今回は、こんな贅沢な悩みのご相談をうけたときのお話です。
筑駒・開成・聖光・渋幕、どこに進学しよう?
そんなの勝手にしろ!
といわないであげてください。
もしかしてお子さんにも訪れる迷いかもしれないじゃないですか。
学校までのアクセス
毎日6年間通うのです。
少しでも近いほうがいいに決まっています。
この子は、東急東横線沿線に住んでいました。東京にも神奈川にも出やすい地域です。
◆筑駒・・・自宅最寄り駅から35分程度
◆聖光・・・自宅最寄り駅から45分程度
◆開成・・・自宅最寄り駅から50分程度
◆渋幕・・・自宅最寄り駅から1時間10分程度
これだけみれば、筑駒に軍配があがります。
ただし、聖光なら逆方向ですので、電車は空いています。
その2校のどちらか、ということになりますね。
塾への通いやすさ
こんなことが学校選択の基準になるのは驚きです。
しかし、最近保護者の口にのぼるのです。
「鉄緑会」に通うにはどこが便利か?
鉄緑会は代々木と新宿の間の代々木よりですね。生徒のほとんどは代々木駅を利用しています。
西日暮里(開成)から代々木までは22分
駒場東大前(筑駒)からだと16分
この2校が現実的でしょう。
海浜幕張(渋幕)からでは代々木まで1時間はかかります。
根岸(聖光)からではやはり1時間です。
ただでさえ通学に時間がかかる海浜幕張から、鉄緑会に通うことは現実的ではありません。
鉄緑会のHPによると、「指定校推薦」で在籍している生徒数はこうなっています。
開成 1118 名
桜蔭 891 名
筑大駒場 596 名
麻布 522 名
海城 495 名
駒場東邦 320 名
筑大附 444 名
豊島岡 451 名
女子学院 290 名
雙葉 266 名
渋谷幕張 301 名
渋教渋谷 277 名
早稲田 289 名
聖光学院 101 名
栄光学園 99 名
※上記以外の在籍者の主な学校は、白百合、日比谷、武蔵等。
渋谷幕張や聖光からこんなに通っていることは驚きですね。
帰り道に新宿を通過する生徒たちなのかな?
大学実績
このレベルの学校になると、東大の合格実績を較べることに意味があります。
ただし、生徒数が違いすぎますね。
開成:400名
筑駒:160名
聖光:230名
渋幕:350名
卒業生数は年度によってばらつきがあります。とくに渋幕は300名から500名と開きが大きいです。おそらくは、1月校、しかも2月にも入試をやるために、いわゆる歩留まりが読みにくく、入学者数を安定できないのでしょう。近年の数字から、350名とみなすことにしました。
全ての学校の卒業生数を200名とした場合の数値でグラフをつくりました。
年度により合格者数は変動しますので、5年の移動平均をとっています。また、既卒生を除外するのはどうかと思い、含めた数字です。現役合格者数だけみると、せっかく浪人して東大に入った生徒を無視することになりますから。
これを見ると、聖光の伸びが顕著です。
開成は横ばい、渋幕も頭打ちといったところでしょうか。
筑駒はさすがですが、変動幅が大きいですね。
東大実績だけでいえば、筑駒一択ですね。
開成・聖光は互角です。
ただし聖光はこのままさらに伸びるのか、それとも伸びは止まるのかまではわかりません。
伝統
これを持ち出されると、開成の一択です。
開成:1871年
筑駒:1947年 (東京農業教育専門学校附属中学校)
1978年 筑波大学附属駒場中学校・高等学校
聖光:1958年
渋幕:1983年(高校)
別に伝統があるから良い学校ということはもちろんありません。
◆知名度が高い
◆卒業生の系譜が凄い
◆方針が(たぶん)ぶれない
こんなところでしょうか。
校風
これは曖昧ですし、人によって受け止め方は様々なので何ともいえない要素です。
◆筑駒
学校目標:「自由・闊達の校風のもと、挑戦し、創造し、貢献する生き方をめざす」
教育方針:「本校の教育活動における方針は、「学業」「学校行事」「クラブ活動」の3つの教育機能を充実させ、学校という場で生徒の全面的な人格形成を促し、発達させていくところにあります。」
◆渋幕
教育目標:「本校の教育目標のなかで最も大切にしているのが”自調自考”です。自らの手で調べ、自らの頭で考えるという”調と考”が建学の精神となっています。」
◆聖光
建学の精神:「カトリック的世界観にのっとり、人類普遍の価値を尊重する人格の形成、あわせて、高尚、かつ、有能なる社会の成員を育成する」
◆開成
教育理念:「開物成務:人間性を開拓、啓発し、人としての務めを成す」
「ペンは剣よりも強し:どんな力にも屈することのない学問・言論の優位を信じる」
「質実剛健:外見を飾ることなく内面が充実していて、たくましく揺るぎようがない様子」
「自由:「自律」を礎に、みずから開拓し、育んでいく積極的な「自由」」
カトリックの聖光以外は、教育理念からは校風の差は見えてきませんね。
一般には、開成・筑駒・渋幕は自由な校風の学校だと言われていますが、その「自由」の度合いや捉え方はもちろん異なります。
このレベルの学校になると、厳しい拘束で縛らなくとも問題行動を起こしたり勉強しない生徒はいない(少ない)ということなのでしょう。
ところで、渋幕は、学校HPには、英文対訳も載せられています。英文サイトも用意されています。これが本当に必要なのかはわかりません。日本語が読めない生徒・保護者を想定しているのでしょうか?
確かに、帰国生入試は英語だけで行われますが、中3で全教科、帰国生と一般生は合流しますので、さすがに日本語が読めない生徒はいないと思います。
結局
結局は、この子は、筑駒を選びました。
◆学費が安い
◆塾(鉄緑会)に通いやすい
◆家から近い
◆何と言っても一番偏差値が高い
以上が理由でした。
校風や指導内容が選択基準に上がらなかったことは残念です。本当は一番大切なのですが。