中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【小学生】英語の先取り学習は進めていますか?

 私の哀しい過去の話をさせてください。当時は小学校で英語を学びませんでした。もちろん私も勉強していません。家庭でも英語を学ぶ空気はゼロでした。英語は中学生になってから学ぶ教科、と誤解していたのです。そう、誤解です。

 それが誤解であることは、中学生になった瞬間にわかりました。なぜなら、私の同級生たちの大半がすでに英語を学んでいたからです。私の友人のA君は英検準2級を取得済でしたが、そのことを恥じていましたね。準2級じゃあ恥ずかしくて人に言えないよ、と。私もそこから一念発起して必死に英語に取り組めばよかったのでしょうけれど、残念ながらそれもできず、たちまち置いていかれる結果となりました。これは、教育熱心でなかった親の不明だと今でも恨んでいます。いわゆる逆恨みというやつです。

 英語と言う教科は、とりくんだ時間に比例して学力が向上する教科です。他教科にくらべて一段とその傾向が強いですね。だからこそ、小学生のうちの英語の先取りスタートが肝心なのです。

英語教育の進度

  わかりやすく取得が必要な英単語数を見てみます。
  文科省の学習指導要領によると、小中高生が学ぶ英単語の目安はこうなっています。
◎小学生・・・600~700語
◎中学生・・・1600~1800語
◎高校生・・・1800~2500語
 トータルで、4000語~5000語となります。大学共通テストで必要な単語数が5000語レベルと言われていますので、だいたい一致しますね。


 小学校の英語が教科化される以前は、小学生で英単語を覚えることはとくになく、中学生で1200語程度とされていました。かなりゆっくりしたペースだったのですね。それでも中学生の最初で英語に躓く生徒が多数いたものです。それが今は、小学生で基礎的な英語を学んでいることを前提として、中学生ではいわゆる「ロケットスタート」で英語が始まりますので、ますますぼんやりとはしていられません。これは「公立中学校」のお話です。
 私立中高一貫校ではさらに早い進度、もうロケットスタートどころではなく、「ワープスタート?」です。ちょっとでもぼんやりしていると、授業内容が、それこそワープしたかのように遥か先を進んでいるのです。

 おそらく私立中高一貫校では、中1の段階で中学生の英語はほぼ終わると思います。その英語力を前提として、中学2年生くらいからは、英語の本を読む課題が登場すると思います。学校によっては速読を推進して大量の読書を課すのですが、そうではない学校でも英語の本は読まされます。

 

 小学校の英語の時間は、5・6年生の2年間でわずか140コマしかありません。全く足りません。しかもその140コマを有効に活用できているかというと、なかなか難しいと思います。集団指導の基本である学力別クラス編成を取っていないからです。

 

 公立中学進学予定なら、そこで英語を「好き」で「得意」な教科にするために、私立(国立)中学進学予定なら、そこで最初に躓かないために、小学生のうちから英語に取り組むことは大切です。

 

学校教科書がお勧め

 私は、ことあるごとに「学校用検定教科書」を薦めています。開発費用が普通の参考書よりもはるかに多いことや、全国の普通の学生対象なのでわかりやすく編纂されていること、さらに価格が安く、ミスが無いことが理由です。

 ここでも、英語学習の主軸には学校用教科書を活用することをお勧めします。

また、学校教科書は、ガイドブックやドリルなど豊富な副読本が入手しやすいこともメリットです。音声教材も手に入りますし。

◎低学年・・・小学5・6年生用の教科書

◎高学年・・・中学1年生用の教科書

 

これを基本としましょう。

毎日10分で15分でもよいので、教科書を開き、音声を聞き、リピートし、単語を覚え、といった学習をルーチンのようにこなすことが良いと思います。

 

もし受験学年の6年生なら

中学受験の6年生は、正直いって英語をやる時間はないでしょう。すでにこつこつと毎日英語の学習をする習慣があるのなら、そのまま継続してください。

もし今まで全く英語に取り組んでいなかったのなら、今から始めることは負荷がかかり過ぎるので得策ではありません。

その場合は、中学受験が終わってから入学するまでの50日間に勝負をかけるのです。

50日間あれば、かなりの勉強ができます。そこで集中して英語の先取り学習をいたしましょう。

 

※中学受験の入門書を書きました。参考になることがたくさんあると思います。