中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】塾に行く前に考えよう 本当に中学受験する必要がある?

※この記事は、2023.9/27に公開した記事の重要部分に新たな知見も加えて書いたものです。

どうも私の記事は長すぎる傾向にあるようです。

この記事など、7700字を超えています。

基本的にPC派なので、スマホで読むにはさすがに長すぎですね。

じっくり読みたい方はぜひごらんください。

そうでない方は以下の記事を読んでいただければ。

結論:必須ではないが、受験勉強は必須である

最近は減りましたが、以前はこうした質問をよく受けたことがあります。

「中学受験って、本当に必要なのですか?」

地方出身の方の質問です。

周囲のほぼ全員が地元の公立中学校から県立高校に進学する、そういう地域出身だと、首都圏の中学受験事情は理解しづらいのでしょう。

私の返答はこうです。

「中学受験は必須ではありませんが、中学受験のための勉強は必須です」

誤解されている方も多いのですが、中学受験のための4科目の勉強は、その後の中高生活にも非常に役立つ、いわば基礎教養のようなものなのです。

しかも豊富な情報と教材が入手可能です。

ここをきちんと学習することで、たとえ中学受験をしなかったとしてもどれだけ役立つことか。

だからこそ、「中学受験のための勉強」は誰もがやる価値のある勉強だと思います。

 

※教養の大切さについてはこの記事にも書いています。

peter-lws.hateblo.jp

 

理由その1:小学校の勉強では不足する

コロナ渦中に、小学校が閉校されていた時期がありました。するとこんな声があがったそうです。

「このままでは子どもの学習が遅れてしまう!」

ちょっと信じられませんでした。

小学校の教科学習内容は、この時期の学びとしては本当に最低限度の量と質となっています。はっきり言ってしまえば、家庭学習で、学校の半分以下の時間で完了するレベルです。しかも、親に教えられないレベルでもありません。

小学校のカラーテストで満点をとっているからといって、安心できるレベルではないのです。

※誤解なきよう言っておくと、私は小学校の教育に否定的な立場ではありません。小学校でなければ得られない学びの価値を十分認めています。ここで言っているのは、あくまでも中学受験の世界から見た、算国理社の教科内容限定のお話です。

 

理由その2:公立中学で良いスタートを切ることは大切

公立中学に進学すると、以下の5種類の生徒達がいます。

  1. 中学受験に失敗し、高校からのリベンジを狙っている生徒
  2. すでに数学や英語の先取り学習を進めている前向きな生徒
  3. 何も準備してこなかったが小学校では優秀だった生徒
  4. 小学校で普通に過ごしていただけの生徒
  5. 小学校の学習にすらついていけなかった生徒

私の指導した生徒にも、開成・筑駒の中学受験に失敗し、高校から合格して進学した生徒たちが複数いました。(その後東大に進学しています)

はっきりいって、1のグループの生徒達は、抜群にできます。そもそも勉強に向かう姿勢が違うのです。

また、2のグループも脅威です。中学校入学時英検2級レベルなど普通にいたりもするのです。

もしお子さんが3のグループなら大変です。スタートダッシュをかけないと、1や2のグループとの差を埋めるのは困難です。実は3のグループと4のグループの間にそんなに大きな差はありません。小学校での「優秀」評価は、中学生になると吹き飛ぶレベルです。

5のグループも少なからずいるのが公立中学校の「多様性」ですね。いわゆるヤンキー予備軍のような生徒もいますので。

 

たとえ中学受験をしないとしても、どう考えても1か2のグループに入るべきだと思います。

理由その3:高校から入れる私立は少ない

高校だけの私立は少なくなってきました。大学付属高校と、生徒集めに苦戦している高校の2種類になると思います。中高一貫私立の多くは、高校からの募集を打ち切ってきています。

つまり、高校入試で入れる私立は少なく、大激戦となるのです。

都立・県立高校を第一目標としている場合は別ですが、漠然と高校から頑張ればいいと考えていると、いざ高校受験をしようとしたときに選択肢の少なさにうろたえることにもなりかねません。

 

また、高校受験では避けては通れない「内申」との戦い? というものがあります。

こちらの記事も参考になると思います。

peter-lws.hateblo.jp

 

理由その4:勉強に塾は必須ではない

中学受験をする・しないにかかわらず、中学受験レベルの学びは大切であると論じてきました。

しかし、何も「勉強」=「塾」ではないことは申し上げたい。

自分の職業を真向否定するようですが、「塾」はあくまでも「便利な」存在にすぎないのです。

参考書や問題集を準備し、親子で家庭で取り組む「受験レベルの勉強」も素敵だと思います。漫然と塾に通うよりはるかに大きな収穫が得られると思います。

ただ、なかなか大変です。

塾に行かせれば、いろいろな手間が省けることは確かです。

だから「便利な」存在なのです。

 

例外:他に大きな目標がある場合

例えばスポーツ系でプロを目指している場合。地方の強豪校にスポーツ推薦されたり、海外のチームの下部組織に高校から留学したり。

あるいは芸術系の場合。ロシアにバレエ留学するのなら、日本の理科や社会よりもロシア語ですね。

そういえば、将棋の藤井聡太さんは高校中退ですから、最終学歴は中卒ですが、そんなことを気にする人は一人もいないですね。

 

まとめ:勉強しないことに理由はない

どんな形であれ、どんな内容であれ、勉強は子どもたちの未来にとってとても大切です。

「のびのびした小学校生活を送らせたいから」

「受験勉強をやらせると精神の発達を阻害するから」

「中学生になってから頑張れはいいのだから」

「子どもは遊ぶのが大切」

こうした声はよく聞かれますが、結局のところ勉強をやらない・やらせないことの言い訳にしか聞こえません。

 

そもそも、公園の片隅に集ってゲーム機に夢中ないまどきの子どもたちの「遊び」を見ていると、成長期に大切な「遊び」とは到底思えません。

 

ただ漫然と周囲に流されるようにして塾に通わせる前に、お子さんにとってどんな「学び」が大切なのか、じっくりと考えてみるべきなのではないでしょうか。