今回は、とても基本的ですが大切なアドバイスを送ります。
子どもの様子
入試まであと1か月です。
最近お子さんの様子を見ていて気が付きませんか?
「なんだかテンションが高めだなあ」
それは、もしかして危険な兆候かもしれません。
毎年受験生を見ていると、受験直前期の生徒たちの様子は、次の3つのパターンに分けられるような気がします。
(1)いつもとかわらぬ様子の子ども
もちろん、一番多いのが、いつもと変わらぬ様子の子どもたちです。
受験生の顔を見せていません。そこで、こんな意地悪なことを言ってみます。
「入試まであと一か月だね。どうだ、もう楽しみにすらなってきただろ?」
「え~っ! 楽しみなわけないよ!」
「まだ全然準備できてないし!」
「それじゃあ、あと半年くらい時間がほしいかな? 例えば入試が夏前くらいだったらいいの?」
「絶対嫌だ!」
「それじゃあ、いっそのこと明日が入試だったらいいのかな?」
「ありあえない!」
とまあ、にぎやかなものです。
もう受験が迫っていることは、もちろんわかっているのです。
だからといってどうしようもありません。
おそらくは、なるべく考えないようにしているのでしょう。
普段と変わりない様子を見せています。
これが一番望ましいのはもちろんです。
目の前に積まれたテキストを、いつもと同じように片づけていたら、いつのまにか入試を迎えた。
これが理想です。
(2)神経質になる子ども
実は、多そうに見えて少ないのがこのケースです。
入試を控えて、イライラしたり神経質になったり。
体調を崩したりお腹が痛くなったり。
ささいなことで親に歯向かったり。
入試を控えて、さすがに子どもたちもナーバスになってくるんだろう。
そう考えるのは、大人の側なのです。
ほら、やっぱり中学受験なんて小学生に強制したから、子どもたちもイライラしてるのね。可哀そうに
最近小学校で荒れていたりイジメをしていたりするのは、みんな中学受験生なんですって。
いかにも皆が「飛びつきそうな」文言ですね。
また、マスコミでしたり顔の専門家(心理学・精神医学者等)が、12歳の子どもにふさわしい過ごし方などを披露しています。
どうやら多くの人が、中学受験と、それを強制?する親、過熱する塾、こうしたものを否定したいようです。
そんな言葉に惑わされてはいけません。
もし子供たちが神経質になってきたとしたら、それは周囲の大人(つまり親)が神経質になってきたのが反映していると考えるべきでしょう。
子どもの聞こえるところでこんな話をしていませんか?
「受験予定の〇〇中学だけど、A君もBさんも受験するらしいの。あんなに優秀な子が受験したら、うちの子が受からないかもしれない」
「今年は難易度が上がるってネットで書き込みをみた。どうしよう」
「やっぱり〇〇中より△△中にしておいたほうがよかったかしら。今からでも出願したほうがいいかも」
不安な気持ちはわかります。
自分自身の受験ではないので余計不安です。
でも、親の不安な気持ちは子どもに必ず伝わります。
親の神経質な気持ちは、必ず子どもに反映します。
がんばって動じない演技をしてください。
(3)浮かれている子ども
入試が近づくにつれ、妙にテンションが高くなる子というのが必ずいます。
いつまでも塾から帰ろうとせず、教師にフレンドリーに話しかけてみたり。
声が大きくなり、無駄にはしゃいでいたり。
危険な兆候です。
子どもだって、入試が迫ってくれば不安です。
どんなに安全圏の学校だって、合格の保証などないのですから。
無意識のうちに、自分の精神状態の平衡を保とうとするのかな?
ハイテンションになるのです。
経験上、そうした子は、受験で失敗する子が多かったように思います。
あるとき、自他ともに認める優秀な生徒A君と、そうでもない生徒B君が同じ中学校を受験したことがありました。
A君の優秀ぶりは際立っており、本人も家族も教師も、合格を疑わなかったのです。
それに対し、B君の成績は不安定で、受験は不安でしかありませんでした。
結果、B君は奇跡の合格、A君は、あり得ない不合格となったのです。
入試が終わって遊びに来たB君はこう話してくれました。
「先生、俺、Aの奴は受からないと思ってたんだ。そりゃあ、あいつのほうが俺よりずっと頭いいし、テストもいつもすごく出来てたんだけどさ。でも、あいつ、試験会場で浮かれてたんだよ。 試験が始まる前とか、途中の時間とか、あいつ甲高い声ではしゃいでたのが目立ってたんだよね。俺なんかもう必死で、理科とか社会の知識を思い出したりしてテストに備えてたのにさ。あと、先生に教わった、心を鎮める呼吸法試してみたりしてさ。あれ、役に立ったよ。だから、Aは、受からないんじゃなかって思ってた」
子どもは残酷ですが、的確です。
テスト前に必死で精神集中をしようとしていたB君に対し、もう合格した気になってはしゃいでいたA君。
もしかして、A君はプレッシャーに押しつぶされそうだったのかもしれません。誰もがAはできる、Aは受かるって口にしていましたから。
親にできること
とにかく普段通りにしてください。
それしかありません。