今回は少々乱暴なテーマです。
もし偏差値表だけで受験校を選んだらどうなるのだろう?
手元にあったSAPIX偏差値表をながめてみます。
※どの学校を持ち上げる意図も貶める意図もありません。あくまでも偏差値表を使った私の偏見に基づく遊びですのでご容赦ください。
偏差値50の男子
6年生ともなればすでに何回かの模擬試験を受けていますね。
その最新の偏差値データを見てみましょう。
4科目の偏差値が50の男子生徒を想定してみます。
さて、偏差値表の49~51の学校をピックアップしてみましょう。
51:県立並木中等教育(1/6)
50:開智特待A(1/11)
49:函館ラサール① 1/8
49:市立浦和 (1/13・20)
ここまでがいわゆる1月校入試です。
埼玉エリアかそこに出やすいところにお住まいであれば、現実的には岩槻にある開智か北浦和にある市立浦和の受験が可能です。
並木中等教育は、茨城県ですので、さすがに通える方は少ないでしょう。もちろん函館ラサールは寮生活ですので、一部のご家庭のみが対象とすると思います。
※函館ラサールの受験は、地方にある学校の東京会場入試というものです。
本当に息子を寮生活させたいのならよいですが、そうではないのなら、受験する意味はありません。
多くの塾の受験校指導で、「1月お試し受験」を勧めてくると思います。本番の2月入試の前に予行演習としての受験をしておこうという作戦ですね。
あまり意味はありません。
行くつもりもない学校の受験など、予行演習としての効果は薄いからです。
1月の寒い時期に受験に行くことで、感染リスクも高まります。
もし受験するのなら、合格したら入学金を納めて、いざというときには進学する意志がある学校のみ受験してください。
もし1月の受験で良い結果が出ていれば、そしてそこの進学権を確保しているのなら、2月1日以降の受験を強気で攻めるということが可能になるからです。
2月1日の学校を見てみましょう。
51:本郷①
49:芝1 / 東京都市大付属①
なるほど。なかなか良い学校ばかりですね。
51:開智日本橋特待生PM / 神奈川大附属①PM / 国学院久我山PM
49 ドルトン東京特待PM
この4校は午後入試です。
2/2日
49:神奈川大附属②
50:三田国際③PM
49 青学横浜英和BPM
この2校は午後入試です。
2月3日
51 青山学院 / 逗子開成②
50 区立九段中等教育 / 都立三鷹中東教育 / 横浜市立南高校附属
49 学習院② / 成城② / 学芸大世田谷 / 都立白鴎 /
このほかの午後入試校はこうなっています。
51 三田国際
50 開智日本橋
2月4日
51 東京農大
50 神奈川大附属 / 明大中野 / 三田国際
49 高輪 / 中大付属
ひとまずここまでで考えることにします。
2月5日以降は考えなくていいの? といわれそうですが、5日以降の入試は状況が特殊なのです。
つまり、「どこにも合格できなかった子」が最後の勝負をするイメージです。お子さんの疲労も親の疲労もピークに達しています。ここを受験する場合というのは、
◆もうすでに合格はとっているが、万が一を狙って渋谷渋谷(62)を記念受験する
◆どこにも合格が出ていないので、日大(40)を受験する
の2パターンです。今ここで検討課題にはあげません(もちろん本番入試の場合には、しっかりとそこまで学校情報を集めます)
さて、この生徒の場合は、第一志望校(チャレンジ校)をどこに設定するかがポイントです。偏差値表だけ見ると57の広尾学園あたりにチャレンジしても悪くなさそうですが、あまりお薦めできません。この学校は入試を5回に細分化しているため、1回あたりの募集定員が50名、70名、35名、15名、35名 とどれも3桁に達していないのです。そのため、年度によっては「まさかこの生徒が不合格!」という番狂わせが起きやすい学校です。とくに1日午前にその印象がありますね。2月1日午前は50名定員で80名合格、午後入試は70名定員で270名合格、という合格の出し方を見ても、1日午前に受験してくる広尾学園を第一志望としている生徒よりも、1日にどこか(麻布・渋谷渋谷等)を受験した優秀な生徒を取りたいという意志が感じられます。
そこで1日はサレジオをすすめます。
1日に110名募集して174名合格、4日の二次募集では50名募集して126名合格、ときわめて真っ当な入試です。
誤解なきよう言っておくと、別に広尾学園がダメだと言っているのではありません。単純に合否計算が成り立ちにくい、という、いわば塾屋目線の話です。
サレジオは、場所が通いにくい(横浜市営地下鉄北山田駅)ため、都心の受験生が候補にしづらい学校ですが、その分環境は良いと思います。城南地区から神奈川にお住まいの場合候補に入れても良い学校ですね。
大学の実績も、卒業生181名中現役で以下のようになっています。
東大 9名
一橋 8名
東工大 13名
横浜国大 13名
京大 4名
国公立 66名
なかなかじゃないでしょうか。
通わせている保護者によると、「なんといっても遊ぶところもなく(せいぜいセンター北?)、ひたすら真面目に学校に通わざるをえない」そうです。
ちなみに耕地面積も4.8万㎢と、駒東・麻布の2倍以上です。
1日の午後入試は回避します。
正直なところ、午後入試はあまりお薦めしたくありません。
生徒が疲労困憊するからです。
例えば1日で無理をさせると、翌日の午前中の入試がぼろぼろになった、そんな話もよく聞きます。
ここぞ!といタイミングで1回だけ、そんな利用法にしてください。
この生徒なら、㏡の午前にサレジオの結果が出ますので、それを見てから午後の受験に向かうかどうか考えれば良いと思います。
㏡の午前は、世田谷学園(46)を受験します。1日に少々チャレンジしたので、ここは安全圏を、という狙いです。
そして午後には、桐蔭・都市大等々力・三田国際、あるいは中大横浜といったところから通いやすさ・&気に入った学校を選ぶことになります。
おそらくは、2日中にだいたいの結果が出ますので、どこかに合格はとれていると思います。
もしサレジオに合格していたらこれにて受験終了でいいでしょう。なにも塾の口車に載せられて、3日の浅野(57)など受験する必要はありません。もちろん、行きたい学校が、浅野>>>サレジオ なら受けましょう。
塾によっては、やたらに多くの学校を受けさせようとするところが多いのです。
〇塾の実績稼ぎ
〇偏差値が高い学校ほど良い学校だと妄信している
この2つのケースでしょうね。何も乗る必要はありません。
さて、㏡までに合格が出ていなかった場合です。
サレジオはともかく、世田谷学園は合格できていてもおかしくはなかった学校です。
本番にどうしようもなく弱い生徒というのもいるものです。
3日は、さらに安全校を受けましょう。
偏差値50からみてずいぶん下だと思わず、合格をとりにいく戦略です。
それで合格したなら、4日に世田谷学園でもサレジオでもリベンジ受験するという手がありますので。
以上が、偏差値表だけを使った受験校選びです。
生徒の好みも校風も住んでいる場所も無視した、ただのシミュレーションです。
しかしポイントが3つありました。
◆チャレンジ校を1つは受ける
◆安全校を2つは受ける
◆3日までに合格を取りに行く