
※この記事の初出は2024.06.16です。2025.11.12にUPDATE、有料化しました
今回は、ロジカルライティングの授業を紹介します。
授業テーマは「日本の貿易」です。
例によって登場人物は麻布志望の3人組、タロウ・ワタル・ゲンタ(仮名)です。実際の生徒・授業ではなく、過去の授業を再構成したものです。
加工貿易
私:今日は日本の貿易について考えてみよう。日本の貿易の特徴は何かわかるかな?
ワタル:加工貿易!
私:反応が早いね。
ワタル:4年生のときに習ったもん!
私:説明もできるか?
ワタル:えっと。製品を加工して輸出するんだよ。
タロウ:それだけ? 「原料を輸入して製品に加工し輸出する貿易。」これだよ。ね、先生?
私:満点の答だ。
ゲンタ:でも、なんだか最近は加工貿易じゃなくなってきてるって習った気がするよ。
私:よく知ってるな。でも、その話に入る前に、日本の貿易の歴史についてみてみよう。
貿易の歴史
私:このグラフを見てごらん。これを見て気が付いたことはないかな?

タロウ:先生、この目盛りはどうなってるの?
私:左が貿易額で、右は貿易黒字額を示している。緑のグラフは右の目盛りを見るんだよ。
ワタル:貿易額がすごく増えてるね。やっぱり1960年代から。
タロウ:そりゃあ高度経済成長期だったから。
ゲンタ:でも、1970年代に少し減ってるよ。
タロウ:そりゃあオイルショックだったから。
私:そうやって歴史と結びつけて考えるのはいいね。他に気が付いたことはあるかな?
ワタル:高度経済成長期って、輸出がすごく伸びて景気が良くなったんじゃないのかな?なんか緑のグラフをよく見てみると、輸入も増えているから、結局儲かってないんじゃないかって気がしてきたよ。先生、もう少し見やすいグラフないの?
私:それでは1960年から1980年の20年間を拡大してみよう。

ワタル:ほら、やっぱりそうだよ! 1960年代だって、ちょこちょこ貿易赤字っていうか、ほとんど貿易赤字じゃないか。それで1974年とか1980年なんて、すごい赤字だよ。全然儲かってないじゃないか!
タロウ:ワタルはさっきから儲かるとか儲からないとか、そんな話ばかりだけど、今貿易の話をしているんだよ。
ワタル:だって、貿易って結局のところ商売なんでしょ、ね、先生?
私:なかなか難しい問題に気が付いてきたみたいだね。たしかに貿易は商売だ。物を輸出する、つまり外国に売ればお金が日本に入ってくる、つまり儲かる。輸入をすれば外国にお金を支払わなくてはならない、つまり損をする。この損得を計算して、トータルで儲けのほうが多ければ貿易黒字、少なければ貿易赤字、というのが基本的な考え方だ。
ワタル:ほら、間違ってないだろ?
タロウ:でも、それじゃあ、1960年代はほとんど赤字で儲かってないわけだから、日本は貧乏になったんじゃないの? 高度経済成長って嘘?
ゲンタ:嘘なはずないよ! だって、新幹線だって高速道路だって作ったし、あと大阪万博だって開いたし。あ、東京オリンピック忘れてた。
タロウ:先生、どっちなの? 高度経済成長って、儲かってたの、儲かってなかったの?
私:なかなか難しい問題に気付いたな。実はこれは大人でも即答するのが難しい質問だ。
タロウ:何かほめられた気がする。それで、どうだったの?
私:よし。それでは例をあげて考えてみよう。ここにラーメン屋さんがある。
タロウ:なんでラーメン屋?