します。
こうして、いつのまにか塾で習ってから日曜日に四谷大塚の日曜テストを受けに行くスタイルがスタンダードになっていきます。
やがて、四谷大塚ではカバーしきれない学力層を中心に、他の塾が台頭し始めます。
日能研やSAPIXが筆頭です。
こうして、現在の状況に至ったのです。
塾に行かせることで得られる物と失う物
塾は便利です。
効率よく学習させて、合格させてくれますし、親は楽をできます。
しかし、こう書くと、違和感を感じる方も多いのではないでしょうか。
本当にこの塾は効率が良いのだろうか?
このままで合格できるのだろうか?
親は全然楽を出来ていないのだけど。
疑心暗鬼に駆られもしますし、他の塾も気になります。
そこで、塾としては親の不安を鎮めるために、あれこれ手をつくすことになります。
頻繁に親に電話をかけてきたり、保護者会を開いたり、面談をしたり。
そこで聞かされるだいたいのストーリーは決まっています。
「塾は悪くはない。悪いのは家庭の学習方法。だから、この教材をやってください、この講座を受講してください・・・・・・」
完全に信頼できる塾・先生との出会いがあれば、それでも良かったのです。
「全てこの先生の言うとおりにしていれば間違いがない」
そう思えることは幸せです。
しかし、なかなかそのような出会いはありません。
原因はわかっているのです。
塾に多くを求め過ぎなのです。
全ての家庭の要望を満たす塾など存在しません。
親はそれを承知の上で、子どもの学習を見守るべきでしょう。
塾に行かせることで、親の依存心が高まり過ぎることに問題があるのだと思います。
塾を否定しているのではない
私は塾を否定しているのではありません。
私だってその業界の片隅の人間ですから。
自分にできる範囲で最大限の成果をもたらすことに全力を挙げているつもりです。
この本で私が言いたかったのはこういうことなのです。
「親は何もわからないから全部塾におまかせ」
「塾の先生の言う通りにしていれば大丈夫でしょ?」
「とりあえず塾に行かせておけばいい」
「中学入試問題なんて難しすぎて親にだってわからないから」
「夏期講習は毎日朝から晩まで拘束してくれる塾のほうがいい」
「家にいるより塾の自習室に毎日行かせたほうがいいよね」
「親だって入試問題を解く努力くらいはしたほうがいいよね」
「簡単な算数は私でも解けたけど、この難しい問題は解説見ながら一緒に考えよう」
「国語の漢字と語彙くらいは家で私が教えてあげようかな」
「ジェンダーについて、親子で議論してみよう」
「子どもの苦手分野は、日曜日に2時間、親子で取り組んでみよう」
赤と青、どちらが望ましいと思いますか?
塾に通わせるとしても、青のような姿勢であってほしいと思います。