あとすこしで入試本番です。
受験生は最後の死力をふりしぼっています。
塾も必死です。
そして、もう一つ、塾が必死になっているのは、来年度の生徒募集です。
塾カレンダーは1月末で年度が替わります。
受験生が卒塾した穴を、新6年生で埋めなくてはなりません。
しかも、最近の風潮として、一度入った塾を転塾する方は少なくなっています。
保護者としても、どの塾に通うべきか、まさに最後の決断の時を迎えました。
今回は、とくに難関校に強いとされるサピックスへの入塾の是非、そして、新興勢力として気になるグノーブルについて較べてみましょう。
※どちらの塾も持ち上げる意図も貶める意図もありません。なるべくフラットな視点を心がけますが、どうしても主観がにじみ出てしまうことはご容赦ください。
教室展開
たかだか受験塾に通うのに、わざわざ電車やバスを乗り継いで通うのは愚かです。
中学受験は、時間との戦いです。
1分1秒たりとも無駄にする時間は無いのです。
そこで、塾選びについては、自宅最寄り駅にある塾から選ぶ、のが大前提です。
もし自宅最寄り駅に塾が無い場合は、電車を使うことになりますが、それも1駅・2駅程度が限界です。
受験塾の指導内容など、実はどこも大差無いのです。
したがって、この記事は、通塾条件が互角な場合を前提としています。
◆サピックス・・・45教室
◆グノーブル・・・14教室
単純に教室展開だけ見ればサピックスの方が多いですが、通う立場からすればそれはどうでもよいことです。自宅最寄り駅にどちらの教室があるのかどうかだけが重要ですので。
そこで一覧表にしてみると、あることに気が付きます。
グノーブルは、サピックスの教室がある駅だけに教室を展開しているのです。
唯一の例外が本八幡校ですが、本八幡は西船橋から2駅しか離れていません。
例えば東京(東日本橋)校。
人形町や東日本橋エリアって、正直住宅街でも何でもありません。
オフィス街というより、商業街?
人形町は人形焼きしか思い浮かびませんが、馬喰町近辺は繊維問屋街です。
中学受験をする年齢層の子どもたちが大勢住んでいるエリアではありません。それが証拠に、他の塾は皆無です。
ここまであからさまだとは正直思っていませんでした。
もう明らかですね。
グノーブルは、サピックスを「仮想敵」として、サピックスの生徒を奪いにかかっているのでしょう。
もっとも、どちらの塾もターゲットとしている生徒層は重なりますので、似たような場所に教室を展開したため「偶然」重なっただけなのかもしれません。
一時期、サピックスは生徒が集まりすぎて、いくつもの教室で入塾を断っていたと聞きました。羨ましいというか何というか、すごいことですね。
おそらくは、サピックスに入れなかった子が多数グノーブルに流れたことと思われます。グノーブルは笑いが止まらなかったことでしょう。
すいません、下衆の勘繰りでした。
ご自宅最寄り駅にグノーブルがなければ、結論は簡単です。
繰り返しになりますが、たかが受験塾、わざわざ離れた駅にまで通う意味などないのです。
この記事の後半は読む必要はないですね。
この後は、どちらの塾もある駅が最寄りの地域にお住まいの方対象に続けます。
授業曜日・時間・月謝
まずは小6から見てみましょう
◆グノーブル
・平日 17:00~21:00(80分×3コマ×週2日)
・土曜 14:00~19:00(75分×4コマ)
★授業料(月謝) 63800円(2025)
※入室金 16500円
・平日 17:00~21:00(80分×3コマ×週2日)
・土曜 14:00~19:00(75分×4コマ)
★授業料(月謝) 66000円(2024)
※入室金 33000円
入室金はグノーブルがサピックスの半額、授業料もグノーブルが3%ほど安いです。
そこが何より大事なら、グノーブルとなりますが、そこまで気にされる方も少ないと思います。
それより、授業時間が全く同一なのには驚きます。
気になって日能研や早稲田アカデミー等の他塾を調べてみたのですが、もちろん授業時間も回数もバラバラです。
後発のグノーブルが、サピックスに照準を合わせてきたことがここからもわかります。
ところで平日の曜日についてですが、サピックスは6年生が火・木で統一されています。グノーブルについては「各校舎のページを見てください」とあったので見ると、やはり火・木のようでした。ここも一緒です。
さらに、9月以降に日曜特訓という講座が始まるのも共通しています。
まあ今さらですが、グノーブルはサピックスを抜けたメンバーがつくった塾ですので、サピックスのシステムをそのままコピーしたとしても不思議はないですね。
小5については、少々の違いがあります。
◆グノーブル
・平日 17:00~21:00(80分×3コマ×週2日)
★授業料(月謝) 50600円(2025)
・平日 17:00~20:00(90分×2コマ×週3日)
★授業料(月謝) 57750円(2024)
こうしてみると、6年に関しては、サピックスとグノーブルに大差ありません。
あえてあげるとすれば、情報量とその蓄積に関しては、圧倒的にサピックスが上回ります。グノーブルは、まだまだ新興塾・中小塾ですので、ここは敵いません。
5年生に関しては、授業時間・曜日・回数等異なります。4年生は週2日と共通していますが、5年生はサピックスが週3日(月・水・金)に対し、グノーブルは週2日(曜日は教室によって異なる)となっています。
5年生から夜9時までの授業を許容するのか、それとも夜8時までの授業のサピックスとするのか。
ここは悩ましいですね。
個人的には、5年生までは週2日、終了時刻は7時半くらいまでであってほしいのですが、両塾とも該当しないのが残念です。
実は、授業時間に関しては、長いほうがサービスが良いというわけではありません。
なるべくコンパクトに無駄なく授業をしてもらい、家庭学習時間を十分にとるほうが良いのです。
◆講師の質
ここは気になるでしょうが、何ともいえません。
どちらも社員講師に加えて、学生アルバイト講師を採用しています。しかし、必ずしも学生アルバイト講師が悪いというわけではないのです。
例えば、開成・桜蔭→東大 といった人材なら、そこらへんの塾の社員講師よりはるかに優秀でまじめかもしれません。
教師というものは、生徒に育てられるものです。
レベルの高い生徒を多く指導することで、教師も成長し続けます。
サピックスの強みというのは、実はそこにあるのだと思っています。
もっとも、個人塾ならいざ知らず、最近の中学受験塾はシステムが重要になっています。カリキュラム・教材体系・研修制度・授業の設定等のシステムが整っていることのほうが重要で、講師の質については平均以上であれば問題ないのかと思います。
まずは教室を訪問してみて、そこの教室責任者の話を聞くことが大切です。
教室責任者がダメなら他の講師も期待できない、これはサピックスやグノーブルに限らず、どの塾にもあてはまることですので。
よくく皆さんが気にする「面倒見の良さ」に関しても、教室規模・スタッフによる、としか言えません。
一般論としては、教室規模が小さく、学年生徒数が少ない塾のほうが、スタッフの目が届きやすく、面倒見が良くなるのは当然です。
その点グノーブルのほうが、現時点の生徒数は少ないですね。
2024年の卒業生数は、グノーブルが689名(11期生)、サピックスが6436名(35期生)とおよそ9.3倍の開きがありますが、教室数はグノーブルが14でサピックスが45です。
単純に割り算すると、サピックスが1教室あたり143名、グノーブルが49名となります。
もっともこれは、サピックスの関西教室を考慮していませんし、地域による規模も無視しています。また、グノーブルは6年が在籍していない教室もあるようなので何の参考にもなりませんが。
お近くの教室の生徒数を確認してみてください。
それでも迷ったら?
どうしても決めかねる場合のアドバイスですが、その場合はサピックスを選ぶほうが無難でしょう。
これは、とりあえずトヨタ車を選んでおけば大丈夫、とりあえずパナソニックの製品なら安心、といった程度の話です。
どちらを選んでも、実は大差はありません。
隣の芝生は青く見えるものですが、そこを気にし始めるときりが無いですから。
教室を訪ねて説明を聞いたフィーリングで決めましょう。
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