中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【緊急】中学入試まで2週間の過ごし方

急いでこの記事を書きました。

実は、ネットニュースでこんなような内容の記事を見てしまったのです。

 

「中学受験で1月に小学校を休むことの是非」

「目立つやり過ぎ」

 

この件に関しては、1度元旦に記事にしたのですが、まだ見ていない方のためにもう一度書くことにしました。

peter-lws.hateblo.jp

 

小学校は休むべきか

 

ネットの記事については、教育評論家・受験アドバイザーといった方々の様々な意見が載せられていました。

まあ、この問題に関しては、いつも同じ様な論調が飛び交います。

整理するとこのようになります。

 

(1)小学校を休むのはおかしい

・義務教育だから行くのが当然

・子どもが行きたがっている

・小学校内が分裂する

・私の頃は休む生徒はいなかった

・子どもが家にいるとかえってイライラする

 

まず「義務教育」についてですが、「義務」があるのは子どもでなくて保護者です。保護者に普通教育を子どもに受けさせる「義務」があるのです。

憲法第26条はこうなっています。

「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
②すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」

 

 さて、子どもの意思に反して小学校に行かせないとこの「義務」に反することになるのでしょうか。

 もちろんそうです。ただし、この条文は、学校に行かせずに家の手伝いをさせたり働かせたりすることを想定していると考えるべきでしょう。

自宅でより高度な学習をすることを対象としていないと私は思っています。

 

小学校内が分裂するという意見は、中学受験をする生徒としない生徒で割れるということのようですが。

これについては意味不明です。少なくとも私の生徒達からは聞いたことはないですね。

よほど学級運営が下手な先生がいらっしゃるということなのでしょう。

 

「私の頃は・・・」というのは、時代の変化に取り残された年よりがよく口にします。中には、地方の公立小学校で数十年の教員経験を持つ方が、「休む生徒などいなかった」と発言しているのには呆れました。それは私立中学な無い地域だったというだけの話です。

 

子どもが家で家族と共に過ごすのは当たり前です。それでイライラするというのが意味不明です。もしそうだとしたら、受験とは無関係な、別の問題があるということでしょう。

 

(2)子どもに決めさせるのがよい

子どもが行きたがっているのなら行かせたほうがよいという意見も目にします。

これは、もしインフルエンザに罹患して受験できなかったとして、「あなたが自分で小学校に行くって言ったのだから自己責任でしょ」とでも言うのでしょうか。

ここは大人の判断で決めるべき場面です。

 

(3)休むのが当然

この当たり前の意見を言う方はほとんどいませんね。

非常識すぎるから、あるいは炎上しそうだから、ということでしょうか。

 

かつては私も、「小学校は普通に前日まで行かせましょう」と言っていたものです。また、「休ませる・行かせるの判断はご家庭で決めましょう」と逃げてもいました。

しかし、コロナの流行により、皆が何となくごまかして避けていた問題点が浮き彫りになったのです。

コロナ以前だって、インフルエンザもあれば風邪もあり、その他の感染症だってあったのですが、何となく「大丈夫だろう」といった「正常性バイアス」のようなものが働いていたのです。

peter-lws.hateblo.jp

でも、もうこの問題から目を背けていることはできなくなりました。

 

思い起こせば、過去の教え子にだって、体調不良で受験に失敗した生徒は何人もいたのです。

今でも覚えている一人の女子生徒を思い出します。

とても頑張り屋さんで、しかも成績も優秀でした。いわゆる秀才型というよりは、努力型です。そしてその努力が成果をあげていたのです。

1月31日、その子は40度近い発熱で病院に行きました。

「もうあきらめよう。しかたないよ」

母親はそう声をかけたそうですが、その子は高熱で真っ赤な顔をして、絶対受験すると主張したそうです。それを聞いた医師がこう言いました。

「お母さん、受験させてあげてください。医師としてできる限りのことはします」

そういってくれたのですね。

翌日の受験は、保健室受験となりました。

これで合格できたのなら素晴らしかったのですが、受験はそんなに甘い世界ではありません。最終的には、本人の学力よりも相当下のレベルの学校に進学することになりました。

 

もちろん病気は不可抗力です。

たとえ小学校を休んだとしても、体調が悪化しない保証はありません。

しかし、そのリスクが1%でも下がるのなら、できる手は何でも打つべきだと思うのです。

天秤の片方には、受験のための数年間の準備、かけてきた時間、あきらめてきたもの、子どもの未来、支えてきた家族の犠牲、そうしたものが載っています。

もう片方に載せられているのは、小学校に楽しく通うという事象ではありません。感染症罹患リスクの増加という事象です。

 

どちらが大切なのか、議論にすらならないと思います。

 

ノイズを遮断する

 

受験終了までの大切なアドバイスです。

 

外部からの情報を遮断しましょう。

◆ネットニュースは見ない

 まともな情報などありません。おもしろおかしく受験をとりあげ、あおり、揶揄する記事ばかりです。世間は皆さんのお子さんの成功など祈ってはいませんので。ただただアクセス数が稼げればそれでよいのです。

 子どもは見ないのは当然としても、親も見るのをやめましょう。親の不安や動揺は子どもに良い影響を与えるわけはないのです。

 

ネット掲示板は見ない

 上と同様の理由です。アクセス数稼ぎの文言だけが躍っています。

 

SNSも遮断する

 ネットでつながっている他人の意見などノイズ以外の何物でもありません。2週間連絡を絶ったところでどうということはないでしょう。

 

◆ママ友情報も遮断する

 小学校のママ友・塾のママ友・近所のママ友、そんな存在が周囲にいたら、受験が終わるまでは一切の交流を遮断することをお勧めします。とくに、同じ受験生の親とは連絡を取り合うべきではありません。「すべての入試が終わったら会いましょう。それまでは、ごめんなさい」と言えば済む話です。それで気分を害するような相手なら、今後お付き合いする価値が無いと判断できます。

 他人は、あなたの子どもの成功など祈ってはいません。それくらいの割り切りでよいのです。

 

日常の演出

 

ただただ淡々と日々を過ごしてください。

子どもがやるべき勉強はわかっているはずです。

規則正しい生活を送るだけでいいのです。

くれぐれも、受験までのカウントダウンはやめてください。

もしお通いの塾が、黒板に「決戦まであと〇日!」などと書いてあるような塾だったら、休むことを推奨します。