今回は、受験から離れて旅行の話をします。
実は、今ロンドンのホテルでこの記事を書いています。
久々に訪れたロンドンで、イギリスが階級社会であることを実感したので、その話をさせてください。
また、ロンドン旅行を企画中の方に役立つ(かもしれない)情報も少し書いてみます。
※あくまでも私一個人の感想にすぎぬ話です。普遍的な情報ではありませんので、「それは違う!」といったツッコミはご容赦ください。
ヒースロー空港にて
今回は、久々にヒースロー空港からイギリスに入国しました。
イギリスのEU離脱後、EU時代、さらに前身のEC時代から何度もロンドンには来ていますが、ヒースロー空港からの入国には一つも良い思い出がありません。
その昔は、入国審査の窓口は3種類に分かれていました。
◆United Kingdom
◆EU(EC)
だったかな?
そして、UKとEUの窓口はほぼノーチェックで通過のため、誰も並んでいません。外国人の窓口は長蛇の列です。だいたいの国の入国審査では、融通をきかせ空いている窓口に誘導してくれるのですが、イギリスはそうした気遣いは皆無です。だいたいこの行列で2時間は覚悟です。
或る時など、私がやっと列の先頭にたどり着いたとき、窓口の係員がどこかに歩み去ってしまったことがありました。目で探すと、別の窓口の係員と無駄話をしています。私と私の後ろの行列の入国客達は、また別の窓口の行列の最後尾に並び直す羽目になりました。
やっと窓口にたどり着いても油断はできません。質問がねちっこいのです。「お前ら日本人なんかイギリスに入れてやりたくはないんだぜ!」といわんばかりの空気を感じます。
そうして何度も不快な思いをしたため、ヒースロー空港からイギリスに入国するのは避けるようになりました。
パリのシャルル・ドゴール空港か、オランダのスキポール空港 、あるいはフランクフルト空港あたりからヨーロッパに入り、そこからEurostarを使って鉄道でロンドンに移動するのです。もちろん鉄道でも入国審査はありますが、はるかに簡易です。例えばパリの北駅だったら、パリの駅構内で出国のパスポートチェックのゲートがあり、そこから数十メートル歩くと、イギリスの入国審査のゲートの出張所がある、というかんじです。Eurostarに乗るときには、すでにイギリスへの入国手続きは済んでいるのです。
今回は日程の都合上仕方なく空路でロンドン入りしたのですが、数年前とは入国審査は様変わりしていました。基本的に自動ゲートでチェックされるため、ほとんど並ばずに入国できたのです。
これはありがたかったですね。
地下鉄とバスが便利
ロンドンでは、公共交通機関がとても便利です。
Black Cabとよばれる黒いタクシーがとても乗りやすく、運転手のレベルも高いのです。どんな道でも知っているので、安心して任せられます。
アメリカでタクシーに乗ると、移民の人が多いのか、英語が微妙に通じなかったりしますね。もちろん道もろくに知らないドライバーもいます。タクシーに乗っても、グーグルマップで道を確認し続けないと不安です。それに引き換え、ロンドンは素晴らしい。聞くところによると、世界最難関とされる試験をパスしなければならないそうです。あらゆる裏道と交差点が全て頭に入っていないとドライバーにはなれないそうです。その試験のための専門の予備校まであり、何年もかけて準備すると聞きました。
さて、タクシーもよいのですが、私は海外に行くときは、なるべく公共交通機関のバスやトラムや鉄道などを利用することにしています。その方が地元の様子がよくつかめるからです。
ロンドンでは、もっぱら地下鉄(TUBEといいます)とバス(例の2階建ての赤いバス)を使って移動することにしています。なにせ縦横無尽に走っていて、どこに行くのにも便利だからです。
ヒースロー空港からロンドン市内への移動も、タクシーやバスもいいのですが、地下鉄が実は便利です。
ところで、2年ほど前にエリザベスラインという、ロンドンを東西に走る路線が開通しています。ヒースローから市内には、こちらの方が早くて快適です。ちょっと値段は高いですが。
今回は、泊まるホテルがエリザベスラインを使うよりピカデリーラインを使う方が乗り換えが少なく済むので、いつものようにピカデリーラインに乗りました。
地下鉄(ピカデリーライン)の入口付近の券売機で、オイスターカードを買うところから旅が始まります。
オイスターカードは、日本でいえば、パスモやスイカと同じようなカードです。
7ポンドのデポジットと、日数分の料金を支払います。多少多めに入れておいても、帰るときに券売機で払い戻しができますので問題はありません。
毎回紙の乗車券を買うと、約2倍の価格差がありますので、愚かです。
オイスターカードによる料金は、利用区間と時間帯で異なります。
ピーク/オフピーク
Zone1 £2.80/ £2.70
1-2 £3.40/ £2.80
1-3 £3.70/ £3.00
1-4 £4.40/£3.20
1-5 £5.10/£3.50
1-6 £5.60/£3.60
※運賃は変わるかもしれません。旅行直前に、公式HPから確認してください。
Keeping London moving - Transport for London
中心のZONE1から同心円状にZONE6まで設定されています。まあ私のだいたいの行動範囲はZONE2以内に集中していますので、1回の運賃が4ポンドを超えることはめったにないでしょう。また、1日の最大料金も設定されています。Zone 1-2-3間であれば、最大£10となっています。駐車場の料金みたいですね。今回も、7日間の滞在用に£70チャージしました。これで足りなくなったことはありませんが、毎回改札機にタッチするときに残額が表示されますので、足りなくなりそうになったら、券売機でチャージすれば済む話です。チャージはTOP-UPといいます。
ちなみにこの券売機ですが、使用言語を選べるようになっていて、なんと日本語もあるのです。
ところでバスの運賃は、1回あたり£1.75です。1時間以内なら何回乗り降りしてもよいそうですが、普通は目的地についたら降りますので、私は実践したことはありません。
このほかにも、トラベルカードというものがあって、使い方によってはオイスターカードよりも割安になる場合もあるそうなのですが、私は使ったことはありません。何となくですが、オイスターカードの方が地元感があって好きだからです。
オイスターカードの使用法ですが、パスモ・スイカ同様、地下鉄に乗るときにタッチ、降りるときにもタッチ、これだけです。
バスの場合は、乗車するときに1回タッチするだけで、降りるときのタッチは不要です。
さて、地下鉄を乗りこなすために必須なのが、地下鉄路線図です。
この地図も、事前に上記🔗公式HPから入手しておくことをお勧めします。
以前は駅の券売機付近で紙の地図がたくさん積まれていたのですが、そういえば今回は見かけませんね。もう紙の時代ではないのでしょう。そこで、私はダウンロードしたPDFの地下鉄マップをスマホに保存しておきました。文字が拡大して見られるので、こちらのほうが見やすいですね。
駅によっては、同じホームから行き先が異なる複数路線が発着しますので要注意です。
★おすすめアプリ
Citymapperというアプリが定番です。
地下鉄や地上移動のルート案内もしてくれるのですが、とくにバスに乗るのには非常に役に立ちます。
地下鉄と違って、バス路線は非常に複雑です。同じバス停にいくつもの系統のバスが停まりますので、どの路線に乗ればよいのか難しいのです。また、街の様子をみながら降りるバス停を選べるほど街の風景に詳しくないですからね。このアプリを開いておけば、停車するバス停が表示され、その間をポインターが移動するので、降りたいバス停で間違いなく降りることができます。設定したバス停に近づくとプッシュ通知もあるので、スマートウォッチと組み合わせておくと最強です。
「ロンドン旅行 アプリ」などと検索すると、上述のCitymapperに加えて、Tube Mapというアプリもよく紹介されています。地下鉄路線図や時刻検索に便利かな? と思ってダウンロードしてみたのですが、正直いって全く使い物になりませんでした。見ている途中に、すぐに別の有料アプリダウンロードページに勝手に飛んでしまうのです。元のマップに戻るためには、いったんアプリを閉じて開き直さないといけません。もしかして私の使い方が未熟なだけかもしれませんが、わたしはすぐにこのアプリを削除しました。地下鉄に乗るだけなら、PDFで落としておいた路線図が1枚あれば事足りますので。
もちろん常備薬のようなGoogleマップも欠かせません。
私は地図好きの人間なので、普段からGoogleマップのナビは使用していません。グーグルマップは北を上に固定して、現在地の確認と行き先までの経路は目で確認したいからです。
目的地をマップ上にマークして、地下鉄の駅を降りて地上に出たら方角を確認し、通りの名前をチェックして歩き出します。こうすることで頭の中に大まかなロンドンの地図が出来上がっていくような感覚が楽しいからです。
普段からGoogleマップのナビ機能を駆使している方なら、それでも地下鉄やバスのルートは詳しく調べられますので、上述したCitymapperは不要かもしれませんね。乗るべき地下鉄の時刻から、乗り換えるバスの停留所までの道順まで詳細にナビゲートしてくれますので。
地下鉄車内にて
基本的に、ロンドンの地下鉄の治安は悪くはありません。もちろん海外ですので、スリ等の犯罪に気を付けるのは常識ですが、ニューヨークやパリの地下鉄のように、乗る路線に相当気を付けなくてはならないようなスリリングなことはあまりないと思います。
ただし、相当狭いです。
ピカデリーライン等、古くからある路線はトンネルが狭いため、車両が小さいのです。まるで遊園地の乗り物レベルです。
その他の路線はかなりましですが、それでも東京の大江戸線レベルです。
そして、車内は汚いですね。汚いというより、やつれているといったほうがいいかな。座席などすり減っています。
さらに、揺れます。
手すりにつかまっていないと立っていられないほどです。
以前は気が付かなかったのですが、今回気づいてしまったのは、客層についてでした。
タトゥー(入れ墨)率が非常に高いのです。
また、太った方が目立ちます。
通勤時にはもう少しビジネス系の人が増えますが、昼間だとそんな人達ばかりです。
男性も女性も入れ墨だらけの巨大な夫婦に、小さい子ども3人、そして子供たちは座席に土足で立ってはしゃいでいる、ベビーカーの子どもはコーラを飲んでいる、そうした家族連れがいたりもするのです。
何というのでしょうか、可処分所得の高くなはなそうな、一言で言ってしまえば裕福ではなさそうな方々ばかりです。
だいたい3種類の人達でしょうか。
◆お金の無さそうな観光客(私もここに所属します)
◆お金の無さそうなイギリス人
◆お金の無さそうな移民の人達
イギリスも衰えたんだなあ、などと思ってはいけませんね。
データからすると、日本よりもはるかに裕福なはずですので。
とすると、この地下鉄で見かける人達というのは、ロンドン全体の人の構成を反映しているのではなく、一部の階層を反映しているとみるべきでしょう。
私の認識では、欧米でもエリート層はタトゥーを入れません。就職にも出世にも響くのが常識だからです。
やはり「そういう」人が入れるものだというのは、日本の認識とあまり変わらないと思います。
また、彼ら乗客のマナーは非常に悪いですね。というより、マナーという概念が無いと思ったほうが良さそうです。あの狭い車内で、皆足を組みます。当然通路は人が通れません。土足がぶつかっても平気です。あたりはばからぬ大声でしゃべります。ドア付近に立ってどきません。
最近は日本の鉄道内のマナーも地に堕ちていますが。
もっとも、親切なおばちゃんなども乗っています。私が路線を間違えて乗ってしまいきょろきょろしていたら声をかけてくれました。
スーパーやショッピングモール、パブ等でも人間観察をして確認できました。
イギリスはやっぱり階級社会なのです。
◆上流階級
◆中流階級
◆労働者階級
私が地下鉄車内で見かけた人達は、明らかに労働者階級だったのですね。
もう少し丁寧に見ていきましょう。
◆上流階級・・・ここを構成しているのは、かつての支配者層です。王室・貴族、そしてジェントリですね。
このジェントリというのがなかなかわかりにくい。
日本語では「郷紳」と訳されますが、ますますわかりにくい。
中世の封建領主層(騎士)が地方に根付いてジェントリとなったのがルーツです。
地主であり、地方領主のような存在です。地代収入がありますから働く必要はありません。文化活動や政治活動に携わります。一部の貴族化したジェントリは上院議員になったりもします。
おそらくこの層は、日本にはほぼいません。まあ皇室関係と、あとは代々莫大な資産を受け継ぐ旧大名家といったあたりくらいでしょうか。
この人たちは、当然地下鉄などと言った下賤な乗り物と生涯無縁です。
◆中流階級・・・成功した資本家層といえばわかりやすいでしょうか。早い話が、お金に余裕のある人達です。
勘違いしてはならないのは、この中流階級と呼ばれる人達というのは、産業革命以降に登場した階級という意味で、医師や弁護士、実業家、銀行家などが相当するのです。
日本でいえば上流階級とみなされる人々です。
憶測ですが、この層の人々も、地下鉄には乗りそうもありません。おそらくは運転手付きの車か、自家用車を運転しているのではないかと思います。
さて、時代とともにこうした階級も変化してきました。
BBCの調査に基づく新たな階級の区分を紹介します。
このページにわかりやすく書かれていましたので引用します。
調査では、3つの資本を軸とした分類が行われました。
◆経済資本(富や収入)
◆文化資本(文化的なものへの関心や教育によって得られる資格)
◆社会関係資本(社会的ネットワークを活用することができるような人脈)の保有
①エリート・・・最も特権的なグループ。富において他のクラスとは一線を画す。3つの資本全てが最も高いレベルにある。会社役員・IT/通信ディレクター・企業の部長等
②確立した中流階級・・・3つの資本すべてが高く、2番目に富裕な層。最大かつ最も社交的なグループ。電気技術者・作業療法士・助産師など
③技術系中流階級・・・小規模な新しい階級。豊な生活を送っているが、社会的・文化的資本は低い。社会的孤立と文化的無関心が特徴的。診療放射線技師・パイロット・薬剤師等。
④新富裕労働者・・・社会的・文化的に活発で、経済資本のレベルが中程度の若者の層。電気工事士・郵便・小売業のレジ係等。
⑤伝統的労働者階級・・・3つの資本のスコアは低いが、完全に貧困に陥っているわけではない。このグループは比較的価値の高い家を持ち、平均年齢が66歳と高い。医療秘書・法務秘書・電気・電子技術者等。
⑥新興サービス労働者・・・比較的貧しいが、社会的・文化的資本が高い。若く都市部にすむ新しいグループ。バーのスタッフ、料理人、介護助手等。
⑦プレカリアート・・・最も貧しく、社会的・文化的資本のスコアが低い。最も恵まれない階級。清掃業・運転手・介護従事者等。
①のエリート階層の世帯所得が89,092ポンド、世帯貯蓄が142,458ポンドだそうですが、⑦のプレカリアートの世帯所得は8,253ポンド、世帯貯蓄が793ポンドだそうですので、所得で11倍、貯蓄で180倍の格差があることになります。
£の相場は190円台を推移していますが、買い物等の換算にはわかりやすく1ポンド=200円で計算することにしています。
そうすると、エリート層の所得が1780万円で貯蓄が2850万円ということになりますね。
ちなみにプレカリアートとは、precarious(不安定な)という英単語と、労働者階級を意味するドイツ語のProletariatを組み合わせた造語です。非正規雇用や失業者を表します。
こうしてみると、この分類は従来の中流階級と労働者階級を細分化したものなのですね。これに加えてさらに上流階級が存在するわけです。
ちょっと驚いたのが、小売業のレジ係が「新富裕労働者」に分類されていることでした。
前述のタクシー運転手もそうですが、国が変われば職業のステイタスというのも大きく変わるということなのかもしれません。
イギリスの知人に聞いたところ、服装・持ち物・言葉遣い等で、すぐに階級がわかるそうです。説明はできないけれど、そういうものだと言われました。
怖い話ですね。
スーパーマーケットにて
旅行の楽しみの一つに、現地のスーパーマーケット探訪があげられます。とくに地元の人達が普通に利用しているスーパーが面白いですね。
ベトナムのハノイのスーパーマーケットでは、生きたカエルが売られていましたし(たぶん調理して食べる?)、ジャカルタのスーパーでは謎の調味料が棚1面を占拠していましたし。この調味料、一応買ってはきたものの、いまだに使用法が不明のため死蔵しています。
国内旅行だって、徳島県のスーパーで入手した「うちんくのたれ」という焼肉のたれはとても美味しかったですし、沖縄県のスーパーで買える「カステラかまぼこ」が美味しいです。このかまぼこは、フライパンで軽く焼くとおいしいのです。
さてイギリスにも無数のスーパーがあります。
1 Tesco
2 Sainsbury’s
3 Asda
4 Morrisons
5 Aldi
6 Lidl
7 Co-op
8 Waitrose
9 Marks & Spencer
10 Iceland
シェア順に並べるとこのようになるそうです。
5位のAldiと6位の Lidl はディスカウント系のスーパーですね。日本でいえば業務スーパーかな?
当然労働者階級御用達です。
1位のTescoを最も多く見かけます。ロンドン市内なら、Tesco Expressというコンビニのような小型店舗がそこら中にありますね。日本でいえば、「イオン」と「まいばすけっと」のようなものでしょうか。
2位のSainsbury’s も店舗数は多そうですね。Tescoと比べると、Tescoのほうが少しだけ庶民的な気もしますが大差はありません。
今回は、ホテルから最も近いのがTESCOだったので、愛用しています。サンドイッチも豊富ですし、レンジで温めるだけで食べられるパスタ類もなかなかのクオリティなのです。
そして、 Waitrose と Marks & Spencer が高級スーパーです。
日本でいえば成城石井です。
M&Sの大型店に行くと、洋服も充実しています。
食材は美味しそうなものが多いのですが、価格もそれなりです。やはり中流以上の客層になりますね。
以前は、スーパーのレジ袋を見れば階級が判ると言われていました。
今はエコバッグが普通ですので。
この写真は、ロンドン市内中心部のM&Sの大型店の食品売り場です。エレベーター沿いに「寿司」コーナーがあって、観察していると、昼時のサラリーマン等が次々と手に取って買っていきます。たぶんオフィスでランチするのでしょう。
私も思わずサーモン寿司を買ってしまいました。
美味しかったです。
旅行はまだまだ続きます。
この続きは別記事にします。