今回は高校入試がテーマです。
中学受験では、面接を実施する学校はだいぶ減ってきました。
入学試験の点数だけで合否が決まるのが普通です。
しかし、高校入試はだいぶ状況が異なります。
◆中学校の内申
◆入学試験の点数
◆面接
これらの総合評価で合否を決める学校が多数あるのです。
面接を実施する意味
これは簡単ですね。
学力以外の要素をチェックする。
これが目的です。
ここから先は私の推測にすぎませんが。
おそらくは中学入試の場合は、受験生は12歳の小学生です。まだまだ親や先生の言うことを聞く子ばかりです。多少やんちゃな子がいたとしても可愛いものです。
中学校が生徒を預かった後で、いくらでも「学校色」」に染めることができるのです。
「学校色」に染めるというと誤解をまねきそうですが、その中高の教育理念や目指すものを理解し実践し身に着けてもらう、そういうことですね。
例としてキリスト教系の学校を考えましょう。
毎朝の礼拝を欠かさず、聖書の時間が授業として設けられている学校です。
小学生の段階で教会や聖書に親しんでいる子は少数派だと思います。
しかし、6年間、キリスト教に基づく教育を受けることで、別に入信しなくとも、学校が目指す教育にそった生徒たちが育つのだろうと思います。(もちろん例外はいます)
しかし、高校から入学したらどうでしょうか。
すでにある程度の人格は完成し、自我も確立しています。そこから毎朝の礼拝に参加し讃美歌を歌い聖書を学ぶ。合う生徒と合わない生徒が必ずいそうですね。
だから、高校は「面接」を重視する、これが私の推測です。
面接の実施例
ここからは、いくつかの学校で実際に行われた過去の面接から質問等を抜粋して紹介します。
青山学院高等部 推薦入試
◆形式・・・個人面接(面接官2名)
◆所要時間・・・10分程度
◆質問項目
「本校で何をしたいのですか?」
「あなたの出身中学校と本校の違いについて」
「リーダーシップとはどのようなものだと考えますか?」
「あなたが悩んでいるとき、誰に相談しますか?」
「テストの手ごたえはどうでしたか?」
「本校の礼拝についてどう思いますか?」
慶應義塾高校 一般入試
◆形式・・・個人面接(ただし面接官を替えて2回)
◆所要時間・・・5分~20分程度
◆質問項目
「志望理由」
「中学校でもっとも頑張ったことについて」
「リーダーの条件」
「今の自分を形作っているもの」
「現代の日本の問題点について」
「自由とは何でしょう」
「今までの人生で後悔していること」
慶應義塾女子高校 推薦入試
◆形式・・・個人面接(面接官3名)
◆所要時間・・・15分程度
◆質問項目
「志望動機を英語で」
「知識と知恵の違いについて」
「言葉の力について」
「自分を動物に例えるなら」
「あなたが誰にも負けないこととは」
「なぜ〇〇になろうと思ったのですか」
「あなたが住んでいる街の長所」
成蹊高校 一般入試
◆形式・・・個人面接(面接官2名)
◆所要時間・・・5分程度
◆質問項目
「中学校で一番楽しかった体験」
「高校でやりいたいこと」
「併願校全てに合格したらどの高校に通いたいのか」
「最近興味を持ったこと」
「最近読んだ本について」
早稲田高等学院 自己推薦入試
◆形式・・個人面接(面接官3名)
◆所要時間・・・30分程度
◆質問項目
「志望理由」
「他の付属校でなく本校を選ぶ理由」
「中学校の成績について、成績が下がった(上がった)理由」
「あなたが面接で話せなかったことがあれば30秒で話して」
「尊敬する人物」
「あなたが入学することで本校にどのようなメリットをもたらすのか」
対策
(1)正しいマナー
挨拶・言葉遣い・立ち居振る舞い等、正しいマナーを身に着けることは必須です。
「子どもらしければよい」
「溌剌とした態度であれば」
そうした甘えは通用しません。
昔指導したことのある中3生徒を思い出しました。
明日は志望校の面接だという日に、右手拳に包帯をぐるぐる巻きにして現れたのですね。
「いったいその手はどうした?」
「何かむかついたから、壁殴った」
馬鹿です。
面接官に聞かれるにきまっています。そしてその答えがこれだったら。
勉強は得意ではない(むしろかなりまずい)子でしたが、性格は良い子でした。
しかし、どの高校でも入れたくないと判断するでしょうね。
中3ともなると、信じられないような言動をとる子が必ずいるのです。
(2)基本的な問答の準備
だいたいどの学校でも聞かれる内容は似ています。
問答の準備と練習をしましょう。
◆志望動機
たまに「他の併願校に合格したらどうする?」「なぜ他の系列校にしなかった?」といった意地の悪い質問をされる場合があります。
これをアドリブで答えるのは無理ですね。十分練っておきましょう。
◆中学校生活について
例えば「3年間陸上をやっていて、〇〇大会で2位でした」などと答えると、「うちは陸上部は弱小です。それなら他の〇〇高校のほうがよかったのでは?」と突っ込まれることもあります。
中学校生活をさらに発展させた先に高校生活があることをイメージしておきましょう。
◆自己分析
自分の長所や短所、それをどうしたのか、どうしたいのか。良く聞かれる質問です。
得意教科や苦手教科、テストの感触についてもよく聞かれます。
◆将来
これも必須の質問です。将来の夢と高校での学びについてきちんとリンクさせましょう。
◆社会への関心
気になったニュース、最近読んだ本、そうした内容についても聞かれます。また、「AIは学校教育にどんな影響があると思う?」といきなり聞かれることも。
少なくとも中3の1年間は、新聞を読むことをお勧めします。
もちろんネットニュースや電子版の新聞ではなく、古典的な紙の新聞を1年間はとりましょう。
(3)学校について知る
学校説明会・行事に参加し、志望校について研究してください。自分が3年間通うところですので、知ることは大事、というより常識です。
(4)アドリブに強くなる
いきなりどんな球が飛んでくるかわかりません。中にはそうとう意地の悪い質問もあります。どんな球でも的確に打ち返せるよう、アドリブ力を鍛えましょう。
アドバイス
面接では、「あなたらしさ」を出すことはNGです。
他よりも「目立つ」ことは重要ではないのです。
面接官は、15歳の「自己主張」など求めていません。「個性的な人材」をとろうとは思っていないのです。
面接官(学校)が考える、「うちにふさわしい生徒」をどこまで演じ切るかがポイントと心得ましょう。
そんなの嫌ですか?
そうですよね、そんなの「ウンザリ」です。
でも、これは仕方がないのです。
学校が面接を実施する以上、それをパスしないことには話になりません。
その15分間だけでよいので、「こんな生徒、教えてみたいなあ」「なんて素直な良い子なんだ。きっとうちにきて伸びるはずだ」と思わせるのです。
もうお気づきのように、高校入試の面接は、就職試験の面接さながらです。
とくに面接時間が長い学校は要注意です。
目安として、10分以上の面接(個人面接)の学校は、覚悟が必要です。