新6年生になりました。
いよいよ受験学年としての1年間がはじまります。
このタイミングだからこそ、今いちど考えてみましょう。
お通いの今の塾、本当にそのまま通いますか?
- そのまま継続が基本とはいうものの
- 拘束時間が長過ぎないか?
- 過去問演習の量はどうだろう
- テストが多すぎる
- 進路指導が強気すぎる
- 特定の学校ばかり推す
- 学校を貶す
- 宿題の量が多すぎる
- 親が怒られてばかり
- 全部おまかせください
- 個人情報が洩れる塾
- 塾は限定的に信頼するくらいがちょうどよい
そのまま継続が基本とはいうものの
転塾にはエネルギーが必要です。
子どもも今の塾に慣れています。友達もできました。
親もそうですね。
そこで、あえて別の塾に移る、これは面倒ですし、勇気も必要です。
また、どんな塾だって長所もあれば短所もあります。「隣の芝生」ばかり気にして、今お通いの塾の粗さがしばかりすることは不毛です。与えられた環境で努力できない生徒は、どんな塾に移ったところで成績が伸びるはずもないのです。
だから、お通いの塾にそのまま継続して通うのが基本ではあるのです。
しかし、「絶対にそのまま継続しなくてはならない」わけではありません。
「塾なんて、どこに通ったところで同じ」
それはそうです。
しかし、まったく同じというはずもなく、もたらされる結果にも僅かの違いが生じます。
そして、その「僅かの違い」がとても重要なのです。
もし転塾するのなら、今が最後から2番目のチャンスです。
(実は本当の最後のチャンスは7月の夏期講習からなのですが、それはまたその時期になったら記事にしますので)
そこで、あらためて現在お通いの塾の点検をしてみましょう。
拘束時間が長過ぎないか?
みなさんは大きな勘違いをしていませんか?
「たくさん教えてくれるから良い塾だ」
「毎日自習室が利用できるのが良い塾だ」
「どうせ家にいても勉強しないから」
このような考えで、拘束時間の長い塾を選んではいないでしょうか。
受動的に教わるだけの学習では、学力はつかないのです。家でじっくりと復習をする時間が無ければ、どんな知識も解法も定着しません。
解けなかった問題を、自分なりに頑張って考えてみる。曖昧だった知識を、自分なりに整理して覚えようとする。
そうした「自分なりの」努力の積み重ねがなければ、学力は身に付きません。
塾にいる時間は、どうしても受け身の時間となります。
そうした受け身の時間で学習を埋め尽くすことは逆効果なのです。
この時期から週5日以上の拘束がある塾は、「頼るべき」塾ではない可能性があるのです。
また、家に帰る時刻も重要です。
ここから先は、体力・体調のコントロールが必須です。
睡眠時間が削られることは、ダイレクトに体調に影響します。
もし遠くの塾まで時間をかけて通っているのなら、通塾時間を見直すべきでしょう。
もし居残り補習が頻繁にあるのなら、やはり転塾を検討すべきかもしれません。
過去問演習の量はどうだろう
入試で合格点をとれるようになるためには、過去問演習が欠かせません。
この場合の過去問演習には、3種類あります。
①志望校の過去問
②多様な学校の今年の問題
③分野別に整理し直された過去問
おそらくは、塾で使うテキストの問題は、③の問題が多いでしょう。過去に出題された入試問題の中から、学習分野に応じて再構成された問題集のようなものですね。
これは、解説授業がしっかりとあるのならば、非常に有効です。そのまま塾で学べばよいでしょう。
問題になるのは①と②です。
過去問というと、一般には①の志望校の過去10年にさかのぼった問題演習をイメージするかもしれません。もちろんそれも重要です。しかし、より足腰の強い学力につながるのが、②の多様な学校の最新の入試問題を演習することなのです。
これらの過去問演習についての塾のスタンスは重要です。
◆塾で解かせてその場で解説授業
◆家で解かせて、丁寧な添削指導
この両方をミックスして指導するのが王道です。
しかし、実際にはこんな塾もあるのです。
「過去問は家で解くのが当たり前です。答え合わせまで済ませ、間違い直しノートと会わせて提出してください」
そう指示されますが、提出したノートには「見ました」というハンコが押されているだけです。
これは「指導」とはいいません。
一度、過去問の学習について塾に聞いてみるとよいでしょう。
もし上述したような塾なら、やはり転塾を検討すべきだと思います。
テストが多すぎる
テストは、自分の立ち位置を把握することも重要ですが、もっと大切なのは、自分の弱点を把握してそれをつぶしていくことなのです。
だから、テストは受けたあとが大切です。きちんと納得いくまで間違い直しをしなければなりません。
毎週のようにテストをやられると、この大切な「振り返り」の時間がとれません。
受けっぱなしのテストでは時間の無駄なのです。
進路指導が強気すぎる
そろそろ志望校についてご相談する時期ですね。
いくつかお考えの志望校について、相談を申し込んでください。
「大丈夫、頑張ればいけますよ!」
そんなことしか言ってくれないとすると、それは進路指導とはいいません。
「この学校じゃもったいないですね。もっと上のこの学校を受けましょう!」
こうした物言いも要注意です。経営者から、難関校の合格実績を上げるように圧がかかっている可能性が高いからです。
また、遠くて通うことが無理な学校の受験、たとえば神奈川在住なのに1月の千葉・埼玉の学校の受験をすすめる塾も要注意ですね。あきらかに実績稼ぎが目的です。
相談した志望校について、4科目の特徴や本人の特性に基づいた話ができるのが基本です。
特定の学校ばかり推す
なぜか、特定の学校を推してくる塾・教師がいます。
これは別に塾とその学校が癒着しているわけではありません。
その塾・教師が多くの学校を知らないだけなのです。だから、自分たちが知っている学校ばかり推してくるのですね。
明らかに学校の勉強不足です。
学校を貶す
「〇〇中学なんて、行く価値がないですよ。△△学園を受験しましょう」
特定の学校を批判する塾・教師なら、信頼することはできません。
どんな学校にだって、その学校を志望し、努力をし、合格し、満足して通っている生徒がいるのです。たかが塾の教師が、上から目線で学校を批判することなどしてはならないのです。
昔は、こうした断定的な物言いをする教師がたくさんいました。今は淘汰されたはずですが、もしそうした教師にあたってしまったのなら、担当を変えていただくか、転塾を検討すべきでしょう。
宿題の量が多すぎる
算国理社、それぞれの教科で膨大な宿題が課されます。全部こなすことは不可能です。
これは明らかに、4科目の教師の連携が取れていないのです。
今後の指導に不安が残ります。
親が怒られてばかり
「算数の宿題は家できちんとやらせてください!」
「計算間違いばかりしているのは、毎日計算ドリルをやっていないからです!」
「漢字くらい家できちんと練習させてください!」
「社会科を暗記する気がないですよね!」
このように、子どもの成績や出来具合を全て家庭の責任にして責め立ててくる教師も多いですね。
もちろん言われたことは「ごもっとも」な指摘ばかりなので、親としては小さくなって聞くしかありません。
しかし、これは教師の卑怯な責任逃れでもあるのです。子どもが家できちんと学習する気になるような指導をするのもまた、塾の腕の見せ所です。
全部おまかせください
「塾に全部おまかせください」
「毎日来させてください」
そう言われると、ついまかせたくなりますね。だって楽ですから、親が。
でも、本当に任せて良い塾かどうかは、わかりません。その見極めは慎重になる必要があるのです。
個人情報が洩れる塾
この時期には、今年の受験生たちの結果が気になります。
「この教室からは〇〇中学にどのレベルの生徒が合格したのか、不合格だったのか」
たぶん一番気になるのはここでしょう。
「これくらいの偏差値の生徒は、どこに合格してどこが不合格で、どこに進学したのか」
これも気になりますね。
そこで、面談や保護者会でこうしたことを質問する方もたくさんいらっしゃいます。
しかし、実は詳細はお話できないのです。
一つの教室で1学年数百人もいて、同じ学校への合格者が数十人、そうした規模であれば、ある程度お話できるかもしれません。
しかし、学年人数が数十名、同じ中学校を受験したのが数名、そうした規模の教室の場合、詳しく話してしまえば、個人が特定される恐れがあるのです。
「今年は、うちの教室からは開成を4名受けましたが、合格したのは1名だけです。その生徒も、1月の渋幕と2日の聖光、3日の筑駒は不合格でした。受けてもらった公開模試でS偏差値が65でも安心できないのです。今や開成よりも聖光のほうが難しいですね。不合格だった3名のうち、1名は結局4日の巣鴨以外は全滅でした。残りの2名については、私が何とか説得して3日の筑駒の受験を回避させました。一人は浅野で止まりましたが、一人は公立中学になってしまいました。お子さんの今の成績は、何とか浅野にひっかかった子と同じくらいですね。志望校を見直したほうがよいでしょう」
具体的かつ詳細で非常に参考になりますね。しかしここまで話されてしまうと、完全に個人が特定できてしまいます。
来年、自分の子どもの受験結果を周囲にまき散らされる覚悟が必要です。
塾は限定的に信頼するくらいがちょうどよい
塾の教師とご家庭・生徒の間には信頼関係が必要です。
塾の粗さがしばかりして転塾を繰り返す受験生で、うまくいった子を私は知りません。
かといって、全て丸投げで信頼するのも問題です。
親がきちんと子どもの学習状況を把握する。
塾の指示は、納得いくものだけ従う。
志望校は家庭で決めるもの。
そうしたスタンスで、安心できる塾にこれから1年間通わせたいですね。