中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

中学受験、天王山の夏を乗り切った直後の9月が最重要な理由

夏休みが受験生にとっての天王山である、そんなことはわかっています。

この夏の学習スケジュールも立て、学校が休みに入った今、スタートしたことと思います。

peter-lws.hateblo.jp

今回は、そんな夏の勉強が終わって学校がはじまった9月こそ大事だというお話です。

夏の疲れがどっと出る

この酷暑です。たとえ涼しい部屋の中からなるべく出ないようにしていたとしても、ちょっとトイレに行っただけでも温度差で体力が奪われます。

食欲不振になってしまったかもしれません。

さっぱりしたものばかり食べてしまいがちです。

それでも塾の夏期講習や過去問演習に忙しく時間を使っていました。

小学校がない夏休みは、受験のための勉強に全てをふりむけられる絶好の機会ですが、その反面、学校に行くことで得られる息抜きもありません。

 

つまり、大人が考える以上に、子どもたちは夏に体力・精神力を奪われているのです。

そうした疲れがどっと出てくるのが、9月です。

 

世間一般では、夏休みをエンジョイしていた子どもたちが、9月に学校に行きたがらないことを心配するようですが、受験生は違います。

夏休みをエンジョイするどころか、猛勉強に追われる日々でしたから。

 

学習のペースが戻せない

 

塾の夏期講習に参加してもしなくても、夏休みの勉強量はなかなかのものでした。

なにせ、生活に必要な時間(睡眠・食事・入浴等)以外の全ての時間を受験勉強に費やせたのですから。

しかし、小学校が始まってしまうとそうもいきません。

学校の課題や通学等に、意外に多くの時間をとられてしまいます。

 

これで、学習のペースがすっかり乱れてしまうのですね。

 

それは焦りにつながります。

 

こうして、順調に見えていた学習のペースが戻せない生徒が生まれるわけです。

 

親が不要に焦りだす

 

親としては、この夏の頑張りで、9月以降の成績UPにつながっていることを期待します。

しかし、残念ながら成績(=順位・偏差値)は変わりません。

むしろ下がる場合もあります。

それはそうですね。皆同じ状況で勉強していたのですから。そう簡単に成績(=順位・偏差値)が上がるはずもないのです。

 

ここで冷静な親なら、得点力に注目します。

相対評価の順位や偏差値をあげることは難しくとも、子どもの得点力が上がっていれば、それは夏の勉強の成果とみなせるからですね。

しかし、9月から多く実施される模試では、志望校判定の%が算出されたり、順位・偏差値による合否判定が全面に出てきます。

「これではどこも受からない!」

この焦りが、子どもに対する態度に現れがちなのです。

 

こうした焦りは、往々にして志望校に反映します。

つまり、志望校を下げるベクトルが働いてしまうのです。

当然、子どものモチベーションは下がります。

そうすると、子どもの学習姿勢に対する不満が親につのるのです。

悪循環ですね。

 

何に気を付ければいいのか?

 

家庭学習時間の再構築

 

小学校にいきながら勉強していた1学期を思い出してください。

そのころと9月と、持っている1日の時間は24時間で変わりません。

つまり、受験勉強に充てることのできる時間は変わらないのです。

 

塾の無い日なら、4時間程度

塾のある日は、ほぼゼロ

 

これが使える時間の全てです。

この中で、過去問や弱点補強、もちろん塾の宿題などをこなさなくてはなりません。

 

今いちど落ち着いて学習時間を設定しましょう。

 

志望校をいじらない

 

押さえの学校・安全圏の学校について検討・調整をするのはかまいません。

しかし、第一志望と考えていた学校、そのために何年間も努力を続けてきた学校の受験をあきらめることはやめてください。

子どものやる気をそぐばかりか、受験後の気持ちにも大きく影響します。

ただし、無謀な受験はいけません。判断がつかない場合は、専門家(お通いの塾の先生)に相談してください。

 

睡眠時間は絶対キープ

 

理想的な睡眠時間として、アメリカの研究では9~11時間という数値をあげていました。

11時間の睡眠をとるためには、朝6時起床として、夜7時に寝なくてはなりません。

さすがにそれは非現実的です。だいいち塾にも行けませんね。

しかし、せめて9時間は確保してほしいと思うのです。

それなら、夜9時就寝→朝6時起床 となります。

私の教えていた生徒は、10時間睡眠を厳守していました。

夜8時半就寝→朝6時半起床

このペースです。

それできちんと最難関校に合格しました。

中学生になっても、睡眠時間は同じだそうです。

 

そもそも、お子さんの理想的な睡眠時間をご存じですか?

疲れすぎていないときに、自然に眠くなってベッドに行き、目覚ましなど使わずに目が覚めるまで、それが理想的な睡眠時間だと思います。

今さら測定できませんね。

それでも、「うちの子は、〇〇時間以上寝ない体調悪くするのよね」と自然に睡眠時間の目安はついていると思います。

 

これからますますやらねばならない勉強は増えてきます。

子どもだって焦りの気持ちから、ついつい睡眠が遅くなりがちです。

だからこそ、きちんと睡眠時間を確保してあげてください。

 

昼寝もいいですね。

学校から帰っておやつを食べてから20分。

たったこれだけの昼寝で、集中力は変わってきます。

 

あたらしい問題集には手を出さない

 

書店の参考書コーナーによく行きます。

すると、そこで問題集を物色している受験学年の親子を見かけるのですね。

厳しいことを言わせてください。

9月にもなって書店の参考書コーナーで問題集を探しているようでは、成績など上がりません。

もう十分な量の教材が手元にあるはずです。

今からは、新しいものには手を出してはいけないのです。

すでに使ったことのある教材で復習してください。

すでに買ってある過去問題集をやってください。

 

たまに、そろそろダウンジャケットでも取り出そうかという頃になってから、「〇〇中学の過去問をコピーさせてください!」と駆け込んでくる保護者がいます。

書店に行ったら売り切れていたのですね。

それはそうです。過去問題集は毎年リニューアルされる書籍です。売れ残った分は全て出版社の赤字です。最初から出版部数はタイトに設定されているのです。

もちろん、依頼は断ります。

違法だからです。

著作権法第30条違反は犯したくありません。

 

※受験可能性のある学校の過去問は早く入手すべし!

 

9月というのは、マラソンでいえばゴールのスタジアムが見えてきたところですね。思わずペースを上げそうになりますが、ぐっとこらえてください。すでに疲労も蓄積しています。過酷な夏を乗り切った直後です。こういうところでのペース配分が、最終結果に大きく影響するのです。