入試まであと5か月ちょっとです。
この時期は、ちょっとした小テストであっても、得点がとても気になってきますね。
点にこだわることは大切ですが、こだわり過ぎることは弊害となるのです。
今回はそうしたお話です。
生徒の相談
1人の生徒が相談に来ました。手には、通っている塾で実施された小テストのプリントを持っています。
「先生、この問題だけど、どうしたら点がとれるようになりますか?」
見ると、理科と社会の基本知識の確認テストのようなものでした。塾では、とくにその小テストのための教材のようなものはなく、受験も近づいた時期ということで、毎週必ずこの小テストをやるのだそうです。
基本知識とそれを少しだけ発展させた知識の組み合わせのような小テストです。その生徒は基本知識はできているのですが、発展させた知識のほうが半分くらいしかできていません。どうしたら小テストで満点がとれるようになるのか、何をやればいいのか、そうした相談だったのです。
まじめな生徒です。
だからこそどうしても満点がとれずに相談に来たのですね。
「なるほど。この部分までできるようにするためには、今までのテキストを完璧に総復習する必要がある。あと資料集も見ておかないとね」
うなずいています。
「でも、そんな時間はあるのかな?」
黙ってしまいました。そうです、この時期に、今更分厚いテキストをおさらいする時間などあるはずがないのです。
「君はこのテストで満点をとりたいという。それはいいことだね。でも、そのためには、全ての時間を過去のテキストの復習にあてなくてはならない。それは無駄だと思わないか?」
「でも、点数と順位が壁に貼り出されるから」
なるほど。そういうスタイルの塾ですか。あまり褒められたやり方ではないのですがね。
「君の目標は何なのかな?」
「それは〇〇中学に合格することです」
「そうだね。塾の小テストで満点をとってはり出されることじゃないだろ。いいかい、このテストで満点をとるための勉強はやめなさい」
びっくりした顔をしています。
「このテストの使い方が間違っているんだ。いいかい、テストで点がとれなかったところが、すなわち君の知識の穴の部分だね。このテストはその穴を見つけるためのものなんだよ。だから、テストのたびに、できなかったところを覚えるようにするんだ。それだけでいい。壁の貼りだしは無視しなさい」
すべての勉強に無駄なことはありません。
この生徒が、満点をとるために過去のテキストを一所懸命勉強し直したとしても、それは素晴らしいことです。
ただし6年生の学習法ではありません。
成績を壁に貼りだして生徒を競わせるのも、悪いやり方とはいいません(私は大嫌いですが)。しかし、それは5年生までのやり方ですね。
学年・時期ごとに最適なやらせ方を考える、この塾はその努力をせずに漫然と今までのやり方を踏襲していただけなのでしょう。
カンニングについて
一点にこだわりすぎる姿勢は、カンニングを招く危険性があります。
みなさん、自分の子どもはそんなことをしない、と高をくくっていらっしゃると思います。
しかし、残念なことに、6年生の後半にもなって、まだカンニングをし続けている生徒は必ずいるのです。
20人で2~3人くらいでしょうか。
たかだか授業中の小テストなのに、隣の生徒の答案用紙を覗き見せずにはいられないのですね。
出来ない問題も自分の弱点としてうけとめ、次に活かす。
それが出来ないのです。
今の1点にこだわるからです。
全てのテストは、本番入試の合格のための勉強の一環である。
この当たり前のことを再度確認して欲しいと思います。