いよいよ受験スケジュールを考える時期になりました。
すでに志望校は決まりつつありますね。
そこで今回は、実際の受験生の例を紹介しながら、受験スケジュールの立て方について考えたいと思います。
ある女子生徒の例
ここで紹介するのは、過去の生徒たちの受験パターンを題材とした、想像上の受験生の受験スケジュールです。
想像上ではありますが、実際の受験パターンにそくしています。
志望校の優先順位はこうでした。
第1志望・・・A中学
若干チャレンジではあるが、合格できたら天にも昇る心地となる学校
第2志望・・・B中学
実力適正校ではあるが、油断できないレベルの人気校
第3志望・・・C中学
何より家から近い。正直なところ、B中学と迷うところ。こちらに進学が決まっても満足。レベルはB中学と同じくらい。
第4志望・・・F中学
環境の良い人気校。大学への推薦枠も多く、この学校も気に入っている。
第5志望・・・E中学
偏差値よりも、学校の教育内容や生徒・先生方の様子がとても気に入った。
第6志望・・・D中学
E中学と迷うところ。昔からの人気校であり、学校の様子も気に入っている。
家族皆で話し合った結果、どの中学に進学しても大変満足できるという。
これが本来の姿ですね。
「妥協の進学」は後顧に憂いを残します。
「どの中学校に進学したとしても大満足だ」と言い切ることが大切です。
◆1月校
受験しませんでした。
千葉・埼玉になると、片道1時間以上は確定だからです。
6年間毎日の通学なので、最初から進学の意志はありません。
行くつもりもない学校を「お試し」で受験する意味は無い、と判断します。
◆2月1日
もちろん大本命のA中学を受験します。
午後入試でD中学を受験するかどうかは最後まで迷いました。
学力的には、この午後入試でD中学の合格はほぼ確実と思われます。
ただし、翌日のC中学の受験を考え、1日の午後入試は回避しました。
A中学の入試に全力投球で臨みたかったからです。
◆2月2日
午前に第3志望のC中学を受験します。
第3志望といっても、実際には2.5志望といったイメージです。
A中学の合格発表が11時ですので、その結果次第では、午後にF中学を受験します。F中学の合格はほぼ確実と思われます。
ただし、F<B の志望順ですので、F中学が合格していても、B中学は受験予定です。
もっとも、B中学の出願締切は前日の夜23.59ですので、大本命のA中学不合格の際に駆け込み出願する予定にしています。
◆2月3日
B中学の受験に向かう朝に、F中学の合否がわかります。たとえ合格していも、B中学は受験します。
◆2月4日
E中学を受験します。アクシデントが無ければ合格はほぼ確実でしょう。ただし、F中学が合格していたら受験しません。
◆2月5日
C中学をもう一度受験します。A・B中学が不合格、E・Fが合格といった状況でしょう。
★手続き締切について
やっかいなのが、F中学の手続き締切がタイトなところです。
2月2日の午後の入試で合格すると、翌日の23時までに手続きしないといけないのです。
進学希望の優先順位はF>Eです。
したがって、F中学が合格していたら手続きをする予定です。この優先順位を逆にすれば、5日のC中学の合否の確認後に手続きしてもE中学なら間に合います。お金が節約できますね。しかし、ここは家族全員で話し合って決めました。30万円の入学金はもったいないですが、こればかりは仕方がないでしょう。
この生徒の受験スケジュールの要点は以下のとおりです。
(1)進学したい学校しか受験しない
(2)どの学校に進学しても家族みなが納得できる学校だけを選んだ
(3)自宅からの通学時間を重視して学校を選んだ
(4)午後入試は最低限におさえた
(5)無駄な受験料を節約した
(6)安全校を2校用意した
(7)行きたい志望順を優先した
お金のことだけ考えれば、F中学ではなくてD中学にしたほうが賢いですね。
2日の午後入試の結果が当日中にわかり、手続き日は5日ですので。
しかし、親子ともども、F中学のほうを選ぶという結論となりました。
午後入試の問題点
午後入試実施校がずいぶん増えました。
受験機会が増えるということで歓迎すべきなのでしょう。
うまく受験スケジュールに組み込めば、賢い受験パターンが組めるように思えます。
ただし、忘れてはならない注意点が3点あります。
(1)本当に行きたい学校ですか?
受けられる=進学したい ではありません。
午後入試実施校が、合格したらぜひ進学したい学校であるかどうか、この当たり前のことをお忘れなく。
(2)募集人数が少なすぎる
受けられる=受かる ではありません。
午後入試実施校は、入試を細分化している学校ばかりです。
午後入試に積極的な共学校の例をあげましょう。
5回の入試それぞれにコースが2つに分かれています。
それぞれの募集人数は、男女合わせて5名~15名ずつです。
倍率は5倍~30倍の間です。
当然、塾が算出する「80%合格ライン」の偏差値は跳ね上がっています。
◆実際の学校のレベル以上の偏差値となっているから、実はそんなに難しくないはず
◆募集人数が少なすぎるため、予想外の不合格が出やすい
真逆の考え方が成り立ちます。
つまり、合否が読みづらいのです。
(3)体力を削られる
受けられる=受けたい ではないのです。
受験は予想以上に体力・精神力を消耗します。
全力集中で4科目に取り組んだ後、もう1校の受験が控えている。
大人だって嫌ですね。
その「嫌なこと」を子どもに強制することの是非を考えましょう。
ある生徒に直接聞きました。
1日に受験した第一志望校の合格発表は2日の午前中でした。
当然、2日の午前は第2志望の学校を受験しています。
そして、2日の午後には、第4志望の「押さえ」の学校の受験予定だったそうです。
2日の第2志望校の受験が終わると、校門前に母親が待っていました。
「(第一志望の学校に)受かってたよ!」
そう告げられたとき、第一志望校の合格の喜びより、このあと午後入試に行かなくて済むことの喜びのほうが大きかったそうです。
午後受験を受験スケジュールに組み込むときには、細心の注意を払うべきだと思います。
まとめ
これは一例にすぎませんが、受験スケジュールの組み立てとして、参考になる点も多いと思います。
昨今、複数回入試・午後入試が当たり前のようになっています。
受験生にとってはありがたい話ですが、忘れてはならない大事なことがあります。
受験しやすさが学校選びの基準ではない
それはそうですね。
家族全員で納得できる学校を選び、その学校に進学したい優先順位を決めます。
その後で、例としてあげたような一覧表を作り、受験スケジュールを決めましょう。