前回の記事で、中高一貫校の大学合格力を指数化してみました。
ただ、その時には、東大・一橋・東工大・医科歯科の合格者の数に、係数6.6を掛けたものと、早慶の合格者数を足し、それを卒業生数で割り算したものを合格力指数としました。
※係数6.6というのは、上位45校の大学実績で、東京一科の合格者数と早慶合格者数の割合の平均値から算出したものです。
この計算方法だと、東大よりも早慶を目指す生徒が多い女子校に不利なデータとなったような気がします。
そこで係数6.6を、3に変更して計算しなおすことにしました。
係数3の根拠は、平均的な大学受験生の受験校数を考えたのです。私大3校ほどを受験した後で、国公立を1校受験する想定です。
いちおう両方の散布図も作りました。
※偏差値は、2018年、つまり6年前のサピックス偏差値です。
較べてみると、多少の違いは出ましたが、思ったほどの差はありませんでした。
つまり、東京一科への合格者が多い学校は早慶への合格も多いので、多少係数をいじってもその順位に大きな影響は無いということなのですね。
そうしてみると、この散布図は大切なことを示唆しています。
何となく高偏差値の学校はそのまま大学の実績も高いと信じ込んでいましたが、必ずしもそうではないということが浮き彫りになったのです。
例えば、合格力指数がおよそ1の学校をみてみると、0.97の鷗友の偏差値が48でしたが、1.0の豊島岡が偏差値61でした。これは、鷗友のほうが進学後の6年間で学力が伸びたのか、豊島岡が伸び悩んだのか、計算方法が豊島岡に不利だったのか、いずれかを示唆しています。
もっとも鷗友は今は偏差値53まで伸びています。
表中では、早稲田中高の合格力指数の高さが目立ちますね。
名前から誤解されがちですが、早稲田中高は早稲田大学の附属ではありません。系属校という位置づけで、早稲田大学への推薦枠を50%持っている進学校です。
この計算では、早稲田大学へ推薦された生徒を卒業生数から除いた数を分母として計算しましたので、計算上有利に働いたかもしれません。それにしても東大43名合格は大したものです。ちなみに駒東は44名、渋谷渋谷は43名です。
合格力指数の計算にあたっては、東大・京大・一橋大・科学大(東工大+医科歯科大)と、早慶の数字しか見ていません。したがって、以下の問題が生じます。
◆千葉大・埼玉大・横国など、東京以外の国公立の結果が反映されない。また、外語大やお茶大も無視されている
◆早慶以外の私学を見ていない。理科大・上智・明治・法政・立教・中央といった人気校を考慮していません。
◆医学部志望者が多い学校が不利になる。例えば豊島岡は16%が医学部です。
◆海外大学への合格者もカウントしていない。
異なる大学・学部は難易度もばらばらですし、入試制度も様々です。
それを一律に論じるのは無意味なことがよくわかりました。
例えば、早稲田の理工や理科大への合格者が多い学校に魅力を感じる場合もあれば、卒業生のほとんどがGMARCHやSMARTへ収まっている学校に価値を見出す方もいますよね。
しかし、単なる数字遊びにすぎないとはいえ、先入観を排除するのには役立ちます。
入るのが難しいからといって大学実績が良いとは言えない
大学実績が振るわないからといって「悪い」学校ではない
まあ当たり前のことではあるのですが。