生徒達は長文記述が苦手です。
そもそも記述が苦手なのです。
国語でも社会科でも、記述の解答欄が最後まで空欄のままの生徒が多いですね。
そんなことをすれば時間切れとなって大幅減点は免れません。
今回は、長文記述の攻略法について書いてみます。
そもそも大した答は要求されていない
まずこれが大切です。
12歳の小学6年生が書く文章ですから。
そんな高度な記述解答はそもそも求められていないのです。
◆何か書いておけば点がもらえる
◆まともな記述なら合格点がもらえる
◆ちょっとでも良いことを書けばさらに点がつく
まずはこの3段階でいいのです。
とりあえず何か書く
これを目標としましょう。
何か書いておけば点がもらえる
受験生はみな記述が苦手です。
長文記述はさらに苦手です。
したがって、解答欄をきちんと9割埋めることができません。
記述の採点をしていると、そんな空欄ばかりでうんざりします。
(楽ができますが)
もしそこに「何か」が書いてあったら?
もうそれだけで点をつけたくなります。
まず狙うべきはこれです。
しかし、注意点が1つあります。
それは、字を丁寧に書くことです。
経験上、雑な殴り書きの解答は、読むのに値しないものなのです。
がんばって解読したところで、支離滅裂な内容であるばかりですね。
まれに例外として、字は判読不可能なのに、内容がすばらしいという生徒も存在しますが、あくまでも例外です。
忙しい入試の採点で、いちいちそんな「例外」にかまっている余裕はないのです。
したがって、何か書いておけば点になると言いましたが、訂正します。
「丁寧な文字できちんと何か書いてあれば」点がもらえます。
記述答案を採点する立場から言わせてください。
以下のような答案は読む気がしません。つまり点をつける気がしません。
◆雑な殴り書き
◆そもそも判読不可能な字
◆漢字が使えていない
◆句読点が使えていない
◆薄くて読みづらい
◆字が小さい
答案は、採点者に捧げる大切なメッセージです。そもそも読めない字や雑な殴り書きといのがあり得ません。「合格する気はないのね」とみなします。
また、漢字が使えない、ひらがなばかりの記述答案では、解答者の頭の悪さをアピールしているも同然です。日本語における漢字の意味と重要性を理解しましょう。
句読点が使えていない答案も多いですね。
句読点が適切に打たれていない答案がいかに読みづらいか。
「これを書いた生徒は、採点者に読んでもらおうという意識はゼロなんだろうなあ」そう考えますね。
最近多いのが、薄くて小さな字で書かれた答案です。
最初から読む気がおきません。どうせ自信が無いから字も小さく薄いのだろう。
読む価値はないだろうな。
私ならそう判断しますね。
つまり、読む前から、粗さがしモード・減点モードに入るのです。
中学校の先生方は私よりもはるかに人格者で丁寧に答案を見てくださるのかもしれません。でも、そこに賭けますか?
もしお子さんがそうした「薄い・小さい」字を書いていたら、筆記用具をチェックしてください。
シャープペンシル、それもHBの0.5mm芯を使っていますね。
今すぐ捨ててください。
小学生の使うべき正しい筆記具は、鉛筆、それも2Bの鉛筆に限ります。
これを使えば、濃くはっきりとした文字が書けます。
100歩譲ってどうしてもシャープペンシルを使いたいのなら、0.9mmのペンシルに2Bの芯を入れてください。
場合によっては、0.7mmも許容します。算数の細かい計算にはこれくらいが使いやすいかもしれません。
◆正しい持ち方で正しい筆記具で正しい書き順で正しい姿勢でしっかりと丁寧に書く
当たり前のことです。
まともな記述なら合格点がもらえる
そんなにスペシャルな内容でなくてよいのです。
意表をつくような個性的な意見など無用です。
ごくオーソドックスな内容を普通に書く。
これだけで合格点がもらえるのです。
多くの学校の入試問題を見てきました。
模範解答が公開されている学校の解答を見ると、「こんな答えでいいんだ」と拍子抜けすることが多いですね。
もちろん中には、「こんな記述、小学生に書けるわけないだろ!」とつっこみをいれたくなる模範解答もありますが。
しかしほとんどは、ごくごくシンプルな小学生にも書けるレベルの記述答案が合格答案となっているのです。
それが国語の記述なら、問題文の語句や文章を上手に活用して書くだけでOKです。
それが社会の記述なら、適切な語句をちりばめて書けば加点されます。
ちょっとでも良いことを書けばさらに点がつく
実は私の指導で狙っているのはこの段階です。
ごく普通の解答を丁寧に書けば、合格点は貰えます。
もしそこに「おっ、なかなかやるな!」と思わせる内容を盛り込めれば、さらに加点が見込め、記述で他の受験生に差をつけることができるのです。
例えば、野坂昭如の「ウミガメと少年」という戦争児童文学が出題されたことがありました。
暗い雰囲気のお話です。
戦争末期の沖縄で、一人生き残った少年がウミガメの卵をすすりながら生きながらえているのですね。
最期に少年は海に入っていって、それで終わりです。
死んでしまったのか? それともウミガメに生まれ変わって海へと帰っていったのか?
もしこの記述問題で、沖縄に古くからある「ニライカナイ」思想に触れることができたらどうでしょう。
ニライカナイとは、海の底にある理想郷のことです。
「・・・少年は、海の向こうにある理想郷、ニライカナイに向かったのかもしれない。」
こんなことが付け加えてあれば、「おぬし、やるのう!」と私なら加点します。
以前この記事を書きました。
国語よりも社会科記述に振った記事となっています。