中学受験のために塾に通っているのに、一向に成績があがらない。
家庭教師でも頼むべきなのか?
今回は、こうした疑問にお答えしようと思います。
そもそも家庭教師は必要か?
まず、慌てて探し始める前に、ここをしっかりと確認してほしいのです。
本当に家庭教師は必要なのか?
必要になるのは、以下のケースです。
(1)受験校対策が特殊で塾ではやってもらえない
中学入試問題は、実はそう特殊な問題は出題されません。さすがに小学校の学習範囲からでは入試問題が成立しませんので、中学生の学習内容に踏み込んだ出題にはなりますが、算国理社、どれも基本・標準・発展問題の組み合わせで構成されています。
したがって、ある程度の規模の大手塾なら、どちらに通っていたとしても、過不足ない指導をしてもらえるはずです。
ただし、例外があるのです。
◆適性検査型入試
◆論文・作文
◆記述問題(理社)
公立中高一貫校だけではなく、私立の一部にも、適性検査型入試を行う学校が増えています。この指導は集団指導にはなかなか適しません。1桁の人数の少人数指導なら効果的な指導ができます。あるいは、個別指導・家庭教師も有効です。
同様に、論文・作文対策は集団指導に適しません。本当に有効なのは、個別指導か家庭教師でしょう。少人数の集団指導も悪くはありません。
理社で記述問題を出す学校は限られています。麻布・武蔵・鷗友・海城が筆頭にあげられます。こうした学校を受験する場合、個別指導や家庭教師が有効です。どうしても塾の集団指導では対応できないからです。少人数集団指導も良いですが、同じ学校を受験する同じレベルの生徒が集まっていないと、どうしても効率は下がります。
(2)学力にムラがありすぎる場合
1科目だけできない、あるいはある科目の特定分野が苦手、そうしたケースです。例えば帰国生で日本に帰国して塾に行き始めたのが6年生になってからなので、社会科の歴史と地理がすっぽりと抜けているといった場合ですね。あるいは算数の割合がさっぱり理解できていない、国語の物語文がとても苦手、そうした穴があるかもしれません。
この場合のフォローは集団指導塾では不可能です。個別指導か家庭教師の出番です。
(3)とにかく集団指導に向かない
落ち着いて机についていられない、周囲に他人がいると集中できない、さぼり癖がある、こうした理由で、集団指導塾に向かない生徒というものがいます。
また、きちんと毎週塾に通っていたのに、何も身につかないという生徒もいますね。ただぼんやりと座っていただけで、授業が理解できていないのです。本来は教師がそうした生徒の様子をいち早く気が付いて対処すべきなのですが、全ての集団指導塾の教師がそうしたスキルを持っているわけでもありません。また、スキルがあったとしても、放置する塾も多数あります。いわゆる「お客様」状態です。
この場合は、個別指導か個人家庭教師に切り替えるべきでしょうね。
(4)過去問演習を充実させたい
集団指導塾の限界は、過去問指導にあります。教室に座っている生徒全員にフィットした過去問演習などできるはずがないからです。
そこで、「過去問は家で解いて〇付けまでしたら提出してください」といった指導スタイルになるのです。これは「指導」でもなんでもありません。個別指導か家庭教師を頼めば、お子さんだけの受験スタイルに応じた指導を頼めるでしょう。
(5)親が構ってあげられない
両親とも仕事が忙しかったり、地方出身で中学受験事情に疎かったり、何等かの理由でお子さんの学習の並走ができない場合、そこを家庭教師にまかせるという考えもあるでしょう。
★家庭教師を頼む必要がない場合
ただ漠然と、「塾の成績を上げたい」という理由で頼むのは無駄でしょう。今やっている学習で成果があげられない子が、多少指導スタイルを変えても効果は薄いからです。個別指導や家庭教師の中には、「〇〇塾の定期試験の成績を上げる」ことを売りにしている人もいますが、無意味です。
また、「やっぱり成績上位の生徒は皆家庭教師をつけている」といった風評に踊らされるのも愚かなことです。そんなはずはないからです。
家庭教師の探し方
おもに4パターンです。
(1)口コミ
もし知り合いで信頼できる方から紹介される家庭教師がいれば、それがベストです。なにせ玉石混交の世界です。はったりだけで稼ぐ教師もいます。
高い費用を支払うのですから、信頼できる先生を、信頼できる方から紹介してもらうのがベストです。
(2)家庭教師派遣業
一番簡単ですが、一番高くつき、一番トラブルが多い探し方です。
こうした業者は、学生・プロの家庭教師を常時募集し、派遣します。
当然「中抜き」があります。
また、納得いく先生になかなか出会えないという問題もあります。
何人も学生講師をチェンジし、結局高額なプロを頼むことになりかねません。
ただし、気軽に頼め、気軽にチェンジできるのはメリットです。
また、教師の質は問わないからとにかく急いでいる、そうした場合も良いかもしれません。
(3)マッチングサイト
たぶん、これが主流になりつつあるのだと思います。
頼む方にも引き受ける方にもメリットが多いからです。
こちらも当然「中抜き」がありますが、家庭教師派遣業ほどではありません。
細かく条件を設定して検索することも可能でしょう。
ただし、結局は講師とユーザーの交渉になり、サイトは何もしてくれません。
(4)大学へ依頼
昔はこれが主流でした。
大学の学生課に依頼すると、掲示板に張り紙をしてくれ、学生から連絡がもらえるというシステムだったのです。
今も基本スタイルは張り紙がデジタル化された程度で大きく変わりません。
例えば、東京大学なら「東京大学教養学部等学生支援課厚生チーム」というところが窓口となっています。その他、生協が仲介しているところもありますね。
まずはお近くの大学に問い合わせてみるのもよいでしょう。
もちろん斡旋されるのは、完全なアマチュアの学生ですが、それは他の探し方でも大差ありません。
※注意
「〇〇大学 家庭教師」といったワードで検索すると、いかにも学生の互助会組織のような名称の業者が多数ヒットします。
もちろんこれらは「あっせん業」の民間企業ですのでご注意ください。
選び方
こればかりは、教師と生徒の相性としかいいようがありません。
また、どれくらいのレベルの指導を期待するのかにもよるでしょう。
一般論ですが、中学入試に向けた指導と高校入試に向けた指導は別物です。
教師本人が中学受験経験があるか、中学受験指導経験がないと、まともな指導は期待できません。
したがって、基本はプロ講師を頼むことになるでしょう。
しかし、この「プロ」が本当に玉石混交です。
面接してみて決めるしかありませんが、以下の点には注意するとよいでしょう。
(1)実績を吹聴する講師は信頼できない
「僕の指導で〇〇中学に10年で20人入れた!」
こうした過去の実績を吹聴する教師は、基本的には信頼できません。
一般には家庭教師は1・2科目程度の指導を、集団塾のフォローとして行うものだからです。
優秀な教師ほど、自分の限界を知っています。
ただし、塾に通っていない生徒の4科目を1年以上指導して合格させた場合のみ、自己の手柄としてもよいかもしれません。
(2)大学生も悪くはない
例えば、中学受験を経験し、開成から東大に進学した、そうした学生が見つかったとしましょう。お子さんの志望校は開成中です。
この場合なら、ぜひ依頼してみたいですね。
中には、中高はそんなにレベルが高いところに進学していないのに、大学は東大だ、そうした学生も素敵です。努力の価値を知っているからです。
(3)プロは高額である
これは覚悟が必要です。
少なくとも「プロ」であるなら、1時間1万円未満では引き受けないからです。
とある家庭教師派遣業の料金体系を見てみました。
◆プロ講師・・・月6時間、4万円~6.4万円
◆学生講師・・・月6時間、2.4万円~2.9万円
このようになっていました。
どれくらい「中抜き」されているかはわかりませんが、仮に5割だとすると、講師が手にする金額が安すぎます。
本当の「プロ」が所属しているのかどうか疑問です。
頼み方
よほど信頼できるプロ講師でなければ、丸投げはやめたほうがいいですね。
「国語の過去問指導をお願いします」
「社会科の地理分野の指導をお願いします」
「〇〇中学の過去問の指導をお願いします」
こういったように、具体的に依頼してほしいのです。
ただし、注意が1つあります。
いくらプロといえども、初見の問題を適切に指導できるかどうかはわかりません。
これはある程度のベテランであっても同様です。
したがって、特定の学校の入試問題の指導を依頼するのなら、少なくとも1週間は前に、指導を依頼したい問題を渡しておくべきですね。
その方がはるかに良い指導を受けられるからです。
自宅に来てもらうべきか
家庭教師といえば、基本的には「自宅」に来て指導してもらいます。
ただし、赤の他人を自宅にあげたくないですね。また、自宅環境だと子どもの集中力は下がります。子どもが指導を受けている間、他の家族が息をひそめているのも嫌ですね。
もし、家庭教師でありながら、教師自宅に指導スペースが設けられていれば、理想的です。ほとんど個別指導塾ですね。
個別指導塾に籍だけは置いていて、実質的には個別指導ブースを借りての家庭教師をしている、そうした方もいるようです。これも良いですね。
最近、この問題を解消できるようになりました。
オンラインの活用です。
月1回だけ来てもらって(あるいは通って)指導を受け、あとは自宅でオンラインで指導を受ける。
こうしたスタイルなら、時間の無駄も避けられ、効率よい指導につながります。
※ただし、オンラインと対面は費用は変わりません。家庭教師の場合、教師の時間を買うわけですので、オンラインでもそこは同じです。
こちらにも詳細に記事にしました。